川重、世界初の水素運搬船を進水 低炭素社会へ切り札
2019年12月11日 日本経済新聞
川崎重工業は世界初となる液化水素運搬船の進水式を実施した。2020年秋に完成させ、オーストラリアで生産した水素を日本に運ぶ実証を始める。
日本の脱炭素の切り札としての水素サプライチェーン構築へと取り組む。その水素社会のポイントを整理した記事。
POINT1 大量輸送
水素はセ氏マイナス253度まで冷して液化すれば体積を800分の1に圧縮でき、大量に輸送できるようになる
POINT 2 市場拡大性
水素関連市場は、2030年度に50倍以上の4085億円に膨らむと試算されている。
POINT 3 製造工程
現在水素の生成方法には化石燃料を使用するケースが多いが、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを用い、水を電気分解して水素を作ればCO2はほとんど発生しない。現在の課題。
POINT 4 水素社会の実現性
水素社会を実現するためには、安価に供給できるインフラの整備が欠かせない
POINT 5 コスト
水素関連技術の開発で日本は世界を先導してきたものの、天然ガスや石炭で発電した方が大幅に安い。
POINT 6 世界競争
ドイツは「ハイランドプロジェクト」を発表し、水素を巡る国際競争を先導したい考え。
オランダは23年までに、燃料を天然ガスから水素に切り替える計画。カーボンフリーで水素も供給する。
イギリスは都市ガスを水素へ全量転換し、家庭用や事業所用の熱供給に利用する計画が進む。水素は北海や欧州の天然ガスを改質して製造し、改質過程で生まれるCO2は北海の枯渇ガス田で回収・貯蔵する。「欧州では思い切って水素技術を社会に導入する動きが広がっている」(川重幹部)という。
中国は「長江デルタ水素エネルギー発展白書」をまとめている。年間2500万トンの水素生産能力を有する中国は、巨大市場を背景に水素社会でも世界の有力プレーヤーに躍り出ようとしている。
日本は19年9月に「水素・燃料電池技術開発戦略」をまとめ、水素関連分野では「燃料電池」「水素サプライチェーン」「水分解」の3分野を重点的に開発する方針を掲げる。
日本は世界のスピードについていき、主導を握れるのか今後の動静が気になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52942250U9A201C1TJC000/
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