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年間ベストアルバムに行く前に・・惜しかった作品

どうも。

では、今日あたりからそろそろボチボチ、年間ベスト・アルバムに関して語っていきましょう。

50位からのカウントダウンは来週から始めるんですけど、今回はその前に、惜しくも50位入りを逃した10枚のアルバムについて語り、そこから導かれる2023年の音楽について語っていきましょう。

この10枚です!

今年はこれ、結構凝って選びました。「ああ、これよく見る」というのと、「なにこれ、全然知らない」というのの両方があると思います。

では、これからいきましょう。

はい。まず最初はJPEGMAFIAとダニー・ブラウンとの共演盤「Scaring The Hoes」、これが今年のヒップホップの一番人気・・・というか、ヒップホップでこの手のリストに入りそうなの、これとビリー・ウッズくらいなんですよね。しかもどっちもアンダーグラウンド、インディまでしっかり追ってるタイプのリスナーしか聞いてないものですけどね。今年僕、これも圏外に外しました。どうするとですね、ヒップホップで入れるの、ほぼないんですよ!2017年からこの企画やってますけど、そんなこと一回もなかったから僕自身でさえショックだったんですよね・・・。

 今年、こういうニュースも聞いてます。アメリカではヒップホップのセールスが前年比で27%減。一時は40%減とも聞いていました。さらには5年前との比較では62%のダウンとも。2010s後半、あれだけウハウハだったヒップホップ、最近はアルバムでもロングヒットが減って、シングルで売れるのも女性ラッパーばかり。ジャンルでの人気もレゲトンやKポップに押されてます。やっぱ、言いたくないですけど、未だになんですけど、トラップとかエモ・ラップの粗製乱造、あまりに引っ張りすぎましたよね。次の売り出しもIce SpiceとかSexxy Redとかキャラ先行で音楽的な新しさで勝負してる感じが見えないし。このシーン、正直不安しかないです。

そうなった場合に、もう一回基本の「1MC+1DJ」に戻るというのは僕は歓迎だし、JPEGとダニー・ブラウンのコラボがその走りになりえるかな・・・とも思うんですけど、僕、あんまり既存の人たちのビッグ・コラボよりは、これまで全く知らない新人のパーマネントなユニットからそういうのを聞きたいんですよね。

あと、アメリカのヒップホップ、自分の国のシーンに閉じこもりすぎですね。もっと他の国、今だったらイギリスとかアフリカとかでいいですよ、もっと積極的に他国の実力者を積極的に取り入れてほしいんですけどね。

今や世界のどの国でもあるヒップホップ。こういう逸材もいますから。

はい。これはなんとアルゼンチンのラッパーの作品です。これEPなんでエントリー見送ったんですけど、フルだったら入れたなかったんですよ、本当は。

これはディロン(Dillom)という名前のラッパーでして

子供みたいでしょ。まだ22歳とのことなんですが、なんか彼、「アルゼンチンのエミネム」と言われてて、ヒップホップのファンからインディ・ロックのファンまでみんな聞いてるんですって。僕、スペイン語そこまでわからないんですけど、確かに彼の場合、トラック聞くだけで、かなりグイグイ刺激的に攻めてるのわかるんですよね。そんな彼はアルゼンチン版のプリマヴェーラ・サウンドで準ヘッドライナー。気になる人はこのEP「Ad Honorem Vol.1」を聞いてみてください。

続いては2枚まとめていきましょう。

はい。これはもう、見慣れた人も多いというか、「えっ、50位入ってないの?」と驚く人も多いかと思います。NewJeansのEP「Get Up」、そしてピンク・パンサレスの「Heaven Knows」

これ、本当はどっちか入れるつもりだったんですよ、最初は。やっぱり、この2枚に代表されるドラムンベース〜2ステップというミレニアムの時期のクラブ・ミュージックを今風に響かせて新たなガールズ・ミュージックにしたのは2023年のトレンド傾向でもあったわけですからね。

NewJeansに至っては、今年他にKポップも特に考えなかったしその中だったら楽曲は一番なんだかんだいってよかったので入れてもいいかなとは思ったんですよ。でも、ここの記事でも書きましたけど、やっぱ僕、彼女たちのキャラには思い入れがどうしても持てない。そのあたりでランクイン、二の足踏んだんですよね。

対して、ニュジの元ネタとさえ呼ばれたピンク・パンサレス。これまでみたいなスニペットみたいな断片的な楽曲だと真価がどうしてもわからないから、今回みたいにしっかり曲を書き込んでアルバム出してくれたのは評価したいんですよね。で、アルバム自体も悪くない。ただ、なんでかわからないんですけど、tik tokで当たり始めた時に持ってた断片的なひらめきがなんか少し落ちてる気がしたんですよね。なんかこう、エントリーさせる気持ちで臨んでいたのに、なんか乗り切れない感じになってしまって。

旬な音というのはなるべく反映させたいのは山々だったんですけどね。

これも女の子ですね。ホリー・ハンバーストーン。イギリスの23歳の期待のインディ女子ですね。なんかこう、HAIMとかクレイロみたいな流れのイギリスからの回答みたいな感じだし、洗練された洒落たソングライター、繊細なシンガーとしての資質、センスもすごくある人だと思います。ただ、「鉄は熱いうちに打て」じゃないですけど、もともと去年アルバム・デビューできてたくらいの人が今年の終わり頃にアルバムじゃ、待ってるファンも少し間延びしましたよね。それでもこの「Paint My Bedroom Black」ってアルバム、完成度高くていいですけどね。でも、悲しいかな2023年は気になる女性がシーンにあまりにも多すぎた!そういう人たちに押し出される形で圏外になりましたね。

そういう女性は他にもいて、例えばアイルランドの女性シンガーソングライターのCMATとかオリヴィア・ロドリゴのソングライティング・パートナーのダン・ニグロがもう一人育ててるシャペル・ローンって女の子だったり。この辺はもう、激しい競争に勝っていくしかないですよね。

続いてはウィルコの「Cousin」。これもいいアルバムでしたね。ウィルコって、2000年代にピークの人気出た後、2010sの作品、いいんだけど、なんか「ピーク時ほどじゃないのわかってるんだけど、まあいいや。いいよね」みたいな感じが続いていて、それで年間ベストの頃になると思い出さない、というパターンが続いていた気がするんですよね。それは彼らもなんとなく感じていたようで、今回、プロデューサーを大胆にも、接点がなかなかなさそうなイギリスの女性シンガーソングライター、ケイト・ルボンをすえてみて、これまでのウィルコと少し違う聞こえ方になりましたよね。安定してるアーティストだからこそ、こういう新しい試みによってコンフォート・ゾーンずらして成長していくことが必要になります。その立ち位置の作品としてはいいのではないかと思います。

今年はウィルコの他にもヨラテンゴも力作出したりと、ベテランたちも奮闘した1年となりました。

続いても2枚いきましょう。

こちらは新旧で押さえてみました。一つはデペッシュ・モードのニュー・アルバム「Memento Mori」、そしてもう一つはアメリカのインディのまだ若いバンドです。Nation Of Language「Strange Disciple」。どちらもシンセポップの名手ですね。

DMの方はフレッチことアンディ・フレッチャーと死別した後、デヴィッド・ガーンとマーティン・ゴアのデュオ形式での初のアルバム。決意とみずみずしさに溢れた意志を感じさせるアルバムでしたね。一方、ネーション・オブ・ランゲージは、まさにDMが若かった時代の、1980年代初頭のシンセポップをロウファイに鋭角的に鳴らす新世代ですね。彼ら、曲がキャッチーな上にメンバーのルックスも良いせいで、インディのバンドにしてはフェスでよく声がかかったりもしてましたし、その意味での期待値は僕の中では高い方です。

 これも本当はどっちかをエントリーさせたかったんですけど、ネタを明かしてしまうと、とあるアルバムに負けて入れられませんでした。

ただ、今年はこのNation Of Languageをはじめ、アメリカのインディ、久しぶりに若くて期待できるバンドが出てきた年でもありました。その中の幾つかは50位内にランクインさせてるんですけど、入らなかった中にもギースだったりとかホットラインTNTとかいいバンド、ありましたね。

でも、やっぱイギリスのバンドの方が期待できるのはまだ多いかな。今年は昨日も言ったようにThe Last Dinner Partyに一番熱をあげたんですけど、それ以外にもピクチャー・パーラー、ライム・ガーデン、イングリッシュ・ティーチャーなど、女性ヴォーカル、ガールズ・バンドにすごく逸材が揃ってるというか。

これもその一つですね。

ディヴォースというバンドなんですけど、このEP「Heady Metal」。これ、かなりのポテンシャルを感じさせましたね。一言でいうなら「イギリスのビッグ・シーフ」というか。メンバー編成もサウンドも似てますね。ニール・ヤングみたいな豪放なフォークロックにレディオヘッド成分が混ざるみたいなとこなんですけど、この人たちの方がわかりやすさがあるので売れやすそうです。特にリード・ヴォーカルの女性の伸びやかな声にすご華があります。このバンド、水面下で人気のようでして、イギリスのツアーでもソールドアウトの地域が結構出てるようです。ちょっと注目してみた方がいいかもしれませんよ。


そして最後がこれですね。100 gecsの「10000 gecs」。また上昇気流に乗りつつあるロックには、こういうハードロックのギター・フレーズを多用してグイグイ行く感じのDJプレイってかっこいいしアガるんですけど、不思議とこれ、最初聞いた時の刹那的なかっこよさが時間の経過とともにちょっと古くも感じるんですよね。だから最初、50位内に入れるリストに入れてたのに何か気乗りしなくなって、最終的に外れる作品になってしまいました。このパターン、毎年何枚かはあるんですけど、今年はこれになってしまいました。

・・・という感じです。年間ベストアルバム、50位からのカウントダウンはプリマヴェーラ・サウンドのレビューが終わり次第、来週から始めます。



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