君は果実

林檎を齧る、君を横目で嘲る。君は私にも食べるようにその禁断の果実を渡してくる。それを食べたら失楽園ではないか。楽園を追放されるのは君一人で充分だろう。私は受け取ったそれをサイドテーブルに置いた。脚の長さが不揃いなのか、林檎の重みでテーブルが不安定に揺れた。君は虚ろな瞳で、ぼんやりとそれを眺めていた。

禁断の果実とは本当に林檎の事だったのだろうか。

あれから一月、林檎を齧った君の官能的な姿が頭から離れない。

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