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【考察】ブルアカのストーリーはなぜ面白いと感じるのか?【ネタバレ注意】

今年で2周年を迎えたブルーアーカイブ。筆者は去年の正月に始め→ヤケクソ補填やミカ実装で戻ってきた復帰勢です。

面白いと言われていたエデン条約編を読みたいと思い、インストールしたもののレベルがあまり上がらず読めずじまいでした。と、久しぶりにログインしたところ、すべてのストーリーが読める…ということで、いまドハマりしています。

なぜこんなに面白いのか興味を持ったので、記事としてまとめてみることにしました。なお、前述の経歴のため、イベントストーリーなど追えていないことに留意していただけると幸いです。

1.全体の流れ

現在、ブルーアーカイブで読めるストーリーはVol.1-Vol.4まで更新されています。それぞれ、別の学園にフォーカスされたものになっていて噂に名高いのがVol.3 エデン条約編ですね。

ここでそれぞれの話の全体の流れを分解してみましょう。分解してみると、最初の対立構造→実はその上の存在がいて…という流れになっています。

具体的には

Vol.1『対策委員会編』
前半はアビドスの生徒たちVSカイザーコーポレーション
後半はアビドスの生徒たちVS黒服(ゲマトリア)

Vol.2『時計仕掛けの花のパヴァーヌ編』
前半はゲーム開発部VSセミナー
後半はゲーム開発部VSアリス(Key)

Vol.3『エデン条約編』
前半は補習授業部VSティーパーティー
後半は補習授業部VSアリウススクワッド(ベアトリーチェ陣営)

Vol.4『カルバノグの兎編』
前半はRABBIT小隊VSヴァルキューレ
後半はRABBIT小隊VS連邦生徒会(防衛室)

若干ここはこうだろ!みたいなのがあるかもしれませんが、この構図が当てはまっています。また『カイザーコーポレーション』『セミナー(会長も含む)』『ティーパーティー』『ヴァルキューレ』は敵役ではあったものの、それより上の存在に利用される役として描かれています。

ブルアカはこの前半の敵役→実はさらに上の存在や思惑があった…という話の広げ方に一貫しています。読んでる側からすると、敵役の行動理由がわかるため、炭酸のキャップを開けたような世界観がワッと広がる体験が出来るわけですね。

また最終的に繋がる場所が、世界の根幹部分…になるので謎をそこに蓄積することが出来るのもかなりの強みだと思います。序盤でループ物のような描写がいくつかありますし、ユーザーはキャラから世界を知ろうとする=生徒のことを知ることが謎解きに繋がるわけです。

2.ヘイト管理のうまさ

キャラがたくさん出るゲームにおいて、キャラへのヘイト管理はとても大事だと私は考えています。特にブルアカは先生と生徒の関係ですから、この生徒は嫌だな…と思われないようにしつつ、話を展開する必要が生まれてきます。

敵役にしつつ、嫌われ過ぎないようにする…。ブルアカはここが本当に、本当にここがうまいです。リオ会長然り、アリウススクワッド然り。

【リオ会長の場合】
ミレニアム→リオ会長→アリス(世界の脅威)

【アリウススクワッド】
トリニティ&ゲヘナ→アリウススクワッド→ベアトリーチェ

物語冒頭の敵をあえて生徒側にすることで、学園内での対立構造や関係性を見せつつ、最後には『実はこういうやつがいたせいで、この行動をしてしまった可哀そうな子供』という印象にしてるのがとてつもなくうまいです。

中間管理職に同情する気持ちというか。

またこの構図から、生徒を完全な悪者にさせないという意志が見えてきます。大人はやり直せないけれど、子供である生徒はいつだってやり直せる…と言ったメッセージ、エデン条約編にもあったように信じること(他人や自分の考えを)が大事なテーマとしてるのかなと思っています。

そうした部分が、安心感となり物語への信頼に繋がっているのかなと。

3.どのグループにもキーとなる存在がいる

アビドスのホシノ、ゲーム開発部のアリス(ユズ)、補習授業部のハナコがそれにあたります。RABBIT小隊に関してはヴァルキューレの中のSRTという構図で少し特殊ですが、例に漏れません。

ブルーアーカイブは明確に生徒でありながら大人の世界に生きているキャラがいます。ここで言う大人の世界は思い込みの世界です。ホシノやハナコが顕著ですが、聡明かつ特殊であるが故に未来に希望を持てずやる気がない…1種の世界への諦めのようなものを感じています。

大人は汚いものだ。悪いものだ。何度か作中に出ていますが、悪い大人たちに触れあってきて、いつかは自分もあのような大人になる…と絶望を密かに抱えてはいますが、どこか「そうはなりたくない」と個々で反抗しています。

そこに外部の大人である先生が「あるべき大人の姿」を見せること、「君たちは生徒で私は先生」と見せることで、思い込みを壊しリーダーや長でありながらも先生という上位の存在がいてくれることで、彼女たちは生徒として暮らしていける…。という図になっているんですね。

ヒナもそうですが、ブルアカでは部長や生徒会長、リーダーは誰かに頼りたいけれど頼れる先がないので、自分がしっかりしないといけない…という悩みを抱えています。

その甘え先として先生や生徒を配置しつつ、しっかりと見せ場を作ってるのが熱い展開に繋がります。ホシノの退部の決断だったり、ユズの機転やUZ Queenの姿だったり、ハナコの推理だったり、ミヤコの作戦の手筈だったり…。

長が長らしい行動してると、見ていて気持ちいいですよね。

若干メタなことに触れますと、先生サイドに有能キャラが1人いると話がまとめやすいという利点があります。話の軽快さは読みやすいに繋がり、読者の読むテンポを心地よくしてくれます。ハナコがいい例で、話が難しくなっても推理をする会話を入れることで、物語で今何が起きているのかがわかるようになっています。

アプデの関係もあるのでしょうが、くどすぎずサッと伝えてくれる親切さが伝わってきますよね。あれだけの文章量で読み返さずに内容が理解できるのは、そういう読者への優しさが散りばめられているからだと思います。

4.まとめ

個人的にブルアカが面白いと思う点をまとめます。
・全体の流れが一貫している(軽微な事件→大きな事件)
・敵役のヘイト管理がうまい(完全に生徒を悪者にしない)
・役割がちゃんとある(リーダーキャラの見せ場を作る)
この3点がブルアカのシナリオが面白い理由だと私は考えています。

もちろん、他にもキャラが立っていることや修行部や温泉開発部、便利屋68など他では見ない個性的なグループが揃っているのもひとつの魅力だったり、ヘイローやキヴォトスの謎だったりとブルアカにはいくつもの魅力を感じています。なによりBGMが良い!なぜいままで触れてこなかった私。

あとがき

因みに、自分はストーリーの中でもVol.2が好きです。というのもエンドにアリスが勇者である話やゲーム開発部にまつわる話を絡めてきて「シナリオがうますぎるだろ…」となったためです。

『素性が魔王(アリスの身体がKey)だとしても転職すればいい』から始まり、『不可能はない→なぜなら勇者とそのパーティだから』の繋ぎがうますぎます。あとC&C関連の戦闘シーンがかっこいい。

自分の道は自分で切り開いていく(自分がどう在りたいか)…というのが、ヘンテコだけど新しいものを作っていくゲーム開発部と噛み合っていて…それはもうすきになるじゃん…ってなりましたよね…。勇者の剣を抜く描写とか…エンドの重ねがけがまーじでえぐい。

最終章に突入したブルアカ、これからもシナリオが楽しみです!



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