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なぜ僕は、かくもデュラン・デュランにこだわり続けるのか?

どうも。

いや〜、嬉しかった!

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デュラン・デュラン!


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このニュー・アルバム「Future Past」、全英初登場3位です。1位がエルトン・ジョン、2位がラナ・デル・レイの週の3位ですよ!

これは2004年の「Astronaut」以来の順位です。あのときは「オリジナル・メンバーでの再編制」という話題がありましたけど、今回はそういうのなしに普通にニュー・アルバムでこの結果ですからね。

 しかもこれ、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーでもトップ10入ってるんですよ!今後、もう少し加わるかもしれません。残念ながらアメリカではトップ10逃したようですけどね。

 でも、80sのニュー・ウェイヴ・アクトの昨今のチャート・アクションとしては、これ立派ですよ。まあ、U2にはなにをしてもかないませんけど、これよりいい成績出せる当時のアーティストって、今ならデペッシュ・モード、ペットショップ・ボーイズくらいなものですよ。ニュー・オーダーでさえ2015年の最新作で4カ国ですよ。モリッシーも2010年代の前半までなら近い売れ方してたんですけど、ここ数作、イギリスでしか売れてませんしね。

ここ最近、イギリスだとゲイリー・ニューマン、スペシャルズ、ダムド、ストラングラーズ、一応スパークスも入れようかな。パンク/ニュー・ウェイヴ関係復活してトップ10に入るケース増えてはいるんですけど、イギリス以外で売れてはないですからね。

実はデュラン、前作の「Paper Gods」でも英米トップ10入ってるんですけど、やっぱ今回みたいにエルトンとラナとトップ争いなんてしませんでしたから、ニュースとしては気がつかれてなかったですね。今回の方がはるかにいろんな方面で気がつかれています。レビュー総合サイトも最初掲載してなかったデュランのレビュー、急に載せ始めましたしね(笑)。

 いや〜、でも本当にこれ、返す返すもうれしいですよ。だって僕、この瞬間を

20年待っていましたから!

なんか、ずっと僕の中で予感があったんですよ。「デュラン・デュランは必ず復活する」というね。

前置きが長くなりましたが、今回はなぜ、僕がデュラン・デュランにこだわち続けるのか。そのことについて話してみたいと思います。

80年代前半に、それはそれはでかいブームがありました。イギリスでもアメリカでも、当時絶世の美貌とMTVでのビデオ戦略が当たって、日本も含めて世界的に一番人気のバンドだった時期、あったんですよね。

 僕は洋楽の聴き始めは、クイーン、ホール&オーツ、ジャーニーっていう順に中学1年のときにライブに行き始めたくらい、どっちかというと70年代に軸足おいた世代のアーティストを好きになってたんですけど、デュランをはじめとした、80sにデビューしたニュー・ウェイヴの世代に中学2年の時に目覚めたんですよね。中2の1月に女の子95%の中、福岡公演、行きましたからね。そして、のちの人生での音楽的な影響も、どちらかというとニュー・ウェイヴ〜オルタナからの影響が強い人生を送っています。

 ただ、デュランって当時、すっごくアイドル扱いされたので、ニュー・ウェイヴと言っても「過去の遺物」のようにあつかわれること多かったんですよね。みんなキュアーやデペッシュ・モード、スミス(モリッシー)、ニュー・オーダー(ジョイ・ディヴィジョン)は伝説として崇めても、デュランにそんなことする人、いませんでしたから(笑)。

 ただ、その割にデュランってしぶとくてですね。

ちょうど大学を卒業するタイミングでこのバラード「Ordinary World」がヒットしたことで、人気、思い切り下がってたんですけど、7年ぶりくらに脚光を浴びてまして。ここで「低迷期、その1」を脱しました。

 ただ、多くの人が「でも、これで終わりだ」と思ってたんです。

というのは、1997年のアルバムの際にバンドの花形だったジョン・テイラーが脱退してしまったんですね。これで5人いたオリジナルのうち、残ったのがヴォーカルのサイモン・ル・ボンとニック・ローズだけになりまして。

この曲が入った97年のアルバムなんてイギリスでの発売が見送られたし

2000年の「Pop Trash」というアルバムは、アメリカではじめて100位以内に入らなかったアルバムになりました。

 そう聞くと、この時期のデュランが最悪と思うでしょう?

が!


この時期が、実は意外と悪くなかったんですよ!


この「Pop Trash」のツアーで日本に来た時、僕、ライブ評頼まれて見に行ったんですね。そこまで大きな期待をせずに。そうしたらこれが思いのほかよくて、「全然、死んでないじゃないか!」と思ったんですよね。ただ、本人たちの自信だけがなさそうだった。それだけでした。

 これを見て、すごくもったいないなと思ったんですよね。

だって、ブリットポップのときだって

アナログ・シンセかましてたり、妖艶なサウンドって、エッセンスとして感じられて、実際にデュランのこと思い出してたことあったんですよ。

 だから、このときに「やり方次第によってはデュラン、まだ行けるんじゃないか」と思ったんですよね。

 で、その矢先に2001年

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「デュランが全盛期のラインナップで復活する」という行動に出ます。

 これで、「ああ、これ行けるわ!」 と思ったんです。

その頃、ちょうど

ノー・ダウトの1984年のトーク・トークのカバーの「It's My Lifeが流行ったんですよ。エイティーズのシンセ・サウンドのリバイバルが来そうな雰囲気が出てきましてね。

そして、

そして、デュランのまさに息子のようなバンド、ザ・キラーズの世界ブレイクですよ。

 このキラーズ、今も大好きなバンドですけど、彼らを聞いた時に「こんな露骨にデュランみたいなバンドがアリーナバンドになるんだったらデュランも絶対行ける」と思ったんです。

そうして期待してたら

これがいまいちでねえ・・・(苦笑)。

なんか、エイティーズ・リバイバルに対して思い切り及び腰みたいな復活アルバム作って、これが大不評でねえ。

もう、「ガクッ」としましたよ。これ当たってたら、今の復活が17年早まってたのに。このとき、オリジナル再編の話題性はあったから、売上はそこそこ良かったんですけど、次につながるものが何もなく終わったんですよね。

くわえて

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ライブに行けば、アンディ・テイラーが空気読まないハードロック・ギター、弾き倒してねえ。これもライブのたびにがっかりで。「アンディ、もう頼むから辞めてくれ」と思いながら当時のライブ見てたんですけど、案の定、首になりました。

そして2007年、「ジャスティン・ティンバーレイクをフィーチャリングしてティンバランドのプロデュースだよ」と期待させた次のアルバムが歴代最低くらいにダメでした。

ジャスティンは全く協力態勢なしで、ティンバランドは弟子にプロデュースさせるというナメたありさまで。この曲もジャスティンが「デュラン・デュランはOrdinary Worldしかしらない」というのでこうなったという説もあるし。とにかくデュラン、被害者でした。オリジナル再編でせっかく「低迷期その2」は脱したものの、すぐさま再編後2枚の内容の悪さで「低迷期。その3」に入ってしまいました。

 で、こうしてるうちに、デュランのメンバーも50代になり、ついにメジャーからも落ちてしまい、もうさすがにヒットするバンドではなくなるだろうと誰もが思ってました。

が!!

2011年、インディ・リリースとなったアルバム「All You Need Is Now」というアルバムが、予想外にウケてしまったんですねえ

ここがデュランにとってひとつの転機でした。

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この時プロデュースをつとめたのはマーク・ロンソンだったんですけど、彼に「少なくともデュラン・デュランに聴こえる曲を書いてきてほしい」と言われたんですね。

 で、そのときにメンバー「はっとした」と言っててですね。つまり、どういうことか。これまでデュランって、自己評価が低かったのか、「アーティストは成長しなければならない」と生真面目すぎたのか、たぶんその両方だと思うんですけど、過去のいいときに戻ることを拒み続けてきたんですね。その方法論をついに破って、80年代初頭の、ニック・ローズの陰影が妖艶なシンセ・サウンドに戻った記念すべきアルバム。それがAll You Need Is Nowだったんですね。

これがインディながらイギリスで11位、アメリカで29位まで盛り返します。そして1作でメジャーに復帰します。そして

2015年に、今度は「若手とのコラボ作」という課題をロンソンから与えられ、それを実践した「Paper Gods」というアルバムを出したら、これがイギリスで5位、アメリカで10位のヒットになりました。

このツアーのときに彼ら、南米のロラパルーザに参加したら、これがバカウケしまして。僕もこのとき、見てるんですけど、日曜の夕方前だったのに、その日のヘッドライナー以上の客を集めて、みんなの知ってる曲も多いもんだからやたら盛り上がったんですよね。

 その影響からか、これ以降、イギリスやアメリカのイベントで、デュラン、トリが増えてました。

 そこからしばらく音沙汰なかったんですけど

All You Need Is Now以上に80sの全盛期の色濃いアルバム「Future Past」で帰ってきて、これがかなりの好評となりました。

もう、いろんなファンの声、聞いてますけど、それこそ1993年のOrdinary Worldの入った「ウェディング・アルバム以来の傑作」「いや、80年代以来の傑作だ」という声をネット上ですごくたくさん見ました。

そして、この最新のインタビューで、「僕たちはようやく過去から逃げないことを学んだ」という発言をしてます。

今回のアルバムでは、人気DJでもありますエロル・アルカンがプロデュースしてるんですけど、彼もロンソン同様に80s前半のデュランに立ち返るよう勧めて、「前と同じフレーズ使ってたっていいじゃないか」と諭したみたいですね。あと、ブラーのグレアム・コクソンがメンバー曰く「アンディ以来に最高のギタープレイをしてくれた」と大喜びで。

あと、ゲストも前作の企画性よりはよりデュランに似合うタイプの人が増え、大御所のジョルジオ・モロダー、トーヴ・ロー、そして日本のCHAIとの共演になりました。

 こんな風に、一般にも予想外のヒットになってるわけですが、なんでも

https://nme-jp.com/news/108835/

なんと、伝記映画が進行中なんだそうです。その直前に、すごくちょうどいい復活となっているわけです。これ、制作が遅れなければ、かなり商業的にいけるきがしてます。

 いやあ、驚きですよね。だって多くの人が実力を過小評価していたアイドルバンドが、平均年齢還暦過ぎて新たな全盛期ですよ。こんなことが起こるようになったんですよね。

僕としても、何度も人気が落ちて結果出なくても諦めずに応援してて本当に良かったと思ってます。いろんなバンド、これまで好きになってますけど、人生でもっとも擁護したのは、間違いなくデュラン・デュランですから。












 








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