ドラマのBK復活か!

 毎朝心待ちにNHK朝ドラを観るなど、そんなふうに観たのは前回いつだったか、遥か遠い昔すぎて覚えていません。一旦朝ドラから心が離れた私のような人も「カムカムエヴリバディ」は虜にしているのだと思います。脚本も演出もキャスティングもカメラワークもテーマ音楽もすべて秀逸。

 私が以前勤めていたのはNHKの技術現業部門(カメラや音声、照明など)の会社。私のボスだった人もBK(NHK大阪局)を始め、各地で活躍されたTD(テクニカルディレクター)でした。「ドラマのBK」と言われていたこともボスからよく聞きました。それが近年のドラマを観ると、その栄光も遠い昔話になってしまって、草葉の陰でボスもさぞ残念がっていたことでしょう。

 お友達の枠組みで制作してしまう手法、マーケティングデータ頼みの新鮮味のないキャスティングは常套手段になり、本格ドラマ「らしくない」ことばかりを追い求めた結果、ドラマの本流から遠く離れた孤島に漂着しました。「小吉の女房」「螢草 菜々の剣」など”土曜時代ドラマ”の枠には秀作が多かった。今年の年明け頃に放送されたドラマ「わげもん」も見ごたえがあり、本格ドラマの復活を予感させましたが、それがBK制作と知り、密かに期待していました。

 素晴らしいのを観ると、前作の酷いドラマの記憶はどこかに吹き飛んでしまいますね。遠いどこかの街で同じものを観る誰かが、私と同じように心を震わせている。このときめきと感動の一体感は、放送や劇場でしかできないこと。これが一過性のものでなく、「ドラマのBK」復活であることを欲してやみません。

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