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バッドバニー、ケンドリック、ハリー・・・記録的ストリーム続出の、伝説化必至のこの3週の意義

どうも。

いや〜、この3週間は音楽ファンのひとりとして本当に面白いですね。

それは

バッドバニー、ケンドリック・ラマー、そしてハリー・スタイルズと、リリースのたびに今年最高の売り上げを記録するアルバムが続出してるんですよ!

 いや、今年だけじゃありません。全世界的に見ても


この3枚が、Spotify歴代のリリース日に記録した世界総ストリーム数でいずれも歴代トップ5に入ったんですよ!

まず5月6日に出たバッドバニーの「Un Verano Sin Ti」が現状で歴代2位、13日に出たケンドリックの「Mr.Morale & The Big Stepper」が4位、そして20日に出たばかりのハリーの「Harry's House」が5位です。だた、だからといってバッドバニーのアルバムが一番ストリームされたアルバムとも言い切れないんですよね。なぜなら、バッドバニーのアルバムは収録曲数が24曲、ケンドリックが18曲、ハリーが13曲。ちょっとハンデがあるんですよね。それを考えると、枚数単位に直すとハリーが1位かもしれません。

 この曲数問題って実際にありましてですね、歴代1位がドレイクの「Certified Loverboy」で3位も彼の「Scorpion」なんですが、これもそれぞれ21曲と25曲での記録ですからね。でも、これだけのストリーム数はやっぱりそごいんですけど。

 そして、今回の3枚、すごいのは批評内容がどれもいいんです!3枚ともいずれも現時点で批評媒体のレヴューの平均点が10点満点中で8点前後なんですよね。去年、ストリーム数の記録で2週立て続けに話題になったドレイクのCLB、カニエ・ウェストの「Donda」(歴代6位)だと、どっちもレビューの平均、5点台とかなり酷評されてるんですよね。僕自身も正直、2枚ともにかなり乗り切れないアルバムでしたね。だから、ここでなにも騒がなかったでしょ?

 で、しかも今回の3枚、ただ単に売れてる、評判が良い、というだけでなく、社会的意義があるんです。

まず、バッドバニープエルト・リコ人で、音楽史上はじめて全米シングル・チャートで4曲のスペイン語楽曲をトップ10に入れ、スペイン語のアルバムを全米1位にした数少ない存在で、レゲトンだとはじめてなんですよ。しかも、数日前に彼の入門編をここで書いたときにも伝えたのですが、売れれば売れるほど、音楽的な挑戦が強まってきてもいます。

そしてケンドリック・ラマーは、もう今作が出る前にすでに伝説でした。アメリカヒップホップ界きっての社会派ラッパーで、ラッパーではじめて文学上できわめて権威あるピューリッツァー賞を受賞までしています。そんな、若きリヴィング・レジェンドが5年ぶりのアルバムを全く期待を裏切らずに発表し、レビュー総合9点台の大絶賛ぶり。

そしてハリー・スタイルズは、かつてのスーパー・アイドルから一転、インディ色を強めた本格的なロック路線で一躍本格派へと成長。アイドルとしてのサウンドの概念を打ち破り、今や本格的な、新しいタイプのロックスターへと成長しようとしています。そのことはすでにコーチェラ・フェスティバルの堂々たるヘッドライナーぶりでも証明し、現在シングル「As It Was」は現在、約2ヶ月あまり、世界でぶっちぎりに最も売れてる曲です。


 そしてバッドバニーがラテン系、ケンドリックが黒人を代表する中、ハリーはヨーロッパの白人を代表する事にもなるわけで、このバランスも絶妙です。ただ、白人男性といってもハリーは自分のツアーのオープニング・アクトを、気鋭の、生演奏が前提の女性アーティストにほとんどすべて任せるというフェミニストぶりも発揮。そういうところでも、新しいキャラクター像をハリーは築いているわけです。

 ハリーのアルバムに関しては、週明けにみっちり大特集するので、そちらもぜひ読んでほしいです。

 この3つに、女性アーティストがひとつあれば完璧ではあったんですけど、それはまた別の機会に期待ですね。でも、それでも、これだけ多様性のある、今一番評判のアーティストたちが売り上げでも批評的内容でも絶賛を受け名盤化しそうなんて瞬間、僕の40年以上のポップ・ミュージック・ファンの歴史の中でも、ぶっちゃけないですね。これは語り継いでいく必要のある、歴史的瞬間だったと思いますね。





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