見出し画像

漫画の話

春に新居に引っ越してから今まで、押し入れの中の段ボールでずっと眠っていた漫画たち。
いい加減きれいに並べたいなぁと思っていたタイミングでパートナーからも後押しされたので、週末に本棚作りに取り掛かった。

実家でも大学時代の一人暮らしアパートでも、壁一面に棚を作って並べていたので、今回も同様に工作していくこととする。

本棚なんて買えばええやないと思われる方も多いだろうが、なんせ持っている書籍の98%が漫画なので、普通の本棚では奥行きがありすぎて使い勝手が悪い。今は漫画用に奥行きの浅い本棚も売られてはいるが、全てを並べようと思うと数が必要になり費用が高くなってしまう。
自分にとってジャストな本棚は作ってしまうのが手っ取り早いのだ。

ホームセンターで2x4材を購入しアジャスターで天井に突っ張る。
棚板を渡していけば完成。
ほらね、簡単でしょ。

下の方に私物が多いので隠してます

長尺の棚板を切断加工しただけなので、ゆがみや捻じれがあって水平垂直を出しにくいが、こだわり始めるとまた手間と費用が増えるので妥協点とする。
ただ表面加工だけはもうちょっとちゃんとやるべきだったなと反省。

とりあえずパートナーが持っていたものと合わせて約1200冊が無事に収まった。(実は当初作った分だけでは収まらず増設している)

急遽増やしたので棚板用のパーツがない

300冊程度の空きもあるのでしばらくは大丈夫だろう。(特大フラグ)



やりきった風

こうやって壁一面に並んでいると壮観だな…。
友人からは「漫画喫茶みたいやね」とお褒めの言葉をいただいた。

折角なので何冊かお気に入りの漫画を紹介してみようと思う。


まずは「死後出版」

創作人に刺さる刺さる

つい最近1巻が出版されて、書店でたまたま表紙を見かけて、裏表紙の紹介文から「これは自分に刺さるやつだな…」とジャケ買いした作品。
作者が亡くなった後にだけ作品を公開する出版社。そこに勤める編集者の女の子(栞田)が主役で、作品を持ち込む人々との人間ドラマがオムニバス形式で描かれている。
作者達はなぜ自分の死後に出版したいと考えるのか。やはり後ろめたい何かがあるようで、そんな作者達と対話をしながら持ち込まれた原稿を受け取るか否かを判断する栞田。時には「死後ではなく今、別の出版社で作品を公開してください!こんなに面白い作品を死後まで保管しておくのはもったいない!」と自分の出版社の存在意義を否定してまでも作品への愛を熱く語るシーンもあり、なかなかにキャラクターが立っていて魅力的だ。
1話目の構成がなかなか面白く、そこから惹きつけられて次の話へどんどん進んでしまう力を持っている。さらに1巻に収録されている最後のエピソードは次巻に繋がる状態で引きとなるので、この辺りも上手いなぁと感心した。エピソードの中には原稿を受け取らないパターンの話もあり、同じ出版社に勤める別の社員との絡みも含めて作品世界の紹介的な1冊になっているので、今後の展開(作品内もメディアミックスも)が非常に楽しみな作品だ。
作者:田中現兎(たなかうつと)
少年画報社のヤングキングBULLで連載中。

つづいて「みちかとまり」

空気感描写の妙

田島列島さんの新作ということで作者の名前だけで購入。
普通の少女「まり」はある日、竹やぶに落ちていた少女「みちか」と遭遇する。“普通”とは違うみちかを神様にするか人間にするかはまり次第で…。
田島列島さんは線が特徴的な作家さんで、過去作「子供はわかってあげない」や実写ドラマ化した「水は海に向かって流れる」などもあっさりとした画風だ。その分心情描写が巧みで、間の使い方やキャラクターが行動に至るまでの動機がじわじわと効いてくる表現が面白い。今作は微ホラーなストーリー展開も相まって目が離せない作品になっている。まりの小学生特有な思考やムーブと、自由に行動しているように見えて実はそうではなさそうなみちか。そんな二人を取り巻く田舎の人々が織りなすファンタジーな物語なのに何故か「ありそうな雰囲気」を感じる作品をぜひ味わってほしい。
作者:田島列島(たじまれっとう)
講談社のモーニングで連載中。

漫画の話をするときにはほぼ必ずこの作品を紹介している。
「有害無罪玩具」

試される倫理

チラシのウラ漫画というサイトで公開されている短編をいくつかまとめた短編集。
表題作の「有害無罪玩具」は、罪に問われるわけではないけど倫理的に問題があって発売禁止になってしまった玩具を展示・紹介している博物館にて、その館長と社会見学に来た少女とのやりとりを描いたお話。
作ると人魚のような形になり自由に動き出し、割れると消えてしまうシャボン玉。
0.5秒後の未来が見える眼鏡。
自分が未来に描く内容を予知するスケッチブック。
自分の脳の全情報を記録しておけるメモリー媒体。(出力はできない)
などなど、思考実験にも似た雰囲気で倫理観を揺さぶり、自分の常識は本当に常識か?と問われているようにも感じる特殊な作品。
他3作品が収録されているが、自分以外の時間が全て止まってしまった世界で無限の暇つぶしをする「虚数時間の遊び」も非常に読みごたえがある。
同作者・同コンセプトで「偽史山人伝」という短編集もあり、こちらは7作品が収録されている。なかでも「現代路上神話」は必読。
作者:詩野うら(しのうら)
出版はKADOKAWAのビームコミックス

かわいい絵柄との特大ギャップで激重SFを描く
「惑星クローゼット」

筆者史上最も面白い漫画作品

現在は訳アリアイドル漫画「誰何(すいか)」連載中で、「第七女子会彷徨」などで人気を博したつばなさんの作品。
異世界に飛ばされる夢を見た少女。どうやらこの夢は現実とリンクしているようで、異世界のクリーチャーが現実世界にも浸食してきてしまい…。夢の中で出会ったもう一人の少女とともに、この浸食を食い止めるため現実世界と夢の世界で奔走する。
全4巻で完結するお手軽さと、4巻で完結するとは思えないようなストーリー展開。漂流教室を想起させるホラー要素。伏線回収の妙と綺麗なオチのまとまり。なによりもかわいい絵柄と内容のギャップ!
とにかくこれは自信をもってお勧めできる作品。パートナーからも太鼓判もらった。
作者:つばな
出版は幻冬舎のバーズコミックス

最後に「アフターゴッド」

神は"救い"か

某SNSで試し読みがあってぶっ刺さったので単行本発売当日に購入。その後続刊が出るたびに即時購入している。
“神”と呼称される巨大生命体(偶像崇拝禁止生命体:通称IPO)をめぐる、人間VS神の壮絶な戦いを描いた作品。
神の力を行使できる主人公を筆頭に、対策研究所の職員や神の力を技術転用して人体に組み込んだキャラクターなど、癖のある登場人物たちが魅力。人知を超えた神の造形・描写が美しくも恐ろしいのでアートな雰囲気も味わえる。個人的にはキャラクター性とデザインが好きな「宇月よん」がお気に入り。すぐ退場しちゃうけど。
おそらく作者さんは猫飼い。
物語の展開速度がかなり速い部類なので安心できるタイミングが短い。現在5巻まで出ているがまだまだ追いつける範囲なのでぜひ。
作者:江野朱美(えのすみ)
小学館の裏サンデーで連載中。

今回はこれくらいにしておこうかな。
紹介したい漫画はほかにも大量にあるので、また少しずつ出していこうと思う。
来月の新刊調べておかないとな…
おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?