白昼夢
その日は雨が降っていた。
近所のこどものけたたましい笑い声、救急車のサイレン、猫の鳴き声、色々な音に混ざる雨音。
連日の残業で疲れていたボクは深夜に帰宅して早々にベッドに潜り込みその音たちを子守唄にしてウトウトしていた。
それは突然だった
天井から落下物のような重い音。驚いて目を開けて起き上がろうとすると身体が動かない・・
もしかしたらこれが金縛り⁉️
恐怖よりも先に人生初の金縛りに感動していたところ薄ぼんやりと天井に何かがあるのが見えた。
Gか?もしくは屋根に隕石でも落ちて穴でも空いたのか?よく見て見る。あれ?眼球は動くのものなんだ。と思っていたら
足?
足首から下の指先がこちらを向いた細く白い足??
天井から生えている?
まさかと思いながら妙に冴えた頭で冷静にその足をしばらく観察していると足がふいと横を向いた。少し汚れた踝が見える。
あまり見るなということか?
そう思った瞬間ドンっ!と天井からまた音がしてカラスの鳴き声がした。
瞬きをして天井を見ると足首が居ない。
ボクは飛び起きると勢いよく窓を開けた。
雨のなか街灯の僅かな灯りに飛ぶカラスが持っているのはあの足首。
ああ、だから輪っか状に引っ掻き傷みたいなのがついていたのか。カラスが落とした餌を回収したから天井から消えたのか?カラスって肉食だっけ?
いやまて、そもそも鳥目なんだから僅かな灯りをたよりに暗闇で雨のなか飛ぶなんてこと・・。
よく眼をこらして見ようとして窓を更に開けるとぬるい風と共に雨が部屋に入り込んでくる。
ああ、カーテンが濡れる!
慌てて窓を閉めて暗闇に慣れた目でふと天井を見上げる。何もない。
金縛り解けたな。何故即窓を開けたんだろう?
ま、珈琲でも飲むか。
窓辺から離れると電気を点ける。
飲み終わったらあと3時間位は眠れるかな?とぼんやりと思いながらまた天井を見るとGがいた。ボクは叫んだ。
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