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Mr.ストラトキャスターを知ってますか?

自分の中でRockというジャンルの垣根は恐ろしく低い。というか、ないといってもよい。昔のレコード店のカテゴライズと同じで、エルヴィス・プレスリーもビートルズもキッスもディープ・パープルも全部Rockなのである。
いつの頃からか、Rockも細分化されたカテゴリーの中で聴きたい音楽の対象が絞りやすくなった。反面、カテゴライズには確立されたイメージが付きまとい、時として聴きたかった音楽を遠のけてしまうこともある。

自分の中でロッカーというと、THINLIZZYのベース&ヴォーカルのフィル・リノット、ギタリストのバーニー・トーメである(若い頃の自分はギターケースにBERMIE TORNEとプリント文字を入れていたくらい彼のことが好きだったし、現在でもニックネームやペンネームには「ばあみい」や「BERMIE」を使っている・・・時もある)。
基本的にこの二人に通じるのは根底にRock‘n Rollがあり、それがハード志向になったり、時として特定のジャンルに合致する場合もある。だから聴いていて楽しい、これに尽きる。

バーニー・トーメは一時期イアン・ギランのバンドや不慮の事故でギタリストを失ったオジー・オズボーンのバンドのサポートも務めている。トーメのギター・プレイはシンプルだがザック・ワイルドやポール・ギルバートなどにも支持されている。日本では全く話題に上ることはなかったが、LP時代から日本版は数枚のリーダー作がリリースされている。
自分は「ELECTRIC GYPSIES」と「WILD IRISH」が特に好きで、曲ならば「LIGHTNING STRIKES」、「GHOST WALKING」などのミドルテンポな曲にバーニー特有のオリジナルを感じる。21世紀に入ってからのアルバムは大体持っているはずだったが、没後に発売されたほぼ最後の録音かと思える「Final Flying」を先日偶然聴くことができた。晩年の演奏と最盛期の演奏を比べるべきではないが、無念だがこの演奏でのバーニー・トーメの翼はもう折れている。しかし、引きずるようなリフと煌びやかなハーモニックスはまさにバーニー・トーメである。一連のたどたどしいロカビリー的な速弾きも、バーニーが弾くから最高なんだ。あと、この人のフレイバーに彩り添えているのは、メタルでなくパンクであることも忘れてはならないだろう。

著名な人の訃報はいつも突然訪れるものだが、パコ・デ・ルシアとバーニー・トーメの訃報に触れたとき、悲しみ以上に悔しさのようなものを感じた。これからジェフ・ベックの来日公演を待つこともなくなった今、おっさんは桜の木の下で、嫁と甘い団子で苦いお茶を飲みながら、晩御飯のおかずを考えている。

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