見出し画像

フジロックにもやってくる!6年半で14枚アルバムを出した鬼才、キング・ギザード&リザード・ウィザードに注目しよう!

どうも。

今週末、結構いろんなリリースありましたけど、僕的に多くの人に注目してほしいなあと思ったのは、この人たちです!

このキング・ギザード&リザード・ウィザードという、名前からして変なバンドなんですけど、彼らもニュー・アルバムを出しました。

このバンドですが、まだ若いバンドです。デビュー・アルバムを出したのが2012年なので。フロントマンのスチュ・マッケンジーという人もまだ28歳らしいです。ただ、アルバムの発表枚数がですね、すごいことになってまして、なんと

6年半で14枚も出してます(笑)!!

そういう極端なことをするものだから、今、規模はそこまで大きくないかもしれませんが、世界中である程度のファンベース、できています。彼らの母国のオーストラリアでは、もうかなり大きなバンドです。

ここでは14枚、ポイントを絞って紹介しようと思います。

まず、これが2012年9月に出たデビュー盤「12 Bars Bruise」ですね。この時は結構わかりやすい、60s風のガレージロックです。かなりリアルに60sに聞こえるので、この時からマニアックなセンスはあったと思えます。この時点でっもう本国ではトップ10入ってますね。

ただ

2013年の前半に出たこのセカンド「Eyes Like The Sky」。ここでいきなり逸脱します(笑)。これ、「架空の西部劇のサントラ」で、渋いナレーションがつく中、バックで西部劇サントラらしい曲のインストをファズ多めにやってるという、謎なアルバムです。これともう1枚だけがサブスクにありません。youtubeで聞いてください。

そして2013年後半には、サイケなアルバム「Float Along Fill Your Lung」というアルバムを出しますが、冒頭いきなり16分の大曲です。やることがいちいち振り切っちゃってます。で、この次が2014年に入って「Oddments」というちょっと、この人たちにしてはポップなアルバムを作った後

「I'm In Your Mind Fuzz」というアルバムを出しますが、僕基準で恐縮ですが、最初の傑作だと思います。このアルバムはデビュー時のガレージ・サイケ路線が、後続のアルバムの体験を経たのち、楽曲的に成熟され、骨太になって帰ってきた、という趣です。

こんな感じですね。

続いて2015年。まず収録4曲が全て10分10秒という、妙なこだわりで作ったプログレみたいなガレージ・アルバム「Quarters!」を出し、

これターニング・ポイント的に大事かな。「Paper Mache Dream Baloon」というアルバムを出しますが、ここでより歌モノに近づくというか、フォークロック的な牧歌的な雰囲気が目立ちます。のちのアルバムで顕著になるフルートが目立ち始めますね。そういう感覚、すごくジェスロ・タルみたいで、個人的にはそこ、ツボなんですけどね。

そして2016年

2016年、これを最高傑作にあげるファン多数です。「Nanogen Infinity」。これはですね、オーストラリアで最大の音楽賞ARIAアワーズで最優秀ハードロック/ヘヴィ・メタル・アルバム賞に輝いた作品です。これに納得しない一般の人が多かったらしいんですが、でも、確かに、メタルへの新しいアイデアはしっかり提示されたアルバムです。

ギターはもういかにもこのバンドらしいギシギシにファズのかかった大音量なんですが、ドラムがかなりエレクトリックな感じなんですよね。手数多いんだけど、かなり未来的な響きで。方法論的に、同郷のテイム・インパーラが、「サウンドはエレクトロっぽいんだけど、ドラムだけ生スネア」みたいな発想と真逆なのに、でもなぜか出来上がったイメージは不思議と似ている、すごく妙味のある作品です。長い目で見て最高傑作と呼ばれそうです。

ここだけでも、もう4年で8枚のアルバムを作ってるのですが、驚くのはここからです。なぜなら

2017年に彼らはアルバムを5枚発表しましたから!

その最初のアルバムがこれでしたね。

「Flying Microtonal Banana」。これが今日まで一番わかりやすいアルバムじゃないかな。ポップでいい曲の並んだ楽曲オリエンテッドなアルバムなので。

このアルバムがオーストラリアでは2位まで上がりました。このころに僕も興味を持ってサブスクで聞こうとしたんですが、このころはまだ、彼らは一部の音源しか許諾出してなく、このアルバムも長いこと聞けなかったんですよね。ちょっと悔しかったのを今もよく覚えてます。

そして

この「Mind Of The Universe」。これが最高に変なアルバムなんですよ(笑)。これ、「3枚組で21曲ある」っていうから、最初、プログレのアルバムかと思ったんですよ。そしたら、「3枚合わせて45分」と短尺でした。これ要は、3曲の長い曲に対して、曲の途中でいきなりトラックの変わり目を唐突に入れただけのアルバムです(笑)。曲そのものはプログレ・ハードロックみたいでカッコいいんですけど、でも、トラックごとにこれ、聞けないですね(笑)。

そして、この後はジャズ・アルバムの「Sketches Of Brunswick East」、これは配信がありません。でも、オーストラリアでは4位まで上がってますね。さらに「Polygondwanaland」。これは正統派サイケというか、初期グレイトフル・デッドとジェスロ・タルを足して2で割ったみたいなアルバムですね。民族音楽色もかなり濃厚なディープなアルバムです。

そして2017年の年末に

「Gamboot Soup」というアルバムを発表します。

「Beginners Luck」という、これまでで一番ポップで美しい曲を出してきた一方、アルバムは結構まとまりなかったかな。これが出た頃にようやく彼らのカタログがサブスクでまとまってきて、聞きやすくなったものでした。

さすがに2017年に5枚も出してしまったので、2018年はアルバムは出なかったんですが

2019年4月。彼らは最新作「Fishing For Fishies」を出しました。この先行シングルの「Cyboogie」が、これまでに聞いたことのないようなエレクトロ・ナンバーだったので、「え??」という感じだったのですが

アルバムそのものは70s前半のアメリカン・ロック的に、ブルージーかつファンキーな、土っぽいアルバムです。最後の1曲半だけ、エレクトロしてます(笑)が、統一感はちゃんとあるし、歌で聴かせるアルバムなので、入門するにはいいアルバムだと思います。

・・という感じです。今回のアルバムが年間ベストでうんぬんみたいなことはわかりません。ただ、彼らの場合は、そういうの、あんまり関係ないかな。それはやっぱり、彼らって、

作品がどうであろうが、「固定ファン・ベースを拡大していくことで何年もやっていくであろうカルト・バンド」だから!

こういう、突拍子もない唐突な行動と独自の音楽世界に惹きつけられるファンって、一旦くっつくと離れないじゃないですか。そういうファンを増やしていけばいいと思うし、こういうバンドこそが今のロックには必要です。「カリスマ性とファンの忠誠心」みたいなヤツですね。こういうのあると強いんですよね。

これ、全部聞くの大変だとは思うんですけど(笑)、幸いサブスクに少なくとも12枚はあるし、試し聴きしてもお金は損しないので、ちょっとでも興味を持たれた方、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。彼ら、この先、絶対生き残って大きくなると思うんで。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?