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「ネオアコ」 in the UK

前回の補足

まずは上の記事の補足から始めさせてください。
「当初『ネオアコ』なんて言葉はなかった」という指摘は、宮田ひろゆきさん(twitter@muselection)によるものです。宮田さんはご自身のブログに「ネオアコ」と「ネオ・アコースティック」について、豊富な表現力で熱く詳細まで語っておられますので、ぜひご一読を。
これを読むと「ネオアコ」と「ネオ・アコースティック」を同義語として使うのははばかられますね。同世代の者として、その気持ちはとてもよくわかります。1976-77年のパンクを若い時に体験した人たちの気持ちってきっと同じなんじゃないか。あらゆる音楽や文化において、それを20歳くらいまでに体験することは格別の意味を持ちますよね。
90年代にフリッパーズが「ネオ・アコースティック」を「ネオアコ」として再定義してから、「ネオアコ」はまた違うものになりました。
しかし自分は軽薄なので、現在の一般的な使い方に倣ってココでは「ネオ・アコースティック」の略語が「ネオアコ」である、とします。
ややこしいですね!!!
「ネオアコ」と「ネオ・アコースティック」が同じかどうかは、気持ちの持ちようです!

次に、前回のフールズ・メイト誌の過去記事は、ばるぼらさん(https://note.com/bxjp)がコレクションから提供してくださいました。ばるぼらさんの協力がなければたどり着きませんでした。
他の方々にもtwitter上でライナーノーツや記事をお寄せいただいております。


じゃあイギリスではなんて言ってたの

本記事のテーマです。
「英米で『ネオアコ』やそれに類する呼び名は(自分の知る限り)ないようです」と前回書きました。

SNS上でやり取りしたことがあり、音楽シーンに詳しいイギリス人お二人に、前回載せたペーパーのネオアコレコードリストを見せて聞いてみました。

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Sam Knee(sceneinbetween)さん。a scene in betweenなどの著作で有名。 
「Sophisti-Pop is the term I’d use」
(自分ならソフィスティ・ポップっていうかな)

Birmingham 81さん。twitterに盛んに81-82頃の写真をあげています。
「I don’t think I’ve heard the term neo-acoustic before. We’d call that music indie pop, although that is a much broader genre, and some of those LPs are on major labels rather than indies. Recently I’ve seen the term sophisti-pop, although I don’t like the word. I guess that The Dream Academy, Aztec Camera and Lotus Eaters could be considered sophisti-pop, but I wouldn’t use it for bands like Farmers Boys or Orange Juice.」
「ネオ・アコースティックって言葉は聞いたことがないと思う。自分たちならインディ・ポップっていうかな。でももっと幅広いジャンルだね。インディよりメジャーのLPもあるし。最近ソフィスティ・ポップって言葉を見たことあるけど自分は好きじゃない。ドリームアカデミー、アズテックカメラ、ロータスイータースはソフィスティ・ポップと言えるかもしれないけど、ファーマーズ・ボーイズやオレンジ・ジュースにはそう言わない」

ソフィスティ・ポップ!


自分は初めて聞いたと思います。早速ググります。

sophisti-pop(AllMusicより)「Sophisti-pop was a smooth, jazzy style of mainstream pop/rock that appeared during the mid-'80s. In addition to jazz, many sophisti-pop artists incorporated sweet pop-soul into their sound, but the synthesizers that usually polished the arrangements marked sophisti-pop as a product of the '80s. With its slick production and mellow, urbane feel, sophisti-pop fit both adult contemporary and quiet storm radio formats, but it never became a wildly popular trend, and by the beginning of the '90s, it had largely faded away. Some of sophisti-pop's most notable artists include Simply Red, Sade, the Style Council, the pre-electronica Everything But the Girl, Basia, Swing Out Sister, and Prefab Sprout.」


2016年プレイリスト サブスク時代の言葉なんでしょうか。
https://www.kkbox.com/jp/ja/playlist/KmqDqEiTu5MxHgXs6c

2013年の記事。インターネット時代のジャンル、とあります。
https://economictimes.indiatimes.com/spending-lifestyle/9-different-music-genres-in-the-internet-age/sophisti-pop/slideshow/22383760.cms


https://www.washingtonpost.com/entertainment/music/style-council-sophistipop/2020/11/20/2b87a588-0fd7-11eb-8a35-237ef1eb2ef7_story.html

上はスタカンの2020年ベスト盤発売に合わせた記事。Avalon期のブライアンフェリーの影響大としてるけど…当時のファンとして言わせてもらえば、フェリーさん一人の影響とも思えず…まあメジャー化&アメリカ進出を目論んで参考にはしたかもですが。

そもそもAORって言葉はどこへいったの?ブラコンは??80年代前半のアメリカのAORに対して、UKの80年代半ばのシンセの使い方がAORとの違いなんでしょうか。

(9/28追記。sosaidkayさんにご指摘いただき、2007年の上の記事が初期の記述だろうと英語版wikiに載っていたことに気づきました。ありがとうございます。よって以下の記述の年号も直しました。上の記事はこれから読んでみます💦)

ソフィスティ・ポップということばはネット時代、2007年以降の捉えなおしで出来た言葉で、ヨットでもAORでもなく、1985年あたりのUKのキラキラしたシンセサウンドを多用したジャジーなブルーアイドソウルのこと、と理解しました。メインは後期スタカン、シャーデー、ベイシアなどなど。

インディ・ポップ~
ネオ・アコースティック~
ソフィスティ・ポップ

時系列に並べるとこういうことかと思われます。

「インディ・ポップ」は、1980年頃のUKでのYMG、Marine Girls、Postcard recordsのOrange JuiceらによるDIY活動が始まりだと信じています。
cherry redのpillows and prayersのUKインディ・チャートでのヒットやラフトレードのメジャー化などにより、日本でも国内盤が発売され、1983年に「ネオ・アコースティック」(呼称はコレひとつではなかったけど)として紹介されましたが、UKや英語圏でそういうジャンルはないようです。
そうしたバンドたちが1985年頃に更にメジャー化して、本格的に現代的なジャズやブルーアイドソウルとなったものが、近年「ソフィスティ・ポップ」と呼ばれている、といったところでしょうか。

自分の興味関心は「自分にもできそう」と思わせてくれるDIY活動にあったので、現在ソフィスティ・ポップのプレイリストをかけてみると、とても心地よかったりしますが、深追いしたくなるのはどうしてもインディの方でした。

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