「ワンダヴィジョン」がオマージュを捧げるホームドラマの歴史
どうも。
まだこの話をしていなかったのでやろうかと思います。これです!
現在、ディズニー・プラスで配信中ですね。「ワンダヴィジョン」。すごく話題になっています。
これ、もちろん、マーヴェルのシリーズのひとつのスピンオフとして人気のわけですけど、僕個人、そして多くの人が「別の観点」から気にしてるドラマでもあります。それについて語っていこうかと思います。
この「ワンダヴィジョン」なんですけど、文字通りワンダ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベサニー)の2人のコンビの名称で、漫才コンビみたいな名前なんですけど、話も実際にコメディ調で、この中で一貫して
アメリカの歴代人気ホームドラマのパロディ
で話を進めています。
それぞれの時代で何にオマージュを捧げているのか。それについて語っていきましょう。
まずは
第1話。1950年代編。これの元になったのは
ディック・ヴァン・ダイク・ショーです。
こんな風に比較動画までできてますけど、これはディック・ヴァン・ダイク、60年代には「メアリー・ポピンズ」のミスター・ドース役で有名になる人ですけど、彼が、これものちに「メアリー・タイラー・ムーア・ショー」で一世を風靡したメアリー・タイラー・ムーアと一緒にやってた、アメリカのテレビ草創期の人気ホームドラマでした。
そして
第2話。60年代編でパロディにしていたのは
奥様は魔女
これはもう説明の必要ないと思います。日本でもテレビがはじまってまもない60年代、アメリカから輸入して非常に人気の高かった魔法使いサマンサと、夫ダーリンのコメディ。
これ、ひとえに人気ホームドラマといっても世相はだいぶ反映されているものです。ここまでのホームドラマだと、話の観点はあくまで夫婦の側なんです。子供は付帯要素でしかありません。
それが
第3話の70年代編になると
この分割画面オープニング、これ、アメリカン・カルチャーで延々、パロディにされ続けているんですけど、「ブレイディ・バンチ」、これへのオマージュです。
こんな風なパロディになっています。
音楽もすごく似せてますね。70sは「ブレイディ・バンチ」のほかにも「パートリッジ・ファミリー」もそうですけど、大所帯の子供を主人公にしたドラマが流行ったんですけど、その劇中音楽がサンシャイン・ポップ(日本語名ソフトロック)と呼ばれる類の「パーパパー」コーラスをメインとした感じのものなんですよね。
まさにこんな感じですね。これが1970年代初頭っぽさを醸し出していますが、ここもうまくフォローしています。
そして1話飛ばして、
エピソード5。80年代になると、女性出演者の髪がことごとく爆発してるんですけど(笑)、これは何のパロディかというと
「ファミリー・タイズ」です。マイケルJフォックスの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と並行して出演していた人気ドラマです。これを
この出演者紹介の字体見たとき、爆笑しましたけどね(笑)。
で、これは二重の凝り方してまして、音楽はむしろ
テーマ曲はこの当時のもうひとつのヒットドラマ「Growing Pains」のパロディです。これは日本でも「愉快なシーバー家」のタイトルで放送されていましたけど、エイティーズのアメドラ、AOR使うのが人気です。安っぽいサックスとエレキギター・ソロがやたら人気あったものです(笑)。
で、世相でいうと、70、80年代のホームドラマは子供側の主張が強くなり、80sdと生意気盛りです。でも、結局のところは家族でまとまる。だからかどうかしらないんですけど、教訓調の話が特にエイティーズは多いんでうすよね。「コスビー・ショー」も「アーノルド坊やは人気者」もそうだったんですけど。
で、90sですけど、これ意外でした。てっきり
エリザベス・オルセンの実姉であるオルセン・ツインズの出ていた「フルハウス」でいくのかと思っていたら、結果はこうでした。
はい。「マルコム・イン・ザ・ミドル」のパロディでした。音楽全く一緒です(笑)。いかにもオルタナ世代。ウィーザーみたいな感じの。
今となってはこのコメディ
この後ろに写ってるお父さん役、これが実は
「ブレイキング・バッド」のウォルター・ホワイトで一世を風靡したブライアン・クランストンだったんですよね。
90sになると、子供、親ともに個人主義が強くなるんです。家族でまとまるというより、親も子供のことをすごく尊重する感じが強くなるというか。ブライアン・クランストン演じた父親もマルコムのことは思っていてもなんか距離は適度にとってあるというかね。ママ役よりも影が薄く、なんか笑える感じでしたね、彼。
そしてそして最新のエピソード7、いよいよ21世紀ですけど
もう、このトレイラーで爆笑してしまいました(笑)。これ
はい。「モダン・ファミリー」のパロディです。これはモキュメンタリーといって、出演者への擬似インタビューを交えながら話を進めていくパターンですけど、これを真似てますね。
「モダン・ファミリー」までいくと個人主義がさらに進んで、それが出演者の独白スタイルにまでいくんですけどね。こうやって見ると、アメリカのホームドラマも時代と共に進化しているのがわかって面白くありません?
もう、「次は何かな?」の興味で、この「ワンダヴィジョン」、配信が楽しみだったわけですけど、ひとつ大きな問題があります。それは
ホームドラマのパロディ部分が面白すぎて、肝心なストーリー部分が頭に入らない(笑)!
これ、エピソード4で描かれる通り、本当はミステリーのはずなんですけどね。「歴史が進んでいく中で何かが起きた」と言う設定なんですが、そこまで見ていて頭が回らなくなるのが玉にキズです。