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全オリジナル・アルバム FromワーストToベスト 第39回 オアシス&ギャラガー兄弟 16〜1位

どうも。

今日は3ヶ月ぶりとなります、この企画いきましょう。

今回のテーマは、これです!

はい。まだこのネタ、やってませんでした。オアシス!それだけじゃありません。ギャラガー兄弟によるポスト・オアシスの活動まで含めた、全16枚にランクをつけてみました。

日本だと本当にビッグなバンドだけに読む人多そうで多少緊張もしてますが(笑)、さっそくワーストの16位から見ていきましょう。


16.Different Gear,Still Speeding/Beady Eye (2011 UK#3 US#31)

ワースト1はオアシス解散後のリアムのバンド、ビーディ・アイのファースト・アルバム。今回、前作を通して聴いた印象として、僕の場合、音的にこの兄弟の作る音、「好みの問題上、嫌いなものないな」と改めて思ったのですが、印象の弱さでこれがワーストになりました。ビーディ・アイはノエル脱退後のオアシスのメンバーがまんま引き継いだバンドゆえに期待値も高かったわけですけど、音の方もオアシス最後のアルバムからそのまま「マイナス・ノエル」になっただけで、そこにプラス・アルファとなった要素が感じられないものとなっていました。ノエルというピースの欠けた穴の大きさだけを虚しく感じてしまったというか。すでにこの時点で、好転させるのは難しかった気もします。


15.Chasing Yesterday/Noel Gallagher's High Flying Birds (2015 UK#1 US#35)

ワースト2はノエルのソロ第2弾アルバム。ソロ第1弾は「期待の新人シンガーソングライター出現!」みたいな良さのある、ノエル自身がこれまでオアシスだけで表現できなかった才能が噴出した力作だったんですけど、これはオアシスを中途半端に意識してしまったためなのか、前作であえてやらずに正解だったオアシスっぽいロックンロールに回帰した曲があまり効果的じゃなかったかな。あと、彼なりの「今っぽさ」を意識してやったのかなと思しき「In The Heat Of The Moment」の「ナナナナ、ナーナ」に当時ひっくり返ってしまったのを思い出してしまいました。


14.BE/Beady Eye (2013 UK#2)

14位はビーディ・アイの2枚目。前作の盛り上がりがもうひとつなために、出だしから国際的にそんなに押されなかったアルバムですね。本人たち的にはTVオン・ザ・レディオのデヴィッド・シーテックをプロデューサーに迎え、サイケからフォーク、ソウルと意欲的なアプローチを試みるんですけど、ゲムとアンディのソングライティングだとバンドとしての派手さがどうしても出ないというか。ただ、「ああ、これはリアムが望んだことだったのかな」とは後に再発見できる要素も見つかったので案外大事な作品な気もしますが、リアムがそれをやるには知名度の低い別の名前のバンドより、「オアシス」という大看板を背負った上でやる方が効果的だったんだろうなと今にしてみれば思います。

13.Heathen Chemistry/Oasis (2002 UK#1 US#23)

オアシスというバンドとしてのワースト・アルバムはこれでしょうね。5枚目の「Heathen Chemistry」。このアルバム、曲としては「Stop Crying Your Heart Out」とか「Little By Little」みたいなアンセミックなバラードや、リアムの出世曲の「Songbird」もあるから、曲としてそんなに悪い印象はなく、僕もリアルタイムは嫌いでは決してなかったはずなんですけど、改めて今回聞き直すと、一番音楽的なトライがなされていない、「これまでの手癖で作ったみたいなアルバムだな」という印象を持ちましたね。サード・アルバムからなにかと大げさに批判され続けてきたオアシスですが、本当に行き詰まっていた時期はこの時期だったんじゃないかと感じました。ノエルがロックンロール・リバイバルのバンド褒めてた時期でもあったんですけど、そういう影響も特に感じませんでしたしね。

12.Don't Believe The Truth/Oasis (2005 UK#1 US#12)

 そして12位がオアシス6枚目の「Don't Believe The Truth」。これは意外に低く感じられる人も多いような気もします。リリース時、評判良かったですからね。僕自身ももっと高いかと思ってました。このアルバムは、これまでソングライティングを仕切っていたノエルが、前作からリアム、ゲム、アンディ・ベルに認めていたソングライティングの比重を拡大させ、ちょっと煮詰まってたバンドの風通しを良くしたアルバムだったんですよね。ただ、このバンドってやっぱり「ノエルが曲を書いてナンボ」のバンドだと思ってるし、今聞くと、他のメンバーの曲が混ざることによってバンドの一貫性が微妙に揺らいでいるんですよね。初期のバンドとしてのダイナミズムにかけて違うバンドみたいに聞こえる瞬間もあるというか。その意味で統一感にも欠けた感じもするし。ノエルが「The Importance Of Being Idle」をここで書けたのは後のソロにつながる成長の一つだとは思いましたけどね。

11.Why Me? Why Not/Liam Gallagher (2019 UK#1)

そしてトップ10手前の11位がリアムのソロ第2弾。このアルバムに関しては、「俺こそオアシス!」なイメージを前面に打ち出して大成功したソロ第1弾の延長線上に聞こえてしまい、前作で得た強いカタルシスまでは感じなかったんですが、それでも彼の好調ぶりは十分に感じ、「Shockwave」や「Halo」みたいなステージ向きのキラーチューンを出せている意味で良かったと思います。これでた時のレビューで思ったんですけど、前作で良さを気づきそこなっていた人たちが、このアルバムで1枚遅れて彼のやりたかったことを理解してほめてる印象がありましたね。ソロのアイデンティティをしっかり固める意味では、これで良かったんじゃないかとも思います。

では、トップ10からはいつもどおり、ジャケ写つきでいきましょう。

10.Dig Out Your Soul/Oasis (2008 UK#1 US#5)

トップ10位に入って10位は「Dig Out Your Soul」。オアシスでのラスト・アルバムですね。このアルバムも「Don't Believe The Truth」同様、ノエル、リアム、ゲム、アンディのソングライティング体制で作っているんですけど、やや地味になりすぎたサウンドを、前作で見せたウェットでダークな雰囲気を活かしながらも、オアシス本来のロックンロールによりフォーカスさせてしっくりくるものになりましたね。ザ・フーのツアーでもおなじみだったリンゴ・スターの息子ザック・スターキーの持つ力感の強いダイナミックなドラムがうまい具合にサウンドの骨格を作りあげてるところも聴きものです。これで2作連続で批評が良かったことで、本作は全米チャートでもサード・アルバム以来となるトップ5を記録。「バンドとしてうなぎのぼりだな」と思っていた矢先だったんですが、翌年の夏のフェス期の対立でノエルが脱退。まさかの解散となってしまいました。僕が日本にいた最後の夏でしたが、こうなるの知ってたら、あの年のフジロック、行ったんだけどなあ。

9.Who Built The Moon/Noel Gallagher's High Flying Birds (2017 UK#1 US#48)

9位はノエルの3枚目のソロ「Who Built The Moon」。これは前作でちょっと迷って聞こえたノエルがいい意味で吹っ切れた感じのアルバムになりましたね。サーフロック調の「Holy Mountain」や、まんまニュー・オーダーのベースライン拝借したような「She Taught Me How To Fly」といった、これまでのノエルが使ってこなかったパターンのロックンロールをはじめ、ホーンを大胆に使ったソウル・レヴュー的な曲や、プログラミングされたエレクトロ・サウンドまで、ノエルがこれまでどちらかというと得意にしてこなかったリズム面がかなり立体的になって、ソングライティング的な幅が増えたと思います。これでようやく、「オアシスからの呪縛」から解放された感じがしたというか。

いみじくもこのアルバム、リアムが「オアシス継承宣言」とでもいうべきソロ第1弾を出した翌月のリリースだったんですよね。好対照の作品となりましたが、ノエルの場合、よりクリエイティヴなソングライティングの人であり、ヴォーカルをとるといっても、オアシスの楽曲全体からすれば2割にも満たない部分でのソレでしたから、「オアシスの看板を背負う」にはどうしても弱かったんですよね。そういうとこ、「コンセプトは作るもののヴォーカルとしての力量がどうしても弱かった」ロジャー・ウォーターズがピンク・フロイドの看板を背負い切れず、ヴォーカルとバンドのシグネチャー・サウンドであるギター・プレイを持つデイヴ・ギルモアがフロイドのイメージを継承したのに似てるんですよね。それでセールスやライブ動員はギルモアがどうしても有利になってるんですけど、ロジャーはロジャーでしっかり支持層を持ち。ギャラガー兄弟もそういう感じになるんじゃないかな。

8.Be Here Now/Oasis (1997 UK#1 US#2)

8位は「Be Here Now」。97年夏リリースのサード・アルバムですね。このアルバムが出る直前までの期待値の高さって本当に全世界的で、もうどこの国も熱かったんですよ。リリースの月はどこもオアシスでどこいってもこれがかかってる状態で。そんな感じだったからアメリカでも2位まで上がってるでしょ?全ジャンルでこれの期待が一番大きかったんですよ。でも、いざリリースされてみたら「なんだ、これまでと変わんないじゃないか」みたいな落胆の声が上がったりレビューで批判されたりして。「クールなロック」を求める向きは数ヶ月前に出た「OK Computer」でレディオヘッドに流れてね。オアシスはここからしばらく批評メディア的には目の敵にされるようなところが出てきました。これにはノエル自身が「よくない」といったことが拍車をかけてます。それに対しリアムはこれを擁護するという図式もあるんですが、僕自身はこれ、好きです。ギター・サウンド的にややファースト寄りだったんで。あと、「D'You Know What I Mean」みたいな重量感あるロックや「Stand By Me」「All Around The World」みたいなアンセミックなバラードは当代一のアリーナバンドらしいスケール感だとも思ったんですけど、ニルヴァーナの登場以降、まだそういうアプローチが「ダサい」とされてた時代の空気感に殺されたとこはあったかな。ノエルもそういうとこ嫌った気もするし。ただ曲はノエルが言うほど悪くないし、バンドの向かう方向性としても決して間違いではなかったとは思うんですけどね。

7.Noel Gallagher's High Flying Birds (2011 UK#1 US#28)

7位はノエルの2011年のファースト・ソロ。このアルバムは出る前から良い予感がすごくありました。「Dig Out Your Soul」でオアシスが昇り調子のまま終わった、というのもあったんですけど、その前から「オアシスの枷とったら、ノエルはきっと素晴らしいシンガーソングライターになれるだろうな」との読みがあったからです。もともと、ビートルズのソングライティング・エッセンスの最大級の継承者的な見られ方をしていたわけだし、それだけでなくかねてから「Wonderwall」みたいな、セルジュ・ゲンズブール的なバロック・ポップのプロトタイプみたいなとこにも反応できる人でしたからね。そこいらのSSWよりも良いアルバムできるような気がしていたら、案の定、そうなりました。その予感は「The Importance Of Being Idle」の頃からあったんですけど、全体的にメランコリックなトーンの、それこそゲンズブールやニック・ドレイクのようなダークなバロック・ポップと、ビートレスクな甘く華麗なメロディやコードの合わせ技のようなSSWアルバムになりましたね。ロックンロールなトーンは少し抑えめにこちらに重点を置いたことで、彼のあらためてのソングライターとしての実力が証明された形になりましたね。本心を言ってしまえば、この路線のまま進んでほしかったんですけど、「それじゃ物足りない、オアシスみたいなロックも聴きたい」の声も聞いちゃったのかな。次でそのあたり迷った感じがしたのがちょっともったいなかったかな。もっと吹っ切れていいんですけどね。

6.C'mon You Know/Liam Gallagher (2022)

出たばかりのリアムの3枚目のソロ・アルバムが6位です。他の作品のようにチャート結果をつけてませんが、全英ではかのハリー・スタイルズのバカ売れのアルバムを1位から下ろせるのではないか、との予想。ちょうど、ネブワースでのミニ・フェス状態でのネブワースでのライブも控えてますしね。さらに同発のライブ盤も3位予想なのでバカ売れしてます。

このアルバムなんですが、「リアム、変わった!」との声も聞かれますが、僕としては「新しい試みにもトライした、オアシス10枚目のアルバム」の解釈です。やはり、ソロ名義になった際に、ライブ・セットと自身のサウンドでオアシスを継承する姿勢を見せて、それが定着したことによって、ソロ移行後の共作者と楽しみながら「ちょっとコンフォート・ゾーン広げてみようか」と、楽しみながらいろいろやった感じになってますね。自らのヴォーカルの音域をアラフィフにして高めてみようとする試みが見られるし、ソロ・ファーストの頃から芽生えつつあったゴスペル・ソウル的な要素も曲によって強化されたりもしているし、今回のメイン共作者であるMiike Snowのアンドリュー・ワイアットとは、オアシスの中期以来となる60s調の大胆なサイケデリック・ロックまで展開し。ソロ後にずっと関わり続けているグレッグ・カースティンとは同じプロデュースつながりで「Everything's Electric」でフー・ファイターズのデイヴ・グロールとの英米90sロックの頂点同士の夢の競演も果たして見せ場もつくってます。いみじくもビーディ・アイのセカンドにも雰囲気近いんですけど、あの頃やりたくてうまくいかなかったことが理想的な形でできた気もしてます。

 正直、こんな将来になるとは思ってなかったんですが、同じ90sのアリーナ・スターなら、今リアムの方がレッチリやグリーン・デイより良いアルバム作ってるし、同じカースティンのプロデュースでもフー・ファイターズより良い結果出てます。この好調さから自らオアシス再評価を呼び込んでいる気がしますね

5.As You Were/Liam Gallagher (2017 UK#1 US#30)

リアムの新作を5位にすることも考えましたが、一応自重して5位にリアムのファースト・ソロ。オアシス解散後ではこれが最高位になります。このアルバムが解禁になったときに1曲目の「Wall Of Glass」を聞いた瞬間から「ああ、これは間違いなく行くね」と確信しましたね。リアムにとって、この曲がソロになってからの「Supersonic」だと思ったから。もう、イントロのブルージーなリフからAメロ、サビのどこをどう聞いてもオアシスなこの曲で、彼がこの先、どうやって生きていくかの強い宣言を感じ取りました。ここから先も徹頭徹尾オアシスで、「For What It's Worth」なんかはこれもリアムの得意中の得意のジョン・レノンのダウナー超バラードで。まるで共作者のグレッグ・カースティンが「どうやったらリアムが一番オアシスっぽく聞こえるか」というのを徹頭徹尾計算したかのような作りで。そしてライブだと、もう大半がオアシス時代の人気曲の大オンパレードで。

こういうパターンって嫌がる人も少なくないんですけど、僕はこれ、彼の人生で大正解だと思いましたね。それこそ「Supersonic」でいうところの「I need to be myself」を有言実行したかのような。果たして、別のバンド名を冠したところで細々やるのと、オアシスの看板背負って大観衆の中、ファンが望むリアムを演じるのと、どっちの人生で彼が生きるのか。彼の性格考えたら、それは前者に決まってます。事実、これで生き生きして音楽性もヴォーカルも磨かれ、大物ロッカーとして復活したじゃないですか。あと、ポール・マッカートニーにビートルズ、デイヴ・ギルモアにピンク・フロイドのクラシックをライブで期待するように、オアシスの名曲だって生で誰かに託してもらいたい。それが堂々とできるのもリアムでしょ。そう考えたら、この人生選択はどう考えても正しいです。これはだんだん理解されていくと思いますよ。

4.Standing On The Shoulder Of Giants (2000 UK#1 US#24)

そして4位にオアシスの4枚目のアルバム「」Standing On The SHoulder Of Giants」です。これ、いわば「オアシス関連の作品の中で最も過小評価されたアルバム」として、ここにピックアップしました。こっちの方が、前作の「Be Here Now」以上にリリース当時の酷評、ひどかった覚えがあります。僕自身も、最初聴いた印象が良くなく、あまり熱心に聴かなかったものです。ただ、今回聴き直したら、これ、かなり力作で、曲の持つ普遍性も、その後の彼ら自身に与えた影響もあったアルバムだったんだな、と思った次第です。それは、リアムのライブでいまだに登場SEに使われている冒頭のインスト「Fuckin'In The Bushes」やシングルとなった「Go Let It Out」や「Who Feels Love」だけではないですね。曲で言えば、ダウナーなオアシスでは屈指の好チューンの「Gas Panic」やノエルのヴォーカル曲の中ではひときわ優しいメロディが光る「Sunday Morning Call」など、今聴いても出色の名曲があります。あと、「サイケデリックだからって、まんま中期ビートルズじゃないか」と揶揄されたサイケの手法自体も、その後のノエルやリアムのソロにも形を変えて登場し続けているし、リアムの最新作にはそれがほぼそのまんまな形で出てくるくらいです。そう考えてもサウンド・アイデンティティとしてここで体得したものって重要なんですよね。あと、ここで聴かれる揺らぐギター・サウンドも1stアルバムのときの、彼らのギタ・サウンドが最もベストな時期にその後に一番近いものでもあるし。なんかこの1999〜2000年頃って、ニュー・メタルとかポップ・アイドルといった、一瞬のバブルに酔った享楽的なものが急速に受けた時代で90s的なクールネスが急速に卑下されて、それで当時のナイン・インチ・ネールズやフィオナ・アップルの今日の耳で聞いてかなりの力作が過小評価された頃でもあったんですが、これもそんな中の一枚だったかもそれません。


3.The Masterplan/Oasis (1998 UK#2 US#51)

3位は「The Masterplan」。これは正確にはオリジナル・アルバムではありませんが、オアシスで同様の企画が行われる際、ほとんどのものにランクインするかなり重要なアルバムです。これはいわゆる、オアシスにとっての、3枚目のアルバムまでのシングルのカップリングにのみ収められた曲を集めたものですが、この当時までのオアシスがいかに冴えていたかを証明する際にしばしば引用されるものでもあります。僕らも当時、実際にそうしていたものですが、オアシスの場合、アルバムに入らないシングルに名曲が多い、しかも、そこからの曲がライブでも絶曲的にプレイされるとの話を聞いて、「シングルは出たら買え」が鉄則でした。僕もこのアルバムが出るまでは全部買ってましたからね。中でも聴きものといえば、リアム、ノエルの両者がつばぜり合いをするかのようにヴォーカルをとりあう「Acquiesce」。これはライブの定番中の定番でしたね。あと、アルバムでは外れやすいノエルのヴォーカル曲に名テイクが多く「The Masterplan」「Talk Tonight」「Half The World Away」も通常のアルバム曲並みに重要な曲でライブでもよく聞かれました。あと、意外とアルバムで聴かれないタイプのアコギを使った軽快なロックンロールの「Rockin Chair」、当時のオアシスのライブでの息吹をリアルに体感させる「The Swamp Song」やライブのラストの定番でもあったビートルズの「I AM The Warlus」のカバーも。寄せ集めたものでありながらも、アウトテイクのひとつひとつにもかなり曲調にバラエティもあり聴いてて飽きないのも大事なポイントだったりします。

2.Definitely Maybe/Oasis (1994 UK#1 US#58)

そして2位なんですが、迷いに迷った末にファーストの「Definitely Maybe」にしました。オアシスのオールタイムの場合、これか、結局1位にしてしまったものかのどちらかに1位が分かれるものですが、実は今回、聞き直す前までは僕の場合はずっとこれを1位にしていたものです。

だってこれ、すごいアルバムですよ。改めて聞き返しても思ったことですけど、これ、ひとつのシンプルなリフ主体のギター・ロックの中に、すごく多面的な時代要素がギター・サウンドの中に詰め込まれているんですよ。出てきた時代性やこの当時のクリエイション・レコーズを取り巻く環境上、今から聞き返すと想像していた以上にシューゲイザーなんですけど、彼らはその中にビートルズも、セックス・ピストルズも、グラムロックのブギーも、全部詰め込むことに成功していたわけでしょ?90sサウンドの中に、60sも、70s前半も後半もですよ。しかも混ぜるからって、サウンドが複雑になるわけでもなく、あくまでもシンプルな表現の中で、ですよ。古今東西のどのギター・ロックにもないですよ、そんなの。やはり、この時点でシューゲイザーの枠を軽く超えていて、そのサウンドの多面性ゆえに世代を超えた多くのファンを魅了することも可能だった、ということだったんだと思います。

 その親しみやすさがサウンドがあったことにプラスして、冴えない日常の中に一攫千金なわずかな希望を託すワーキング・クラスの少年たちの日常や切羽詰まったロマンスとかが歌われるわけでしょ。そんなの鬼に金棒じゃないですか。これだけの要素揃ったら、さすがにロックンロールでジェネレーションを代表する存在になったのも改めて納得した次第です。

1.(What's The Story)Morning Glory?/Oasis (1995 UK#1 US#4)

ということで、1位は「(What's The Story) Morning Glory?」ということにしました。これが世間一般的には1位だと思うし、日本における「オールタイム洋楽アルバム」の1位にも選出される存在にもなっているわけですけど、僕は今回聞き直すまで、ずっとファースト派だったものです。なぜか。やっぱりファーストのギター・サウンドこそ自分にフィットするものだと思っていたし、「Supersonic」「Live Forever」「Slide Away」ほど好きな曲がこのアルバムにはなかったから。

だけど、今回考え直した点がいくつかあります。ひとつは、このアルバムが抱える「音楽面を超えた意義性」ですね。このアルバムが出る前からのブラーとのブリットポップ対決からネブワースでの伝説のライブに至るまでの、ロックでイギリスの国、カルチャー全体を動かした魔法のような瞬間。そして、ややもするとイギリスだけのブームと思われがちだったブリットポップをアメリカにまで飛び火させた国際的な牽引力。こういうことはファーストだけの時点ではできないことです。

加えて、本作からヒットした「Wonderwall」や「Don't Look Bacn In Anger」のふたつのアンセム。これも、この前のアルバムまでの段階だったらノエル、書けてなかっただろうなと思ったことですね。ここにたしかにソングライターとしてのまぎれもない成長を感じたし、この2曲なかったらイギリスの日常風景さえも今とは違ったものになったろうな。そんな風に思うと無視できなくもなりましたね。

 あと、「Cast No Shadow」では不遇だった同胞ザ・ヴァーヴのリチャード・アシュクロフト、「Champaign Supernova」ではかのモッドファーザーこと、彼らが敬愛するポール・ウェラーのギター・ソロも堪能でき、とシーンの縦と横を俯瞰できる楽しみもあって。さすがにファーストにここまでのドラマ性はないな、と思ってこちらを1位にした次第です。

























15.Beady









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