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全世界必聴! 破格のラテン・パワーで音楽も言語もぶち壊すロザリアの怪作「Motomami」

どうも。

先週末以来、僕の頭の中は2つのものに支配されています。一つは、こないだレビューしたばかりですね。「ドライブ・マイ・カー」。こっちでは4月入るとサブスク配信が始まるのですぐにでも2回目見たい気分なんですが、もう一つがこれです!

はい。事情を知らない人から見れば「なんだ、そのジャケは?」かもしれませんが、今、全世界でこれが一番熱いアルバムだと思います。その名も「Motomami」というアルバム。

アーティストは

ロザリア!!


彼女に関しては、僕のブログを前から読んでくれて頂いてる方にはおなじみの存在かとも思いますが、まだ日本で音楽ファン全体が知ってる存在ではないかと思います。

この人、どういう人なのかというと、スペインのカタロニア地方から出てきた現在28歳です。彼女、このアルバムが3枚目なんですけど、この人、もともと

フラメンコ歌手です!

2017年に本国で「Los Angeles」というアルバムでデビューした際には、スパニッシュ・ギター一本をバックにリズム一切なし、彼女自身のキーンッ!とのびる高音と、「オオオオオオ、アアアアア」と、懐かしのジプシー・キングスを思える、思い切り正統派なフラメンコを聞かせるシンガーで、それが本国でかなりの話題を呼んでました。

僕はこれが売れてる時に、スペインのガールズ・バンドのハインズが「今、すごく気に入ってるアーティスト」として名前あげてた時に知って、「へえ」と思った、それが最初の出会いでした。

が!!

翌2018年に大変革が起きます。

かなりストレート・アヘッドなフラメンコ歌ってた人が、いきなりジャージ着て、フラメンコの手拍子のリズム取りながらR&B、ヒップホップを歌ったんですからね!

これ、びっくりしましたね。2018年の、ちょうど年間ベスト決めてる頃にこれ聞いて、もういきなり14位くらいに入れましたからね。それくらい衝撃でしたね。

これ以降、結構この人、国際的に露出多くて、客演なんかも結構こなしてたので、それで知っていらっしゃる方もいるんじゃないかと思います。

で、アルバムの方ですが、去年くらいから曲が随時解禁されて聞いてきてはいたんですけど、

進化がこれまでの比較にならない凄まじさ!

も〜う、びっくりですよ。

いきなりスパニッシュ・ヒップホップ。完全にラップです。しかもフロー、ケンドリック・ラマーのスタイル、まんま真似てね。「ウノ〜」っていい方、まんま一緒だし(笑)。

しかも、完全にスペイン語の五感重視でね。「サオコ、パピ、サオコ」とか「プッ、プッ、プッ、プッ」「パンパラ」とか意味わかんないじゃないですか。これ、実は意味調べようと思って、歌詞検索サイトの「Genius」見ても、そこの部分、訳されてなかったんですよ(笑)。スペイン語のスラングに詳しい人によると、これ、「自由とか解放のイメージの言葉」らしいんですけど、音楽の垣根壊すだけじゃなくて、言葉の可能性にも挑戦してますね。

 そして、この曲、生きのいいレゲトン調のヒップホップかと思ったら、途中でジャズになって、ベースのディストーション・ノイズが太くなるという、理屈無視の唐突な展開で。

この曲に関してロザリアが説明してるんですけど、「私、レゲトン好きなんだけど、でもジャズも好きだから」という、よくわからない説明してて(笑)。猛然としゃべるんですけど、ちょっとついていけなくてですね。しかも、ワンフレーズ、ワンフレーズを、すっごくいい声で歌い出すサービスまで飛び出して(笑)。「ああ、すべてにこんな感じっぽいな」という雰囲気はすごく感じさせます。

あと、今回の仰天ぶりは日本人にもわかりやすいですよ。

https://www.youtube.com/watch?v=OG4gq9fCoRE

なんと「Chicken Teriyaki」に、「Hentai」ですよ!

前者はニューヨークの街を歩いた時の啖呵切ったイメージの曲らしいんですけど、ワードゲームっぽい言葉の使い方してて「テリヤキ」とカワサキのバイクをひっかけてますね。

で、後者は、かなり際どい感じのラヴ・バラードなんですけど、「ヘンタイ」は、まあ、そのまんまの意味です(笑)。「Ya te quiero hacer hentai」。「あなたにヘンタイやってほしい」ですからね。

ちなみにこの曲

なんとファレル・ウイリアムスがプロデュースで絡んでるんですけど、彼、歌詞渡された時、どんな気分だっらんでしょうね(笑)。

今回、これの他にも「サクラ」って曲があります。かなり日本語に関心があった時きに作られたのかと思われます。

この曲のMVでは、「ロスト・イン・トランスレーション」のパロディやってますしね。しかもカラオケのシーン真似てて。

そうかと思ったら、この曲では、あのウィーケンドと、コッテコテのラテン・ダンスナンバーを、なんとスペイン語でデュエットですよ!

ウィーケンド、「スペイン語でデュエットしてほしい」と言われた時、どういう気分だったんでしょうね(笑)。「えっ、なんでそれが俺なの?」って絶対思ったと思うんですけどね(笑)。こういう、意味不明の唐突さの連続が、このアルバム、本当に痛快です。

https://www.youtube.com/watch?v=HHzW0JGRNeI

https://www.youtube.com/watch?v=XlNtBPvPUTM

そうかと思ったら、正調のフラメンコはちゃんと出てくるし、しっとりとした歌で聴かせるバラードもあるし。なんでもあるんですよ。別の曲ではジェイムス・ブレイクも参加してますしね。

もう、何がいいかって、彼女の脳内世界が爆発してて、周りがそれに振り回されてる感じがすることですね(笑)。普通、どんなに大スターでも、非英語圏の人が英語圏の国に進出かけるときって、勢いプロデューサー付け過ぎたり、その人の本来らしさが損なわれるようなこと、やっちゃいがちじゃないですか。しかし、こんな形で彼女をパッケージングして売り出すなんて、世界の誰一人考え付くわけないし(笑)、彼女のアイデアのままに進行しただけだと思います。誰がこんな日本語連発し、パッと聴き意味不明なスペイン語のラップをやり、唐突な音楽の組み合わせの連発を繰り広げることで売ろうと思います(笑)。この、天衣無縫の自由さ、最高です!

 このアルバム、こんな感じだから、今、もう世界中のメディアが大絶賛です。レビューの平均点の総合が90点前後。今年の現時点での最高評価アルバムです。

もう、ここでの止められない才気、これ聞いてると

80年代のプリンスとか90年代のビヨーク並ですね。「もう、意味わかんないけど、なんかスゲー!」って感じのやつです。本人でさえ理屈通り越した、脳内に溢れるイメージだけで圧倒できる感じというか。「クスッと笑える」ことで言えば、ビヨークのセカンド・アルバム「ポスト」の頃に近いですね。ビヨークも、そのアルバム以降はなんか笑えなくなっちゃって寂しいんですけど、ロザリアはできるだけそうならない感じで楽しく音楽イノベーとして欲しいですけどね。

いずれにせよ、2022年、今年、「ロザリア」という名前、かなり聞くことになると思いますよ。ちなみに、僕は未だに「モトマミ」が何なのか、わかっていません(笑)!











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