フィリップ・カテリーンというギタリストを御存知ですか?
フィリップ・カテリーンは自分にとって、とても良い影響を与えてくれるギタリストの一人である。彼のバックグランドには同郷の先達であるジャンゴ・ラインハイルトやルネ・トーマスからの影響があり、彼の育った家庭は音楽一家でもあった(らしい)。フィリップ・カテリーンはジャズとは程遠いフレーズを演奏しながらも、それでいて誰よりも聴くものにジャズを感じさせるプレイヤーだと自分は思っている。70年代中盤より80年代前半に発売されたリーダー作では、所謂フュージョン的サウンドを披露しているが、そういった中でも彼の演奏は一つの範疇ではくくれない、言いようもない雰囲気と趣がある。二十歳くらいの頃から自分はそれを「かけがえのないもの」として大事に愛聴してきた。
自分が二十歳くらいの頃、フィリップ・カテリーンに関する情報は皆無に等しかった。LPの裏面や当時販売されていた「ジャズ人物名鑑」に記載されていたバイオグラフィー、「1942年10月27日生まれ、ベルギー人の父とイギリス人の母との間に、ロンドンで生まれ、生後ベルギーに渡った」「ジャンゴ・ラインハルトやルネ・トーマスをお手本に、独学でギターを習得」(うろ覚えだがこんな感じで)「代表作に・・・」というもので、ここで紹介されていたラリー・コリエルとのデュエット「Twin・House」を聴いたことにより、自分の「フィリップ・カテリーン探求の旅」が始まった(別にどこかへ出かけたわけではないが)。
フィリップ・カテリーンというギタリストを意識して聴き出してから、彼のリーダー作を購入するまで、30年近くかかったように記憶している。それまではチェット・ベイカー・トリオやニールス・ヘニング・オーステッド・ペデルセン(長い!)とのデュオ、ケニー・ドリュー・トリオのライブ盤やスタジオ作、意外なことに短期間在籍していたプログレ・バンドフォーカス(これからフォーカスを聴き出した)のアルバム、「Combproby」や「BBCライブ」などを聴いていた。フォーカスのアルバムでは彼の代表作である「Sneezing Bull」や「Angel Wings」を聴くことができる。自分的に「Sneezinng Bull」はフォーカスバージョンが一番ステキだと思っている(何と言ってもフルートがタイス・ヴァン・レアだからだ!)。
そして21世紀にもなると、いよいよカテリーンの国内盤がちらほら販売され始め、あろうことか1980年代初期の頃の名作、「Babel」と「End of August」が紙ジャケで発売!ここで収録されている「Janet」(カテリーンの愛娘の名前らしい!?)は本当に感動ものである。
ちなみに、2012年発売の「Corte Jardin」収録の同名曲では、そのジャネットがボーカルを披露!している。
そして2018年頃(だったと思う)どうしても手に入らなかった「Guitars」と「September Man」を含む紙ジャケボックスを購入。現在我が家の家宝のひとつとなっている。本当に苦節30年である。
現在ではAmazonプライムMusicなどで、フィリップ・カテリーンを検索すると、かなり膨大な音源群を聴くことができる。これで良いのか悪いのか、本当にわからないが、自分の部屋の中で嵩張っているLPやCDたちは本当に時の財産である。色々なことに絡めて、またフィリップ・カテリーンに触れてみたいと思う。
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