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バッドバニーが今後の日本の洋楽にとっての大きな課題になりそうな気がするけど、でも、どうする?


どうも。

バッドバニーがコーチェラで大好評ですねえ。

僕も先週分のパフォーマンスはyoutubeで生で見てますけど、素晴らしかったですね。根本的に歌がすごくうまいし、彼の場合はセルフ・プロデュース。加えて、ラティーノという強い民族意識を背負ってて、アメリカに媚を売らない形でここまで世界的な成功を収めた。快挙だと思うんですよね。

 今週のSpotifyのグローバル・チャートなんて見てても、もう明らかにケイオスというか、前代未聞の事態なんですよ。だって、上位20曲のうち5曲が彼が牽引するレゲトン、4曲が5月に特集予定のメキシコのカントリー「コリド」、2曲がレゲトンとコリドのコラボと、20曲中11曲がスペイン語楽曲なんですよ!

加えて、Kポップが1曲にアフロビーツが1曲、tiktokで火がついた無名のアメリカのシンガーソングライターの曲がそれぞれ1曲ずつで、もう7割が、これまでの情報摂取の仕方ではついていけなくなるような状況なんですよ。アメリカのR&B/ヒップホップでさえ劣勢で押されまくってる状態ですからね。

 こういう状況はですね、僕のように長年、「なぜ世界の音楽流通は英語ばかりなんだ」ということに不公正と疑問を感じ続けていた僕のような立場だと痛快なんです。「よくやった!」と。

が!

これ、同時に日本の洋楽界にとっては大事です。だって

日本の洋楽が、この非英語ポップスの新潮流にどう対応するの??


この問題が大きくのしかかってくるわけです・・・。どうするんですかね?

だって、今までスペイン語楽曲って、売ってきた試しがないんですよ。あるとしたらそれは短期間の一発屋くらいのもので。

ところが今流行ってるレゲトンに関して言えば、もう一つの音楽勢力です。もう国際的に根付くこと以外には正直考えられない。一過性のものではありません。

 なぜなら、スペイン語圏って、もう30年くらいは国境を越えて言葉でつながっているから音楽マーケットがただでさえでかいし、それがサブスクできてしまったことで特に南米で多い低所得者層にまで浸透してさらに拡大中の上に、アメリカ合衆国でも今やラティーノ人口が黒人上回っている状態です。統計だと、アメリカの場合、黒人が12%に対し、ラティーノは19%だとのことです。この状況で、ラティーノの音楽が国際マーケットでしぼむことが考えられません。

 なので、これ、対応していかないことには世界の音楽の潮流とは離れていってしまうばかりなんですけどどうするんでしょう。だって、

英語の曲の流行りすらうまく紹介できていないのに、その上スペイン語なんて!


まず、この問題があります。

「その前にまず英語の楽曲のアーティストだろう」というのが、まず、あります。それもできてないのにどうやってスペイン語の楽曲を。

しかも、バッドバニーの場合、ハードルがさらに高いのは

https://www.youtube.com/watch?v=Cr8K88UcO0s

曲名なんですよねえ。だってカタカナで書いて「ティティ・メ・ペルグントー」とか「メ・ポルト・ボニート」とかって、スペイン語の語感に慣れていない人には敷居高すぎでしょう。覚えにくくてしょうがないんです。

 実は今に似た状況というのは、これまでないわけではなかったんです。それは80sの終わりから90sの前半にかけてワールドミュージックのブームというのがありました。ジプシー・キングスとか流行った頃ですね。あの頃、日本でラテン・ミュージックとかアフリカン・ミュージック、アジアン・ポップスを押そうという空気があったんです。

 それをどうやったかというと、いわゆるあの時期に台頭したJWaveみたいな第2波(FM東京系列じゃないヤツ)勢力がトレンディ(死後)みたいなイメージで押しましたね。JWaveだと出版も持ってたんじゃないかな。あと、日本で拡散していく一方だった輸入CD屋ですね。こうした売り方をしていきました。

 ただ、あの時も僕はすごく疑問で。一つは、さっきも言ったように「英語圏のメインストリームさえ浸透してないのに、なぜ?」ということ。二つ目は、今みたいにWikipediaもない世の中でしたから「世界でブームになってて押す必然性が」ということですね。今みたいなグローバル・チャートも、ましてやビルボードへの反映もない時代でしたから。あと、アジアン・ポップスに至っては「正直、このレベルでは・・・」というものがありました。だってKポップよりもさらに前の時代ですよ。洋楽どころか、Jポップと比べてもレベル並ぶとはとても思えなかった。そういうものをどうやって好きになれというのか。これらの問題が大きかったものです。

その結果、リスナーについたほとんどが「意識高い系」になってしまった。庶民的な感じでいろんな人たちに成功するチャンスが与えられた音楽であるにもかかわらず。そこが大きな矛盾となってしまいました。

 その30年後、今も状況似てます。レゲトンにKポップにアフロビーツですからね。違うのは、これらの音楽が今や世界のチャートを席巻してます。レベルだって、世界の音楽シーンを牽引するものになってます。リスナーの実情だって、「意識高い系」じゃなくて、若い子たちが聴くようになってます。

レゲトンの場合、顕著なのは、あれ、ラテンの世界では、いわば当地でのBボーイ、Bガールが聴いてる音楽なんですよ。ヒップホップのポジションがそこに来てるというか。バッドバニーもアメリカでは元々、ドレイクやカーディBの力借りて売れようとしてましたからね。でも、「ヒップホップの傘下」という形をあえて止めてその次作以降に勝負したら、、今やアメリカでもヒップホップを食いかねない勢いで若い人たちにウケてしまった。そういう背景がある音楽です。

 そこを日本はどうなんでしょう。ヒップホップのBボーイ、Bガールも世界に比べりゃ、びっくりするほど根付いてない国柄です。そこでレゲトンや、それを含むウルバーノ(ラテンでいうアーバン)の市場が開拓できるのか。ここのところ、僕は非常に疑問なわけです。

 一つ希望があるとするならば、バッドバニー、まだ全世界的なブレイクではないことです。今のところ、アメリカ、中南米、南ヨーロッパでは激烈に強い、ナンバーワンで当然の人気なんですが、イギリスはじめきたヨーロッパではまだ苦戦してます。

 ただ、その北ヨーロッパでブレイクされてしまったら、さすがに日本、苦しいです。イギリスとか、ドイツ、スウェーデンでまでトップ10に入られるようになってしまったら、さすがに日本、世界から取り残されてしまいます。

 なので、次作で、オリコンには入らないかもしれないけど、せいぜい、「2作後をなんとかするための地盤固め」をしておく必要はあると思います。

 そのためにはやはり

強引にフェスに呼ぶ!


もう、これしかないと思います。


とはいえ、ヘッドライナーいきなりはきついわけで、そこにも見せるべき工夫は必要ですが、そこをどうするか。そこが日本の洋楽界の正念場だと思っています。さて、どうするか?






















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