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「平成の日本の50枚のアルバム」の選出とその根拠

どうも。

では、昨日に続いて、今日は「平成の日本のアルバム50枚」、これについて語ることにしましょう。

繰り返しになりますが、これが選考基準です。

A.後世への影響が非常によく語られる

B.サウンドの時代の先取り、もしくはマニアックな音楽性で定評がある

C.大きなムーヴメントの中心、もしくは超大型フェスのヘッドライナー

D.日本以外の国で評価が高い

E.ミュージシャン仲間に尊敬されキャリアが長い

F.そのアルバム、作品を人に推薦する行為が自分にとっての嘘にならない

A〜Eのどれかに該当して、Fを通過、これが難しいんですけど(笑)、したアルバムを50枚選んでます。

では、1989年から2018年まで、平成のアルバム50枚、こんな感じになりました!

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これもいい感じの眺めだなあ。

アルバム名、左上隅から右下隅に言っていくと

Blue Blood/X JAPAN(89)
服部/ユニコーン(89)
Bo & Gumbo/ボ・ガンボス(89)
クロスブリード・パーク/ニューエスト・モデル(90)
家庭教師/岡村靖幸(90)
狂った太陽/BUCK TICK(91)
ヘッド博士の世界塔/フリッパーズ・ギター(91)
女性上位時代/ピチカート・ファイブ(91)
結晶 Soul Liberation/オリジナル・ラヴ(92)
Soul Kiss/CHARA(92)
C.B.JIM/ブランキー・ジェット・シティ(93)
jaguar hard pain/THE YELLOW MONKEY(94)
東京の空/エレファントカシマシ(94)
LIFE/小沢健二(94)
空の飛び方/スピッツ(94)
5th Wheel 2 the Coach/スチャダラパー(95)
迷走/DJクラッシュ(95)
4 PLUGS/マッド・カプセル・マーケッツ(96)
空中キャンプ/フィッシュマンズ(96)
11/UA(96)
A/電気グルーヴ(97)
FANTASMA/コーネリアス(97)
Sunny Day Service/サニーデイ・サービス(97)
チキン・ゾンビーズ/ミッシェル・ガン・エレファント(97)
Little Busters/the pillows(98)
Evil And Flowers/Bonnie Pink(98)
スーパーアー/ボアダムズ(98)
BUZZ SONGS/ドラゴン・アッシュ(98)
無罪モラトリアム/椎名林檎(99)
First Love/宇多田ヒカル(99)
ステレオタイプA/チボ・マット(99)
Ray/L'Arc〜en〜Ciel(99)
School Girl Distortional Addict/ナンバーガール(99)
Stilling,Still Dreaming/The Blue Herb(99)
3/キリンジ(00)
High Vision/スーパーカー(01)
HELL-SEE/シロップ16g(03)
アンテナ/くるり(04)
君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命/銀杏BOYZ(05)
空洞です/ゆらゆら帝国(07)
GAME/Perfume(08)
告白/チャットモンチー(09)
Nicheシンドローム/ONE OK ROCK(10)
Are You Ready?/斉藤和義(10)
幻とのつきあい方/坂本慎太郎(11)
Uncontrolled/安室奈美恵(12)
Monochrome/KOHH(14)
Obscure Ride/Cero(15)
Bootleg/米津玄師(17)
Pop Virus/星野源(18)

以上の50枚ですけどね。

これも昭和のときと同じ感じで言及していくとしましょう。


89年あたりだと、まだバンドブームの最中ですけど、このときに注目されたX JAPAN、ユニコーン、ボ・ガンボスを選んでます。X JAPANみたいなタイプは人によってはこういうオールタイムに入れるの渋る方もいらっしゃるんですけど、そういう「日本のアリーナ・ロック全排除」みたいなオールタイムも実際によく見ますけど、僕はあんまりいいことだと思わないし、そういうのはちゃんとした批評になりません。なのであえて入れてます。実際、日本に本格的なアリーナ・ロックの時代、呼び込んだことと海外にファンが多い事実は無視できないことなんで。

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僕的には、この時代だったらユニコーンの「服部」ですね。僕の世代だと、渋谷系強いんですけど、あの頃の洋楽好きな人で、「シーンじゃなくて実際の音楽性」重視の人でユニコーン好きな人って多かったんですよ。やっぱり、それはメロディ・メイクとかサウンドのセンス。あと民生のレンジ広いヴォーカルですね。ユーモアのセンスで10代の女の子のファンが多かったんですけど、音ちゃんと聞く人にも支持強かったんですよ。それがハッキリするのは民生のソロでハッキリするんですけどね。ただ、ソロが最初の方は良いけど、あとのほうがなあ・・。実力から言ったら両方で選ばれてないといけない人なんですけどね。

あと、この当時で、「音楽のマニア度が非常に高い」と思わせたのが関西のボ・ガンボスニューエスト・モデルですね。南部音楽やらアイリッシュ・ソウル・ミュージックとか、そういうものを貪欲に取り込めるバンドって、その後見てもそう簡単にいませんからね。僕も当時大学生でしたけど、ついて行ききってなかったのが惜しまれます。

あと、岡村靖幸の「家庭教師」はもう大定番中の大定番。今回、あえて専門的なR&Bシンガーを入れていないのは、岡村ちゃんみたいな類まれなシンガーがいてその役目を果たしてくれたからです。そして、言うまでもなく歌詞も発想の時点から信じがたいものがあります。

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そしてBUCK-TICKの「狂った太陽」。BUCK-TICKもX JAPAN同様、イメージで外しちゃう人多い気がするんですけど、ここでのマッドチェスターのリズムとか後年のグランジとかシューゲイザーとか、マニアックな先進性、すごいんですよ、この人たち。あと、妖艶なメロディ・センスもいいしね。このアルバムだと「さくら」みたいな変則和製チューンとか、予測できないこともやってくるし。バンド寿命が30年続く懐深さもわかる気がします。


そして、言うまでもないですね。渋谷系。ここはフリッパーズ・ギター、ピチカート・ファイヴ、オリジナル・ラヴ。トリオでちゃんと選んでます。まあ、許可なしサンプリング問題でもめる人もいたとは言えですよ(笑)、日本の音楽ファンが音楽にカルチャーに、ここまでマニアックに誘導された時代って、本当にないですからね。ネオアコ、マッドチェスター、サンプリング・カルチャー、60sと70sのソウルにイタリア映画のサントラまでに至ったわけですしね。あのパワー、すごいと思いますよ。あとピチカートなら国際評価、オリジナル・ラヴならシティ・ポップでの再評価も見逃してはいけません。

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そしてCHARAですね。彼女と言えば、96年にYEN TOWNBANDでのヒットが印象として大きいんですけど、僕は92年に彼女を知ったときの衝撃の方が遥かに大きかったですね。あの独特の鼻にかかった喘ぎ超えで、振り絞るように、いい意味ですごくエッチな感じのするあの歌い方!あの当時、「女プリンス」とか「女岡村ちゃん」とかって言われ方しましたけど、まさか女性でその路線の後継者が出てくるなんて言うのは、その後だっていたわけじゃないから、すごい稀有な才能だと思いましたね。このアルバムから3枚くらいまでは本当に大好きでしたね。また、彼女いたからYUKIとかUAみたいな人が出てきやすくなったし、彼女たちなりの優れた作品も生まれたと思ってます。

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ブランキー・ジェット・シティ、イエロー・モンキー、エレファントカシマシ。この3つとも、この当時のロッキング・オン・ジャパンのお気に入りでしたけど、移籍前のほうが良かったと思いますね。だから、その時期の作品選んでます。ブランキーはポリドール以降はフジロックはじめフェスのヘッドライナー貫禄で務めてますけど、EMIのときの方が何やってくるかわからない不穏さと土屋昌巳のプロデュースによる曲の多彩さがあったと思うし、イエロー・モンキーは、ここに選んだアルバムのときは「和製グラムロック」を寺山修司的というか渋谷ジアンジアンみたいなレトロ東京アングラーなフィルター通してできる人が出てきたんだと正直驚きました。エレカシは実は昭和でファースト選ぼうとしてたんですよ。あのファースト、和製ガレージ・ロックとしてはかなり突然変異的な傑作でしたからね。ただ昭和がカツカツで平成に余裕が出来たので移すことにしたんですけど、やっぱりEPICでのラスト作ですね。なんか、本宮ひろ志的ダンディズムがそのまま音になったような無骨な文学性が成長しててね。その後が悪いわけではないけど、時間かけて生成することってやっぱ大事かと。

 スピッツも、この頃にブレイクですね。息が非常に長く、軸がぶれない人たちなので選盤難しくはあるんですけど、やっぱりミリオンのセールスをこうした素朴なギターバンドが記録したインパクトが大きいのと、「でもロビンソンの前にすでに化けるポテンシャル、あったよね」というとこでの「空の飛び方」です。

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 小沢健二スチャダラパーを近い時期の作品で選んでますね。オザケン最高の全盛期で、この2組の「今夜はブギーバッグ」もサブカル・アンセムでしたからね。スチャのこのアルバムは日本のアルバム・チャートではじめてトップ10入った作品ですけど、先にこういう文化系的な感じがヒップホップでウケちゃったものだから不必要にディスられましたけど、ああいう無用な足の引っ張り合いが日本のヒップホップの成長阻んでいたような気はしてます。あの当時にすでに日本のヒップホップのシーンも出来つつあったんですけど、その最大の成果はDJ KRUSHですね。トラックひとつで海外渡って、全英アルバム・チャートに2枚連続で100位に入れたんですからね。この事実、あまり語られないですけど、90sの日本の音楽界の実力語る上で必要ですよ。

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96、97年頃の日本の音楽のすごいところは、いろんなタイプの音楽から傑作が生まれたことです。インディ・ギターバンドもヒップホップも良かったうえにオルタナティヴ・ラウドロックではマッド・カプセル・マーケッツが当時としては群を抜いた世界基準の作品出したし、テクノでは電気グルーヴがキャリア・ハイの作品だったし。そんな中でも唯一無二の存在感を放ったのはフィッシュマンズでしたね。一瞬存在したレゲエ期のRCサクセション継承したような音楽性からダブをプログレッシヴに発展させ、強い歌心があるままにディープでヘヴィな恍惚かな触れたグルーヴ形成してね。無意識のうちに、あの当時のマッシヴ・アタックとかポーティスヘッドのトリップホップに日本から独自の回答出してるみたいで、国際的に通用するオリジナリティありました。佐藤伸治の3年後の急死は本当に惜しかったですが、その前の数作は日本の音楽史にずっと残りますね。そして、そんな当時のジャンルを超えた巧みなサウンドメイカーたちの多様な音に乗りながら、天性のソウルシンガー、UAが傑作デビュー作出したのもこの時期です。

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 あと、90年代後半というのは、「下北沢発のインディ・ギターバンド」というのがひとつのシーンの中核でしたけど、サニーデイ・サービスミッシェル・ガン・エレファント、そしてザ・ピロウズ。どれも重要でしたね。サブカルなら断然サニーデイでしたね。「ポスト渋谷系」「はっぴいえんどの再来」みたいな言われ方で「東京」が盛り上がりましたけど、僕的にはこの2作後のセルフタイトルのアルバムの方が「オアシスの世代からはっぴいえんどやってる」みたいなアイデンティティがより濃く出ていると思ってます。そしてミッシェルは、この時点での日本のロックンロール・バンドの頂点というかね。アークティック・モンキーズの10年前に、よりアグレッシヴな形で高速ガレージ・ロックやってて、切れ味ではあの時代のラウドロックよりも上なくらいでね。最高傑作は2作目から4作目ならどれもいいんですけど、ヘヴィになりすぎないで怒涛の勢いがある3rdで。ピロウズは、この2つのバンドほど当時はヒットしてないんですけど、「下北の大将」イメ0時は当時からありましたね。派手さはないんだけど、USとUKのインディ・ギターロックのいいとこ取りできるセンスと、数回聞いたら覚えられるメロディメイカーぶりは非凡でしたね。その能力は40代に入ってからアルバムがトップ10入りしはじめたり、国際的に人気が出たりしたことでも証明されてると思いますね。

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 90年代は音楽の国際交流が進んだ時代ですけど、そのひとつにスウェディッシュ・ポップ。流行りましたよね。トーレ・ヨハンソンは世界的なプロデューサーにもなるわけですけど、そこに目をつけられた日本の先見性も見事でした。中でも、トーレを媒介にしながら独自のサウンドを開花させられたBonnie Pinkは僕はもっと評価すべきだと思います。あと日本人の海外進出と言えば、ニルヴァーナの前座もやりロラパルーザにも出たボアダムズね。エクスペリメンタルのバンドで世界規模で数万人を踊らせることができる人たちって、世界の長い歴史でも相当数少ない快挙だと思ってます。そして、ニューヨークのインディ人脈と交遊を経てアメリカ進出も行ってビルボードのTop200にはいったチボ・マットも快挙でしたね。

 ただ、90年代後半って、世間一般にはV系の時代でもあって。その中だったら、やっぱりラルク・アン・シエルで良いと思います。楽曲のもととなった音楽ルーツの染み込み具合、メンバーの音楽ファンぶり、楽曲のスケール感で文句ないかと。V系だけでなくインディ・ロックの側にも少なからずファンがいることや国際的ファンベースがあることでも有効だと思います。ドラマー代わってグランジの要素入ったあたりが上り調子だったかな。

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 99年に、ミリオンセラーと共に「日本の音楽、変わるんじゃないか」と驚かせた2組と言えばドラゴン・アッシュ宇多田ヒカルだったと思います。若い2世アーティストで、日本にR&Bとヒップホップをもたらした、という感覚は親世代にとっても新鮮だったと思います。僕自身も、渋谷系以降の日本の音楽の流れが怒涛だった先に、当時まだ20歳になったくらいのkjと16歳だった宇多田が音楽界の頂点に立ったことはかなり希望を持たされましたからね。ただ、宇多田は「First Love」で良いと思うんですけど、DAの方は「Viva La Revolution」が出る前の期待感までの方が正直大きかったかな。「Grateful Days」のリリックは茶化しネタにもなってしまったわけで。あれよりは、僕が今回選んだ方のアルバムで「陽はまたのぼりくりかえす」「Under Age Song」といった力強いアンセム書けた力の方を評価したいです。

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そして、そして、そして(笑)!僕が、これを外して語るわけには行きません。ナンバーガール。そしていわゆる「98年の世代」ってヤツですね。くるり、スーパーカー、そして、今はもう中村一義じゃなくて椎名林檎にしたほうがリスナーの現状にもあってるんじゃないかな。これ以降の世代の人たちにとって、もう本当に大きなロールモデルになってしまいましたからね。やっぱり、そうなってしまったというのは、音楽のマニア性の高さだったり、音楽を進化させたいという前傾姿勢だったり、リリシストとしての言葉の影響力だったりもある。そういうとこでのイメージ作っちゃったとこありますよね。特にナンバーガールの向井に関して言うと、自分の音楽や言葉のセンスだけでなく、彼が尊敬するものとしてあげるたとえばソニック・ユースやピクシーズ、デイヴ・フリッドマンから、イースタンユースにブラッドサースティ・ブッチャーズ、そして当時まだ知る人ぞ知る存在だったオルタナティウなジャパニーズ・ヒップホップのブルーハーブをロックファンに興味もたせたりもしてたりと、そういう意味でも影響力、大きいんですよね。

 こうしたところが、若いリスナーにとっての憧れの存在になる中、実は98年にメジャー・デビューしてたキリンジが、フェス見に行く層とかバンド組む層とは別の方向性で支持層掴んで、シティ・ポップの流れを先取りつつも、そのタームだけで括れない孤高のミステリアスさで保ってカリスマにもなりましたね。

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で、98年の世代の下の世代、いわゆるバンプ、アジカンの世代なんですけど、影響力があることは間違いなくわかるんですけど、これまでの歴史上のアーティストと比較してしまうと・・・というところはどうしてもあるんですよねえ・・。あと、連載でも書きましたけど、エモ、ポストロック、マスロックといったサウンドに記号的にとらわれたバンドが多かった印象も気になって。なので、ここでは「現状のシーンでの人気、知名度」を無視して、「後年に影響力、ズシリと来そうな感じ」のものを優先させてください。

まずはやっぱりシロップ16gかな。これ初めて書きますけど、彼らはナンバーガールの99年の渋谷クアトロのワンマン、ライブ盤になったあのライブですけど、そこでドラムの中畑君紹介されて彼から自主製作カセットを手渡された思い出があったりするんですけど、当時から五十嵐君のニルヴァーナとかグランジ世代にも通ずるシリアスな沈鬱さに溢れた歌詞と、メロディに対する臭覚は抜群でしたね。そういうタイプだからか、なかなか契約も時間かかって大変そうでしたけど、こうやって出てきたら、「ニルヴァーナmeetsザ・ポリス」みたいな、世界でもあんまり例を見ない感じに昇華されてて流石だなと思いましたね。あと、今の洋楽のインディ・ロックファンでバンプ・アジカン世代だった人のあいだでシロップをリスペクトする声ってすごく多いんですね。この先の影響力、強まりそうな気がします。他の2つはまず、青春パンクの中でも、もうストーリー性と言葉のセンス、ハードコア・パンクに対しての音色のセンスで銀杏BOYZって、やっぱ他のバンドとは明確に違うなと思います。今回、ザ・ピーズをら選ぼうかとも思っていたのですが、銀杏で一本化した意味も込められてます。そして、ガールズバンドに影響を与えた意味でチャットモンチー。彼女たちの場合、最初の方はそんなに面白いと思わなかったんですけど、選んだ「告白」ってアルバムだと、この時代のバンド特有の記号的なサウンドの影響から逃れられてるし、楽曲もメロディの高低のダイナミズムがあってスケール感あることがわかって、あそこまで大きなバンドになったのも理解できましたね。

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ゆらゆら帝国も、平成を語る上では重要な存在ですよね。高円寺のシーンという、とっつきやすいオシャレ感とは無縁のところで60sのアンダーグラウンド・サイケと歌心を発酵させ、30代でメジャー・デビュー。そういう人たちがチャートに入る成功収めただけでもある意味快挙だったのに、40代になって「空洞です」出す頃になると、ギターのリフからアンサンブルから、世界的にも一筋縄ではいかないバンドになって、45歳超えて坂本慎太郎としてソロになって実力を国際的に評価されて世界的な活動を展開するアーティストになって。平成の音楽界の中でも、屈指の夢のある話だと僕は思ってます。

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今回のチョイスはピロウズやゆらゆらのように、大器晩成タイプを積極的に入れてます。それこそが本当の実力だと思うからですけど、この斉藤和義はその最たる例ですね。ずっと「過小評価ナンバーワン・アーティスト」みたいな言われ方を実際されてましたが、それはこういうところで作品が選ばれてこなかったからだと思い、選ぼうと思いました。この人、改めて気がついたんですけど、日本で「出てこなかった」と言われていたロックンロール・リバイバルに無意識に対応してるんですよね。考えてみたら彼、アコースティックと、音数削ったレス・プロデュースなギター・サウンドが売りだったので元からそうだったと言えばそうなんですけどね。一部で「日本のジャック・ホワイト」という声も上がっていたのも見たんですけど納得です。このアルバムでの「ずっと好きだった」も、こういうグラムロック調のブギーなロックンロール、若い世代からはなかなか出ない発想ですしね。10年代に底力でブレイクしたのは大いに理解できます。

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続いてはONE OK ROCKです。「ハイスタ世代、選んでないのにワンオクかよ」とお叱りを受けそうな気もしますが、こちらを優先したのは理由があります。一つは海外での圧倒的な知名度です。ブラジルでさえ、非音楽関係者でワンオク知ってる人に少なくとも3人は会ってて彼らが「あんなアメリカのバンドみたいなバンドが日本にいるなんて」という感想言ってるんですよね。ハイスタでそんなことは一回も経験ないです。あと、たしかにサウンドそのものはアメリカのメジャーのバンドそのまんまなところはあるんですけど、それを可能にするTAKAの声ってやっぱり相当貴重というか。漫画の「BECK」のコユキの奇跡の声って、彼の声でやれば良かったのにと思えるとこ、ありますしね。あと、日本語と英語の混ぜ方の自然さ。あれもかなりの才能だと思ってます。

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そして、アイドルからも今回、二組選んでます。Perfume安室奈美恵です。Perfumeは彼女たちがというより、中田ヤスタカへの一票です。ポップなエレクトロの才能としてはやはり才人です。安室ちゃんは、日本が生んだ歌って踊れるエンターテイナーとしてはやはり最高峰ですね。特に、10代のこしらえてもらった時期を脱皮して、いったんスランプ時期を超えて、自分のやりたい音楽を模索して進化して、海外の本場のクオリティを求めて30代半ばでピークを迎えたことは大いに評価すべきことだと思ってます。

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そして、2010年代後半から4組ですね。KOHHCero米津玄師、そして星野源。この4組は立派だと思います。連載でも書いたようにKOHHは日本のヒップホップのレベル、一気に上げたと思うし、Ceroのマニア性も日本のバンドにしばらく失われてたものだったし、米津はボカロ出身がやたらと言われますけど、あのむりのある詰め込んだ曲展開。生で可能にするあの力強さとコントロール能力のある声の存在はもっと評価されて良いと思います。そして星野源は、元から持つ歌の強さに、サウンド・プロダクションのモダンな進化が絶えずついてくるのは見事ですね。連載でもら書きましたがアメリカのR&B新世代と共鳴までするようになったわけでもあって。彼の声って、青山陽一さんっていう僕の好きなシンガーの方がいるんですけど、あの人の声にソックリなのも気に入ってるとこです。

・・というわけで、昭和と平成で100枚決定です。100枚、改めて見てみましょう!

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いやあ、壮観です。

もちろん、中には「おいB'Zは?」とか「なんでミスチルがないんだ」とか、上にすでに指摘したものがないのとが不満の人もいるかとは思うんですけど、あくまで「2020年での僕の評価」に過ぎないものだと考えてください。5年後に選ぶ際には入るかもしれないし。逆に僕も「個人的には好きなんだけど、そこまでの一般評価が」というものもかなりありましたしね。そこは、そこまで気になさらずに。いずれにせよ、選んでかなり楽しかったです。


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音楽ジャーナリスト。90年代にNHK-FMで番組を制作した後、99年よりフリー。2004年にインディ・ロック・マガジン「Hard To Explain」を立ち上げる。2010年よりサンパウロに移住。同年に洋楽・洋画・海外ドラマ専門ブログ「THE MAINSTREAM」をはじめる。

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