日本で言うところの「ロックの終わりの危機」とは、一体何のことを指しているのだろう。

どうも。

ここ最近は、こないだのオールタイム映画100選にまだはまってますね。あのリストの中から3日連続で映画見ちゃいました。「ヒズ・ガール・フライデー」「マルタの鷹」「オール・アバウト・マイ・マザー」を見たんですけど、前に見たときより細かい部分も拾えたりして、より感動が強まったんですよね。やっぱ、自分の好きなもの、何回も鑑賞するって過程は大事ですね。

 まあ、それはさておき、ちょっと気になることがあったので、ちょっと今回、話題にしようかなと思ったことがありました。

 紅白歌合戦、僕のところでは見る環境がないので見てないんですけど、なんでも、「最後のロックバンド」みたいな銘打ち方をした人たちが2組出たんでしょ?それを称して「ロックがかつての演歌のポジションになったようだ」なんておっしゃった方もいらっしゃったようで。

 僕、これに関して、直接当のアーティストを批判する意向はありません。だからこそ、その紅白のアーティストの写真を背景に使うようなこともするつもりはないです。

 ただ、50〜60代の日本のアーティストに「最後の」だの「時代遅れの」だの言わさせてしまう精神的なある種の不安感、開き直りというのは、一体これ、何なのだろうと、そのことが気になりました。

 あと、僕がこのブログで書くロック系の評論記事でも、先行きの不安なタッチの記事の方がポジティヴな内容のものより長く読まれるんですよね。それ、個人的には歓迎したくないので人気の記事、削除しようかなとも思ってたりもするんですけど(笑)、ただ、日本のロックファンの方に、そうした不安を強く感じて、おそらく、その不安の理由を知りたがっていらっしゃる方が多いんじゃないかと思います。

 そこで僕なりに分析してみようかと思います。

まずThe Last Rockstars、YOSHIKIとかhyde、SUGIZO、Miyaviのヤツですね。あの人たちが差すロックのイメージというと、「バカでかいアリーナで、ステージで派手な格好と仕掛けで楽しませるロック」「それに世の多くの少年少女が夢中になる」みたいなイメージなんだと思います。

 まあ、彼らが意図したものが仮にそういうものだとしたら、それはラストじゃなく、とっくに終わった概念だと僕は思ってます。やっぱ、僕の場合は90sにオルタナティヴ・ロックの側について、そういうののアンチやってたタイプなので。あくまでも「音楽性」で判断したいので決して全否定ではなかったんですけど、「より普段着で、リアリティあること歌う」のがロックの標準になってた90s以降において、「時代の空気読めてないよなあ」と思って、距離感は感じてましたね。

 別にマネスキン好きな人が、そうした1992年以前に欧米のアリーナで人気だったタイプのロックとの共通点を見だして好きになることを否定したいとは微塵も思わないし、いつの時代もああいうロックのグラマラスさってある部分必要だとも思ってます。ただ、そのマネスキンの例をとっても、サウンドそのものはむしろ90s〜10sのコンテンポラリーなロック、ポップの影響の方が色濃いし、メタルとかV系のバンドにありがちな体育会系っぽさとかがまったくない。女の子のファンとかグルーピーに対して蔑視的な接し方するわけじゃないし、だいたいメンバーに女の子いますしね。ダミアーノだって、自分のカノジョに熱あげるインスタばっかりあげるような人だし。あと、歌の内容も徹底してリベラルでしょ?そういうところからして、すごく古いように見えてかなりアップデートされてるんですよね。

 問題は、今のメタルとか、グラマラスなことをしたい人たち、またはそういう音楽を聴きたい人たちに、そういう前とは違うタイプのアップデートの意向があるのか、ということですよね。

 これ、日本に限ったことじゃありません。前もこの話しましたけど、鍵あのラウドロック系のフェス見たってそうです。もう、60代とか70代の人たちがヘッドライナーで、オルタナやニュー・メタルの世代だと50代前半なのにその人たちがまだ「若手の部類」に入るんですから。それ以降の世代のバンドだと数がグッと減ってね。他の音楽ジャンルに比べて格段に若いアーティストが少ない。

 こういう傾向が強くなると、集まってる人たちも「この先、ロック、大丈夫なのかな?」との不安も高まると思うんですよね。実際、僕がネット上で目撃する限り、「ロックへの不安」とか、「ギターソロを若者が嫌うんじゃないか」とかって恐れてる人、経歴調べたらメタル好きの人は残念ながら多いんですよね。

 そういう方たちの場合は、自分の好きなものが先細っていくことを恐れるより、もっと今のロックの現状がどうなのか、どういうバンド、アーティストが受けているのか、もっと積極的に知る努力をした方がいいと思います。そういうアップデートをしないで知らないから不安になってるところがあると思うんで。それこそ、Spotifyのプレイリストでもあたってみたら、最近のアーティストなんてすぐわかりますからね。

 一方で桑田佳祐氏をはじめとした、1955年の学年の方たちがやった方なんですけど、こっちの方が、具体的に何を不安に感じてるのか、わかるような気がしました。

 歌詞を聴くにかなりポリティカルですね。曲調はおだやかなんですが。まあ、日本の場合、今が特に国自体が右傾化してますからね。社会運動自体が激しく嫌悪されるようなとこありますしね。僕、こないだまで極右大統領だった国に住んでますけど、あのクソ大統領に対してのプロテスト、すごかったですからね。だから「自分はひとりじゃない」と勇気もらえたし、それで次の選挙で左派が勝った原動力にもなったわけですけど、そういう芽も見えないというか。ぶっちゃけ、アメリカとかブラジルより淀んでいる感じがある。それで、ポリティカルなメッセージも出しにくい状況がある。もう、そういう風に言えるロックの世代は自分らで終わりかも・・・なんて気持ちがあったりするのかもしれません。

 ただ、申し訳ないですけど、それも僕には違和感なんですよね。若い人だってGEZANみたいなかなり挑発的な歌詞書く存在だってあるわけだし、探せばそういう人、まだまだいると思います。

 あと、やっぱり洋楽聴いてると、若いアーティスト、だいたいリベラルで、歌詞で直接それを表さなくてもSNSの言動とかでしっかり発言するじゃないですか。ロックのアーティストで保守、極右探す方が難しいわけで。そういう光景を普通に見てるから「ポップ・ミュージックで政治的な、戦う主張ができない」とかって考えるのも「なんで?」と思います。

 僕の場合、「ロックが聞かれなくなることへの不安は何か?」と問われたら、答えはひとつです。

オルタナティヴ・ミュージックとして機能しなくなること

 ずばり、これしかありません。

 僕の場合、もともとロックそのものに大きな期待はしてなくてですね。なにも「チャート上を独占してほしい」とか、そういう願望があるわけじゃありません。僕は子供の頃から一貫して「トップ10の中に、1曲か2曲だけ入ってる、ちょっと変な曲」みたいなものが大好きで、そこを担うのがロックだったり、自作自演の音楽だったりすることがほとんどなんですよね。

 だから、ロックがそういう役割をしなくなることが嫌なんです。ヒット・チャートのほかの曲みたいに、曲を誰かに描いてもらって、はやりのプロデュース・フォーマットに合わせて安易に量産したみたいな音楽、そういうもので世の中を溢れさせたくない。そのためにロックを求めてるところがあってですね。

 それ言ったら、日本、むしろ他の国よりもロック、チャート上で売れてるんですよ。シングルの初登場で1位取るような若いバンド、いるでしょ?欧米だと、それがもうほとんどいません。僕なんてむしろ日本がうらやましくなるときさえある。なのにロックの終焉を嘆く。それが正直なところ、よくわからないんです。

 僕とて、その「チャートの上位に若干入る面白い音楽」でロック以外に面白いジャンルの音楽が凌駕すれば、素直にそっち行くと思います。ただ、それを考えた場合、まだロックってすごく有効なんですよね。実際、12月に世界のいろんな媒体の年間ベスト見ましたけど、ロックいっぱい入ってるじゃないですか。

信じない人には

https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2022/

このリンクが、2022年の媒体の年間ベストの総集計なので見てください。きっと予想以上にロック多くて驚くと思います。

 別に2022年に急にロックが盛り上がるようになったとか、そういうわけじゃなく、ぶっちゃけ、2018年とかくらいからでかくなりそうなアーティストも見えてたし、それがそのまま成長してきてるだけですね。それをハリー・スタイルズあたりが無限にいる、そういう音楽を知らないようなファンたちにわかりやすく伝え始めてたりするから、なんとなく広がっているような雰囲気まで出始めていたりもしてですね。

 今は勢いとしては欧米のロック系でも女性のアーティストの活躍が目立ちますけど、そういう人たちをセクシズムで差別したりしなければ、ロックの将来、まだまだ希望もてますけどね。それこそ日本で、もっと女の子のロックがウケたりすれば、「ロックが終わる?そんなのおじさん、おじいさんたちの戯言でしょ?」という風にもなるんじゃないかなと思うんですけどね。

 あと、一部の人が恐れてるような「子供や若い世代がロックを敵対視してる」なんてことも特にないですよ。うちの子見ててもわかりますけど、tik tokで流行ってたらロックでもなんでも聞いてますから。子供だからって、みんながヒップホップばかり聴いてるとか、そういう感じはないですね。

 そんな感じでしょうか。



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