今日からできる!カリキュラム・マネジメント#1| はじめに |全15回

はじめに

 私は、大学院で、特別支援学校におけるカリキュラム・マネジメントに関する研究を行いました。
 研究を行うにあたっての一番大きな課題意識は、特別支援学校における専門性の継承と向上でした。特別支援学校では障害種や学部によって必要な専門性が異なります。また、障害部門によっては県内に1校しか設置されていない場合もあり、教職員の人事異動や退職に影響を受けながら、専門性を継承し、高めることに課題のある学校が多く存在します。
 先行研究を調査する中で、専門性を継承し、高める学校にするためには「子ども達のために教職員(を中心とした人々)が学び合う学校文化(専門職の学習共同体:PLC)」(以下:学び合う学校文化)を醸成れば良いのではないかと考えました。また、そういった学校文化を醸成するためにカリキュラム・マネジメントの取組が有効である可能性が見えてきました。ただし、カリキュラム・マネジメントと「学び合う学校文化」や「専門性の継承・向上」の関連性に着目した先行研究は無かったため、それはあくまで可能性の話でした。

 そこで研究の目的を、そもそも、カリキュラム・マネジメントの取組によって「学び合う学校文化の醸成」や「専門性の継承・向上」が可能なのか。もし、可能であればどのようなカリキュラム・マネジメントの取組を行えば「学び合う学校文化」を醸成し、「専門性の継承・向上」に繋がるのかを明らかにすることとしました。そして、研究の目的を達成するために大きく分けて4つの次の研究を行いました。

〇研究1(文献研究):「学び合う学校文化」を醸成するためのプロセスを    整理した。
〇研究2(調査研究Ⅰ):全国の特別支援学校〔ある障害部門〕を対象とした質問紙調査を行い、統計を使って分析した。
〇研究3(調査研究Ⅱ):専門性の高い特別支援学校を視察し、良いところを学んだ。
〇研究4(アクションリサーチ):ある特別支援学校において働きかけを行い、得られた質的データを考察した。

 こうした研究を通して、カリキュラム・マネジメントの取組によって「学び合う学校文化」が醸成され、学校の専門性の継承・向上につながること、またそれが「子ども達の学びと成長」につながることが分かりました。本マガジンでは、研究から分かったことを踏まえながら、特別支援学校におけるカリキュラム・マネジメントについて少し詳しく説明していきたいと思います。

 ただ、「特別支援学校における」としていますが、特別支援学校以外の学校や、幼稚園、保育園などにおいても参考になることが多々あると思いますので、特別支援学校以外の関係の方にも読んでいただけると幸いです。


 本マガジンは、大きく3つの章で構成しています。

第一章では、「子ども達のより良い学びと成長」に焦点をあてた、全教職員で行うカリキュラム・マネジメントの取組について、

第二章では「専門性の継承・向上を実現する学び合う学校文化」に焦点をあてた主に管理職やミドルリーダーが中心となるカリキュラム・マネジメントの取組について、

第三章では、カリキュラム・マネジメントを推進するときに役立つツールやフレームワーク等を紹介します。興味のあるところからご覧いただいてもかまいません。


 また、本文の所どころで「Q:問いかけ」を行っています。少しだけ立ち止まってあなたなりの答えを考えてみてください。

※本マガジンでは敢えて学術的な根拠を極力省略した書き方をしています。

<次回の内容>  


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