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「みんなが選ぶ邦楽オールタイムベストアルバム100」というツイッター企画の結果が、すごく興味深かったことについて

どうも。

この週末、すごくツイッターで楽しんでいました。

それは

ツイッター上で「邦楽のアルバムのオールタイムを選ぼう」と言う企画が浮上して、実施した方がいたんですね。これ、評判呼びまして、結果的に200人、集まったんですって。一般で実施するにはかなりの母集団なので、「これ、楽しみだな」と思って、僕も楽しみに待っていました。

 僕自身はこれ、ちょうど「ロックと日本の65年」の企画の「昭和」「平成」のアルバム50枚ずつを選んだ直後で、あれで100枚選んだだけでも大変だったので、「そこからさらに30枚を順位付けはきつい」と思って、参加はしませんでした。

で、この結果がですね

驚くくらいにかっこいい!

僕、いろんな邦楽アルバムのオールタイム・ランキング・リスト、見てるんですけど、これが一番かっこいいです!

どんな感じになったのか。結果を見てみましょう!


1.空洞です/ゆらゆら帝国(2007)
2.風待ろまん/はっぴいえんど(1971)
3.空中キャンプ/フィッシュマンズ(1996)

4.A Long Vacation/大瀧詠一(1981)
5.ファンタズマ/コーネリアス(1997)
6.Life/小沢健二(1994)
7.無罪モラトリアム/椎名林檎(1999)
8.ヘッド博士の世界塔/フリッパーズ・ギター(1991)
9.ギヤ・ブルーズ/ミッシェル・ガン・エレファント(1998)
10.ファンファーレと熱狂/andymori(2010)
11.金字塔/中村一義(1997)
12.宇宙 世田谷 東京/フィッシュマンズ(1997)
13.Point/コーネリアス(2005)
14.家庭教師/岡村靖幸(1990)
15.キリンジ3/キリンジ(2000)
16.3×3×3/ゆらゆら帝国(1998)
17.東京/サニーデイサービス(1996)
18.Kocorono/Bloodthirsty Butchers(1996)
19.Hosono House/細野晴臣(1973)
20.シングルマン/RCサクセション(1976)
21.スリーアウトチェンジ/スーパーカー(1999)
22.泰安洋行/細野晴臣(1976)
23.Obscure Ride/cero(2005)
24.BGM/YMO(1981)
25.Sappukei/ナンバーガール(2000)
26.名前をつけてやる/スピッツ(1991)
27.ソリッド・ステイト・サバイバー/YMO(1979)
28.School Girl Distortional Addict/ナンバーガール(1999)
29.ひこうき雲/荒井由実(1973)
30.Songs/シュガーベイブ(1975)
31.図鑑/くるり(2000)
32.平成/折坂悠太(2018)
33.For You/山下達郎(1982)
34.Mislim/荒井由実(1974)
35.Camera Talk/フリッパーズ・ギター(1990)
36.ワルツを踊れ/くるり(2007)
37.フェイクファー/スピッツ(1998)
38.Making The Road/Hi-Standard(1999)
39.TEAM ROCK/くるり(2001)
40.ERA/中村一義(2000)
41.南蛮渡来/暗黒大陸じゃがたら(1982)
42.Game/Perfume(2008)
43.The Blue Hearts/The Blue Hearts(1987)
44.CB Jim/ブランキージェットシティ(1993)
45.AINOU/中村佳穂(2018)
46.Stilling,Still Dreaming/Tha Blue Herb(1999)
47.ハイファイ新書/相対性理論(2009)
48.The World Is Mine/くるり(2002)
49.犬は吠えるがキャラバンは進む/小沢健二(1993)
50.一触即発/四人囃子(1974)
51.ジャックスの世界/ジャックス(1968)
52.氷の世界/井上陽水(1973)
53.Num-Heavy Metallic/ナンバーガール(2002)
54.Teenager/フジファブリック(2008)
55.ハヤブサ/スピッツ(2000)
56.A/電気グルーヴ(1997)
57.Lifetime/グレイプバイン(1999)
58.lust/レイ・ハラカミ(2005)
59.Moda Soul/Nujabes(2005)
60.君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命/銀杏BOYZ(2005)
61.Sunny Day Service/サニーデイサービス(1997)
62.First Love/宇多田ヒカル(1999)
63.Live/村八分(1973)
64.SICKS/THE YELLOW MONKEY(1997)
65.ナマで踊ろう/坂本慎太郎(2014)
66.幻とのつきあい方/坂本慎太郎(2011)
67.red curve/レイ・ハラカミ(2001)
68.Poly Life Multi Soul/cero(2018)
69.勝訴ストリップ/椎名林檎(2000)
70.とどめをハデにくれ/The ピーズ(1993)
71.MUGEN/サニーデイサービス(1998)
72.VISITORS/佐野元春(1984)
73.ペイパードライヴァーズミュージック/キリンジ(1998)
74.黒船/サディスティック・ミカ・バンド(1973)
75.Chicken Zombies/ミッシェル・ガン・エレファント(1997)
76.HELL-SEE/シロップ16g(2003)
77.リハビリ中断/The ピーズ(1997)
78.球体/三浦大知(2018)
79.HIGHVISION/スーパーカー(2002)
80.感受性応答セヨ/イースタンユース(2000)
81.ZAZEN BOYS 4/ZAZEN BOYS(2008)
82.エアにに/長谷川白紙(2019)
83.andymori/andymori(2009)
84.フジファブリック/フジファブリック(2004)
85.スピッツ/スピッツ(1991)
86.アンテナ/くるり(2004)
87.VOXXX/電気グルーヴ(2000)
88.VITAMIN/電気グルーヴ(1993)

89.ANGELS/The Novembers(2019)
90.愛と笑いの夜/サニーデイサービス(1997)
91.Door/銀杏BOYZ(2005)
92.メシ喰うな/INU(1981)
93.Happy Bivouac/the pillows(1999)
94.Pop Virus/星野源(2018)
95.ミーのカー/ゆらゆら帝国(1999)
96.Rhapsody/RCサクセション(1980)
97.Dragon/電気グルーヴ(1994)
98.Dance To You/サニーデイサービス(2016)
99.High Time/ミッシェル・ガン・エレファント(1996)
100.テクノデリック/YMO(1981)

いやあ〜、これはすごい!

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50位まででジャケ写作ると、こんな感じなんですけど、これ

サザン、B’Z、ミスチル、バンプ、アジカン、ゼロですよ!!

いやあ〜、この結果は、本当に僕も全く予想していませんでした。

そのうち、「B’Z、ミスチル、バンプ、アジカン」に関しては、僕自身も「平成の50枚のアルバム」選んだ際、本音を言ってしまうと、「いくらビッグネームでも、他に選んだものと比べて弱いな」と思って選ばなかったんですけど、200人規模のオールタイムで選ばれないというのはびっくりです。それ、そんなにコンセンサスが取れることだったのかと。

僕の予想としてはこれ

こういう感じのものを予想してたんですね。つまり、「基本はロッキンオン・ジャパンではあるけれど、一般に流行ったロックもそれなりの数、入ってる」という感じになるのではないか、と。僕はそれはそれで受け止める気持ちでいたし、逆に「B’Zとかミスチルの名盤ってなんなの?」とか「2000年代のロキノン系ってすごく苦手だけど、その中で良しとされるものってなんだろう」と思って、そこも待っていたんですね。

そうしたら

僕が選んだ昭和と平成のベストより、断然トンガっていた(笑)!

ちょっとびっくりでしたね、これは。

傾向としてはこれ

はっぴいえんど周辺と、フリッパーズ・ギター〜98年世代の圧勝

ということになります。

それは、傾向にも現れています。僕が選んだ「昭和」「平成」のアルバムは1アーティスト1枚だったんですけど、こっちは複数エントリーが認められているので、それで人気のあったアーティスト、見てみると

6枚 細野晴臣(YMO3、ソロ2、はっぴいえんど1)
   フリッパーズの2人(FG2、小山田2、小沢2)
5枚 サニーデイサービス
   くるり
   坂本慎太郎(ゆらゆら帝国3、ソロ2) 
4枚 向井秀徳(ナンバーガール3、ザゼン1)
   スピッツ
   電気グルーヴ
3枚 ミッシェル・ガン・エレファント

もう、てきめんに現れてますよね。全部優れたアーティストだし、僕も「昭和」「平成」のリストで誰も「外せるわけがない」と優先的に選んだアーティストばかりではあるんですけど、それにしてもね。

あと、ベテランのアーティストでも、細野さん以外だとユーミン、山下達郎、RCが2枚ずつと、ここも「どういうアーティストが長くリスペクトを受けるのか」の例を見せられている感じなんですよね。

この、「特定アーティストに票が流れた」というところで、すごく怒っているツイートもかなり見たんですけど、まあ、それに関しては「影響力あるんだから、仕方がないじゃないか」としか思わないです。彼らが入るのは、何も今回のオールタイムだけじゃなくて、どこのランキングでも同様ですからね。今回、示されたのはその最新アップデート版ということです。これに関しては「文句の前に、彼らがなぜリスペクトされるのか」の方を考えた方が得策かと思います。

まあ、「配分の偏り」は確かにありますよ。それは

①時代によって、選ばれるものと選ばれないものがある

②R&B/ヒップホップやエレクトロが少ない

③女性アーティストが少ない

ところがあげられるかと思われます。

①に関して言えば「80sバンドブーム」「V系」「2000sロキノン」が外されたことに納得行かない人が多かったのかと思います。

バンドブームで言えば、その時期をキャリアの起点にしてるアーティストで入ったの、ブルーハーツとブランキーくらいで、彼らが40位台に終わったことも物議を醸していました。あと、ピーズくらいですからね。BOOWYとユニコーンまでゼロでしたからね。これは僕もサプライズでした。まあ、でも、このあたりは、最近のオーディエンスへのアピールの問題もあるかと思います。

V系に関しては、僕の自分の「昭和」「平成」のリストでX−JAPAN、BUCK-TICK、ラルクの3つは外さなかったので、上に書いたようなアーティストたちの好きな層でのV系に関しての偏見が強いということの現れですよね。昔ほど対立図式もないとは思うんですけど、こういう投票形式のランキングに反映されるにはまだ時間が必要かな。

そして、僕自身も驚きつつ、内心「やっぱ、そうだよね」と思ったのが2000Sロキノン系でしたね。やっぱりですねえ、90s、とりわけ後半を体験した立場からすると、バンプ、アジカン以降って、音楽的に物足りなさはどうしても残るんですよね。今回投票にモロでしょ?だって96年4枚、97年9枚、98年5枚、99年9枚、2000年7枚ですよ。この5年だけで37枚あるんですよ。2000年代でエントリーしたのだって、その大半がこの時期に登場した人がほとんどでしょ?

加えて、「ロキノン系の時代なら、このアーティスト」というのも、このリスト、結果出しちゃってるんですよ。銀杏BOYZ、フジファブリック、シロップ16グラム、相対性理論。全て、僕の「ロックと日本の65年」で動画で紹介したアーティストと一致したんですよね。

そして、脱ロキノン系のアンサーまで出していて。andymoriは僕はそこまで詳しくなかったんですけど、聞いてみたら、ロキノン系特有の「90sオルタナへの固執」から脱皮しててストロークス以降の音を鳴らしてたバンドだし、cero、星野源のカクバリズムの勢力に、折坂、中村佳穂、長谷川白紙、ノベンバーズでしょ?ハッキリしてますよね。

②に関してですが、レイハラカミ、Nujabesみたいな興味深い名前は上がったとはいえ、確かに少ないですね。これに関しては、むしろ、まだ発展しがいがいくらでもあるところなので増えていくのではないかな。KOHH以降にいい流れもあるし、自然に増えていくことを期待してます。

僕としては③が少ないのが残念だったかな。いくら何でも、ユーミンと林檎だけしか象徴的なアーティストがいないってこと、ないでしょ?あと入ってるのも、相対性理論、Perfume、中村佳穂くらいですかね。90sの女性アーティスト、もう少し入って欲しかったですけどね。彼女たちが2010sのインパクトが弱かったことが響いたかな。ここはもう少し増えて欲しいです。

あと、「はっぴいえんど以前のGSやニュー・ロック」も「やっぱりないなあ」と思ったりとか「東京ロッカーズは評論家が思うより影響力ないよなあ」とか、「フォークやニューミュージックにカテゴライズされがちなとこのものでの再評価ってそろそろありそうなんだけどな」とか「シティポップから大貫妙子とCHARくらいはあって欲しかったな」とかいろいろあるんですが、「投票」という形だと、その辺りはなかなか限界もありますからね。

ただ、いずれにせよ、「日本にはこんなにかっこいい音楽があるんだぞ!」ということを示すにはすごくいいリストだし、その点では過去ベストのリストだとさえ思います。これ、外国人に紹介したらウケるんじゃないかな。外国人向けに調整してみようかな。






 



   






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