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ロラパルーザ・ブラジル2024感想. SZAこそ、2024年の世界のフェス・クイーン!!

どうも。

では、こないだの日曜日に行ってきました。

はい。こないだも話しましたように、ロラパルーザ・ブラジルに行ってきました。

毎年3日間行ってたものが1日だけに、自発的にとは言えなったことは多少ショックはありました。出来たら来年はまた3日行きたいのが本音ではあります。毎年そうしてきてたし、それで毎年のリズムも生まれても今したからね。

でも、それでも今年は3日行かなくて正解だったかな。それは上の写真でも何となくお分かりいただけるのではないかと。なんか、空がスカッとしないでしょ?なんか重くグレーで。ずっとこんな天気だったんですよ、3日ともに。日差しが全くなく肌寒い日ばかりでした。まあ、日焼けはしなくて良かったんですけど、その分
、楽しい気分も減りましたね。

さらに言うと

これ、現地についてすぐに撮った写真のひとつなんですけど、15時40分付近のメイン・ステージでこの写真ですよ!いかに今年、人が閑散としていたかがわかるでしょ?その意味では、過ごしやすかったのはあるものの、活気には欠けましたね。

しかし!

それでも僕が選んで見たものはドンピシャの当たりでした!

  今回、まともに見たの、たった3組でしたけど、これが狙い撃ちして的中して、満足度高かったです。

では、最初から行きましょう。

16時20分 Nothing But Thieves(第2ステージ)

まず最初に見たのはナッシング・バット・シーブス。日本ではどうかよくわからないんですが、イギリスではもうかなり大きなバンドです。2010年代の後半からアルバム・チャートならトップ3に入るくらいにはなってたんですけど、昨年にリリースされたアルバム「Dead Club City」が彼らにとって初の全英ナンバーワンを獲得。今やウエンブリー・アリーナを2デイズ埋めるくらいのバンドになっています。バンドの勢いとしては、今なら近い時期にデビューしてたロイヤル・ブラッド抜くところにいるんじゃないかな。僕も去年のアルバムは年間ベストの20位台の前半に入れたくらいに好きだし、10年代後半の時点でかなり気にしていた存在だっただけに楽しみでした。

会場には開演のギリギリ前に着いたんですけど、前に近づこうとしたら、思ったほど前に行けず前方だけではあったものの、かなり熱いファンを着けてましたね。どうやら過去にも単独公演で来ててそのときにファンもつかんだようなんですけど、その理由も何となくわかる気はしました。

ライブは最新作からのヒットチューンのひとつ「Welcome To The DCC」で幕を開けましたが、これはやはり技ありの良い曲ですね。もともとMuseや初期レディオヘッドへの類似性が指摘されるタイプではあるんですけど、今回のアルバムではウィーケンドからのかなりダイレクトな影響が感じられるんですよね。ウィーケンドというのは、R&Bにエレクトロやアリーナロックの要素を取り入れたりした形で独自のサウンドの表現を広げ、昨今、屈指のアリーナ・スターにもなっている存在なんですけど、、今度はそのウィーケンドがやった手法をロック側から再吸収しているのが今現在のNBTですね。この曲なんて、ウィーケンドの最新作「Dawn FM」の代表曲の「Sacrifice」って曲にそっくりなんですよね。ファンキーでスピーディなベースラインの刻みなんてほぼ同じだし(笑)。こういう関係性って、ロックがかつて流行りのR&Bから新しいサウンドの着想を受けるべく積極的に取り入れたことをなんとなく思い浮かべさせるんですよね。

前半はそうした最新作からの曲が目立ちましたね。3曲めに披露した「Tomorrow Is Closed」はMuseがストロークスの初期の曲に影響されたみたいな1曲でもあり。「Last Night」の軽快なモータウンをも思わせるカッティング・ギター主体のウキウキするようなグルーヴ感ですね。勢い、ダイナミックな曲の組み立てで聞かせるタイプだと思っていただけに、こうしたリズム面をメインにしたサウンドの進化はすごく興味深いですね。

中盤に差し掛かると前々作の「Broken Machine」(2017)や前作「Moral Panic」(2020)の曲が主体となるんですけど、ここではバンドの看板、現在のロックシーン全体でも屈指にうまいシンガーです、コナー・メイソンによる歌いっぷりが抜群に光りましたね。彼、体は小柄なんですけど、左手でスタンドマイクをぎゅっと握りしめて、自慢のハイノートを力一杯歌い上げる姿はやはり圧巻ですね。この点に関して言えば、やはり現在のシーンにおいてはトップクラスの逸材ですね。とりわけそれがブラジルで好反応なのかもわかります。ブラジルの場合、歌や演奏の実力の高いバンドを好む傾向があるんですけど、その眼鏡にかなう典型的なタイプなんですよね。

でも、やっぱり一番の盛り上がりはラストから2局目にやった彼らの出世的な代表曲「Amsterdam」を披露した時ですね。スリリングで性急に畳み掛けるこの曲はコナーのヴォーカルの真骨頂で、とりわけサビでの高音シャウトが光ります。とりわけクライマックスは2コーラス目を歌い終わった後、ギターソロを挟んでサビをもう1回歌う時のエモーショナルなシャウトと、高音域を連発するアウトロの歌い上げなんですけど、部分的に一番高いキーが出なかったりはしたんですけど、それでも十分に高度なものを歌いきっったカタルシスでファンへのアピールも十分です。

最後は最新作からのミディアム・ナンバー「Overcome」で締め。バンドの人気が上がる瞬間を逃さすにしっかり期待に応えるあたりは貫禄も感じましたね。ヨーロッパのフェスあたりだと、次のアルバムでヘッドライナー狙えるんじゃないかな。

18時間50分 オマー・アポロ(第3ステージ)

続いては第3ステージでのオマー・アポロ。彼のは、第2ステージでブラジルの大ベテラン、ジルベルト・ジルがやってるのを遠巻きに見ながら、彼の出を待ってましたね。

オマーは一昨年に「Evergreen」という曲がtik tokでヒットをしたのをきっかけに、それでデビュー・アルバムもロングヒット。その影響で次作にも高い期待がかけられています。

本当は去年のロラに来るはずだったんですけど、SZAの全米ツアーのオープニング・アクトに選ばれたことでキャンセル。今年、その埋め合わせのために来た形です。

彼が2022年に出した「Ivory」というデビュー作は、印象でいうとブルー・アイド・ソウルなんですが、ロック寄りのシンガーソングライター的な聞き方ができる感じで、そういうところでも今っぽいなと思っていました。

ただ、百聞は一見にしかず、彼みたいな人の場合は本当に見た方が早いと思いましたね。聞いただけだとぼんやりしていたところがはっきり見えてきました。ズバリ、この人、ものすごくポテンシャルあります。例えて言うなら、ブルーノ・マーズでも、エド・シーランでも、ハリー・スタイルズでも、継承できる、ものすごく稀有な才能です。だって、どれにも共通した要素があるんだから!

あとはゲイ系のセクシー・スターを自認してますね。この日はスパンコールをちりばめたシャツにホワイトの肌着、そしてベルトを外した、あそこの部分がゆるめのジーンズと、もう、かなり狙った衣装着てて、またモニター担当の人がそこをわかってか、下半身から上に上げるようにカメラ動かすんですよ。それに合わせて、彼が上下にダンスするので、まあ、刺さる人には刺さりますよね(笑)。

彼自身もMCで「ゲイはどのくらいいるんだい?手を上げて。あっ、キミ、空港来てたよね?花、ありがとう」と、思い切りアピールですよ。トロイ・シヴァンとポジション争いという線もあるわけです。

見た目のセクシーなスター性も、歌唱力、楽曲の力もある。順調に成長すれば、黙っててもスターになるタイプですね。小さめのステージで見たことが逆に「そういう時に見たんだよ」というネタで語れそうな意味でも、貴重なライブだったと思います。

21時20分  SZA (第1ステージ)

そしてヘッドライナーのSZAですが、もう今回のパッとしないロラパルーザにおいてもですね、、彼女の名前があったから、それでも行こうとなったんですよね。今期のフェスにおいてSZAは僕にとっても最優先課題でした。なんてったって、昨年のベスト・アルバムの3位にしたくらい「SOS」はお気に入りの作品だったし、さらに言えばデビュー・アルバムの「Ctrl」も2017年の年間ベストアルバムのトップ10に入れてます。ズバリ、お気に入りですよ。

 で、時間も空いていたので早めに会場着いて幸いにして前の方に行けたんですけど、周囲は黒人の女の子、多かったですね。20代くらいの。これは新鮮な光景でしたね。ケンドリック・ラマーも2019年にヘッドライナーやってますけど、あの時、思ったほど黒人いなかった印象なんですよね。それが今回はいっぱいで。やっぱケンドリックの場合はうるさ型のロックファンでも聞くからそれで白人の野郎も多かったのかな。そこに行くとSZAは「共感の女王」みたいなところがあるから女の子、入って行きやすいのかなと感じました。

 予定時間から遅れることなく、きっちりとライブが始まり

ステージ右手の高台からSZAが登場。Seek&Destroyからライブがスタートしましたけど、まあ〜、この時点でびっくりでしたね。声、すっごいんですよ、この人!

 生バンドで演奏は構成されていて、その演奏に負けない音量だったんですけど、声の圧がすごいというか。だから最初、リップシンクも疑ったんですけど、でも、どう聞いても生なんですよ。コール&リスポンスのタイミングでちゃんと歌も抜けてるし、呼びかける声がとにかく高くてデカい!キーンって響くんですよ。

高台から降りて、序盤はダンサブルな曲が多かったんですけど、かなり激しめに踊ってお尻強く揺らしたりしてるんですけど、声のブレが全然ないんですよ。

もう、全身から、体震わせて、声、絞り出すんですよ。動きがゴムまりみたいなんですけど、その弾力で声が出てるかのような、そんな感じで。

 最初の方は彼女自身の90sの体験から、ストリートに訴えていたタイプのR&Bが多かったんですけど、徐々に彼女のシグネチャー・サウンドにもなってる印象主義クラシックみたいなネオソウルから、「SOS」で聞かれたフォーク、さらにパンクロック的なサウンドまで自在に操るんですよね。

このアフロ同士でお揃いになってるバックの女性ギタリストの絡みもカッコ良かったりもして。

 僕、彼女の場合は、こういう「器用なソングライティングができる人」と云う印象で、そこまでライブに期待してなかったんですよ。やっぱ10年代のR&Bのソングライティング・メインのアーティストと言ったらフランク・オーシャンだったりソランジュだったり、フラジャイルでライブ向きとは言えない人の印象が強かったじゃないですか。実際、ライブほとんどやらないし、やった評判も決して良くはない。だから、そっちに近いものも考えてなくはなかったです。それがここまで前向きなパワーがあり、ものすごく力強いんですよね。

見せ場多いライブではあったんですけど、僕の場合はポイントはいくつかあって。まずは映画「ブラックパンサー」での主題歌にもなったケンドリック・ラマーとの「All The Stars」。この曲で特に彼女特有のソプラノのキーンッとした声が目立つようになってきたと思うんですけど、この歌い方聞いてても、彼女のそれって「ソウルフル」というのとは少し違うんですよね。90sの時までに聞いたことがない、00sでもなかったような声なんですよね。

僕はメアリーJブライジもローリン・ヒルもアリシア・キーズも、デスティニーズ・チャイルド時代のビヨンセも一番いい時期にライブ見てますけど、「ソウルフルな歌唱」という意味では彼女たちの方が上なんですよ。ただ、それでSZAが下手だとか味があるタイプとかか、と言われたらそれは全く違う。明らかにうまいんですよ。ただ、R&Bで一般的でなかった歌い方というか。

強いて言うなら、昔、日本にPSYSってユニットがあって、そこにCHAKAさんっていう女性シンガーがいたんですけど、あの人の高音の持って行き方に近いと言えば近いですね。それ以外にちょっと思いつかない歌い方というか。でも、それが、R&Bを型にはめずに進化させる要因にもなっているか、「SOS」で聞かせた彼女のサウンドのように自由になってるんですよね。

それから、ドージャ・キャットとの共演で大ヒットした「Kiss Me More」は途中からサンバ・アレンジに変わって、そこでSZAがブラジル国旗を掲げるサービス。ブラジル的にはここ、大受けでしたね。フジロックでも、日本なりの表現があったりするかもしれません。

あとは刀持って歌った「Kill Bill」ですね。彼女は「Drew Barrymore」もそうですけど、映画からのレファレンスを使った洒落た歌詞も多くそこも人気なんですけど、歌詞世界にあったライブの演出も丁寧にやって、そこもエンタメ的にすごく面白いところです。

 もう、こう話してきていても、彼女が進化するR&Bを背景にしたバイタリティ溢れる、これまでにないタイプのライブ・パフォーマーであることは伝わるんじゃないかなと思うんですけど、その意味で一番近いのはウィーケンドですね。彼もR&Bなんだけど、エレクトロのグルーヴ感とアリーナ・ロック的なダイナミズムをサウンドとステージでのショーアップに取り入れてますけど、それとは別の次元でエンタメ性の高いパフォーマンスに発展させているのがSZAですね。

ライブでのショーアップというと、もう大金使った巨大スペクタクルの世界ではビヨンセには誰も叶わないじゃないですか。ただ悲しいかな、ビヨンセだとあくまでもシンガーなので音楽を手作りで聞かせる表現者にはどうしてもならないし、音楽の部分がどうしても離れた感じで見えてしまう。SZAの場合は、彼女の作る曲のイメージの世界をちゃんと届けていて、それがちゃんと広いオーデェンスに届くように考えて作られてます。ここまでできる人だとは、正直思ってなかったです!

矢継ぎ早に23曲で構成されたライブは「Good Days」で名残惜しそうに幕を閉じました。ただ、終わった後も見た人の余韻はすごく強く満足度も高そうでしたね。実際、ブラジルのメディアでは今回のロラパルーザのナンバーワン・ライブにこぞって彼女の名前をあげてましたよ。

SZAは6月にはグラストンベリー、そして7月にはフジロックで日本に行くわけですけど、僕が味わったようなこういう、予想以上の満足感の高い嬉しい驚き、世界に届いていくと思いますよ。フジロック、行かれる方は、できるだけ、彼女の出演する初日は見るようにしましょう。絶対、公開はさせないはずです!







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