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「みんなで選ぶオールタイム外国映画ベスト100」というツイッター企画の結果が、すごく興味深かったことについて

どうも。

もう1週間ほど前のことになりますが、ツイッター上でこういう企画がありました。

この、「みんなで選ぶオールタイム外国映画ベスト100」。マカロニ大聖堂さんという、ツイッターだけでなくnoteもされていらっしゃる方がやったものなんですけどね。

「これ、どんな結果になるかな」と思って僕も投票に参加したんですけど、これがまあ、思いの外、楽しくてですね。ツイッターだと10日にわたって10ランクずつ発表されたんですけど、僕、半分以上、RTして自分のコメントつけてました(笑)。 その注目のランキングですが、ざっと言うと、こんな感じです。

1.2001年宇宙の旅(1968)
2.ファイト・クラブ(1999)
3.パルプ・フィクション(1994)
4.バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)
5.インターステラー(2014)
6.ゴッドファーザー(1972)
7.時計じかけのオレンジ(1971)
8.ダークナイト(2008)
9.マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)
10.8 1/2(1963)
11.ブレードランナー(1982)
12.街の灯(1931)
13.ショーシャンクの空に(1994)
14.タクシー・ドライバー(1976)
15.シャイニング(1980)
16.ゴッドファーザーPARTII(1974)
17.インセプション(2010)
18.レオン(1994)
19.ニュー・シネマ・パラダイス(1989)
20.ダイ・ハード(1988)
21.パリ、テキサス(1984)
22.地獄の黙示録(1979)
23.殺人の追憶(2003)
24.セッション(2014)
25.タイタニック(1997)
26.道(1954)
27.セブン(1995)
28.フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)
29.悪魔のいけにえ(1974)
30.ノーカントリー(2007)
31.十二人の怒れる男(1957)
32.アンダーグラウンド(1995)
33.レザボア・ドッグス(1992)
34.ラ・ラ・ランド(2016)
35.スタンド・バイ・ミー(1986)
36.シティ・オブ・ゴッド(2002)
37.アマデウス(1984)
38.燃ゆる女の肖像(2019)
39.ボヘミアン・ラプソディ(2018)
40.ターミネーター2(1992)
41.リトル・ダンサー(2000)
42.ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)
43.仮面/ペルソナ(1966)
44.去年マリエンバードで(1961)
45.鏡(1974)
46.グランド・ブダペスト・ホテル(2014)
47.大人は判ってくれない(1959)
48.グッドフェローズ(1990)
49.ノスタルジア(1983)
50.マトリックス(1999)
51.ミツバチのささやき(1973)
52.パラサイト 半地下の家族(2019)
53.アパートの鍵貸します(1960)
54.ロッキー(1976)
55.グラン・トリノ(2008)
56.ライフ・イズ・ビューティフル(1998)
57.続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966)
58.遊星からの物体X(1982)
59.マルホランド・ドライブ(2001)
60.大脱走(1960)
61.スター・ウォーズ(1977)
62.気狂いピエロ(1965)
63.スカーフェイス(1983)
64.君の名前で僕を呼んで(2017)
65.友だちのうちはどこ?(1987)
66.モダン・タイムス(1936)
67.恋する惑星(1994)
68.スリー・ビルボード(2017)
69.アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
70.トレインスポッティング(1996)
71.ジュラシック・パーク(1993)
72.ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)
73.エル・トポ(1970)
74.ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984)
75.6才のボクが、大人になるまで。(2014)
76.JAWS/ジョーズ(1975)
77.トイ・ストーリー(1995)
78.ヤンヤン 夏の想い出(2000)
79.マグノリア(1999)
80.シェルブールの雨傘(1963)
81.チャイナタウン(1974)
82.明日に向って撃て!(1969)
83.ジョーカー(2019)
84.サンライズ(1927)
85.メッセージ(2016)
86.ロスト・イン・トランスレーション(2003)
87.エイリアン(1979)
88.トイ・ストーリー3(2010)
89.イレイザーヘッド(1977)
90.ブルーベルベット(1986)
91.エターナル・サンシャイン(2004)
92.羊たちの沈黙(1992)
93.ミッドナイト・ラン(1988)
94.ゾンビ(1978)
95.博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964)
96.グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997)
97.炎628(1985)
98.ファニーとアレクサンデル(1982)
99.A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017)
100.裏窓(1954)


はい。

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ズバリ、上位40作はこのような並びなんですけど、これ見るだけでも面白いですよね。

これ、何が良いか、言っておきますね。

①批評評価作と、大衆ヒット作のバランスが良い

始める前、「もっとたくさん、大衆ヒット作が入るのかな」と思ってたんですね。選ぶ人が、批評家というわけでなく、一般の人たちなので。そう思って見てたら、かなりガチにマニア好みの作品がずらりと並んでました。

もっと、今どきのスーパーヒーローものとか入るのかなと思ってたら、むしろ外国の最近のオールタイムのそれよりも少ないくらいで。

 大半が、アワードでもノミネートされるタイプの映画ですね。どこの国のオールタイムでも強い、スタンリー・キューブリック、クリストファー・ノーラン、フランシス・フォード・コッポラ、デヴィッド・フィンチャーあたりが上位に来つつ、フェリーニとかヴェンダーズ、ベルイマン、タルコフスキーみたいなマニアックなものまで入ってて。

そうかと思ったら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ダイハード」「タイタニック」「フォレスト・ガンプ」「ボヘミアン・ラプソディ」みたいな大ヒット作もあって、そこまでマニアックでない人まで見ていて楽しめる感じになっているというか。

それから

②エントリーしている時代が幅広い

ここもいいですよね。

これ、一番古くて

1927年公開の「サンライズ」、これ第1回目のオスカーの作品賞で、これ、かなりの感動作で僕も大好きなんですけど、こういう95年前の作品から

この「燃ゆる女の肖像」だとか、「パラサイト」「ジョーカー」など2019年の作品まで、網羅にして92年分の映画が入ってます。しかも全年代にわたってランクインしています。

こういうのは、「古い映画を知りたい」、その逆に「最近の映画を知りたい」という人の需要には応えてくれますよね。これで、多くの人がかなりの知らなかった映画、探せるんじゃないかと思います。

③エントリーしてる国が、他のどのオールタイムよりも幅広い

僕からすれば、ここが最大の魅力ですね。

「外国映画」と言っても、どうしてもハリウッドに頼りがちになるのは、どこの国の映画オールタイム見ても、それは一緒です。

だけど、ここで入ってるのは、ものすごくインターナショナルな並びです。

だって、アメリカ、フランス、イタリアだけでなく、ドイツ、韓国、セルビア、ブラジル、スウェーデン、ロシア、スペイン、イラン、中国、チリまで入ってるわけですよ。英語圏のオールタイムで、ここまで非英語な作品入ってるの、なかなかないですよ。やっぱ彼ら、無意識のうちに英語作品、選びがちなので。僕はその意味でこのオールタイム、オススメなんですよね。

④「今、どの映画が古典で訴えるのか」がわかる

この意味でも面白かったんですよね、この企画。人によっては「なんだ、『ローマの休日』とか『風と共に去りぬ』とかないじゃないか」という意見もあったんですけど、ただ、「古典」とだけ受け継がれて今に実感としてピンとこない作品を名作として崇め続けるのも僕はどうかと思います。

その意味で僕はこれ、すごく正直だったと思うんですよね。

だって、古典でも前述の「サンライズ」だったり、チャップリンは入ってたわけでしょ?フェリーニはトップ10に1作に40位以内にもう1作。キューブリックなんてトップ10に2作で全体で4作も入ってます。過去はしっかり評価されてますよ。

何が今回は入らなかった古典と、今回でも高く入った古典の評価を違わせるのか。そこに関してはしっかり考える必要、あると思いましたね。

 そりゃ僕とて、「だからと言って、市民ケーンが100位にないのは寂しいよね」とか「ヌーヴェルヴァーグでトリュフォー、ゴダール、レネで一作ずつかあ」とか「アメリカン・ニューシネマ、もう少し入っていいんじゃない?」とか「ホラーの古典には優しいのに、ドラマの古典にはちょっと冷たいよね」とかってのは思いましたけど、まあ、そこのところは、今後の日本の映画ファンや評論家筋による再評価で変わっていくのかなと思いましたけどね。

あと、課題としては

⑤女性と黒人にもっと優しくていい

これも思いましたね。

あまりにも「ヒロイン映画」がないんですよね。投票者に男性が多かったのかな。ただ、これ、「邦楽オールタイムアルバム」「洋楽オールタイムアルバム」の時にも感じたことなので、若干、普段からその意識が男性投票者の視点に欠けがちなところはちょっとあるかもしれません。

 特に近年、いい女性映画、ありますからね。「燃ゆる女の肖像」はそのいい一例で入って嬉しかったんですけど、グレタ・ガーウィッグの映画とかすごくいいし、僕自身入れたトッド・ヘインズの「キャロル」みたいな優れたレズビアン・ロマンスもあったりしますしね。

そうじゃなくても、例えばヌーヴェルヴァーグ系の作品入るだけで、そこ自然と増強されますし、フェミニズム視点で言えば、オードリーじゃなくてキャサリンのヘップバーンの映画だったり、それこそジュリー・アンドリューズの「メリー・ポピンズ」「サウンド・オブ・ミュージック」の役柄とかその視点ですごく重要な役割果たしてたりもしますしね。それと正反対なイメージですけど、マリリン・モンローの映画にもすごくフェミニンなもの感じますしね。そういうのが増えると面白かったかなと思いますけどね。

あと黒人映画も欲しいですよね。「ドゥ・ザ・ライト・シング」をはじめとしたスパイク・リー映画だとか、「ブラックパンサー」「ムーンライト」「それでも世は明ける」。この辺の映画はヒップホップ好きを自称する人なら是非評価して欲しいし、2010年代の作品に関して言えば、それこそケンドリック・ラマーのアルバムに負けない価値だってあると思うのでね。

 こういう作品がちょこっとでいいので入ってると、より進歩的な感じになったかなとは思います。まあ、集団の投票は個人の力ではどうにもならないので、そこは誰の責任というのでもなく、映画を取り巻く環境が自然と導いていくものでしかないんですけどね。

 いずれにせよ、総じて、「洋画を見たい人にとってのすごく良い見本」になることはこれ、確かです。リストを見て楽しんでいただければと思います。

一作ごとの短い解説は、マカロニ大聖堂さんのこのnoteでうまくまとめられていますので、ぜひこちらも参照してください。

マカロニ大聖堂さんは大学生の若さで、ここにある作品、全部観たというからすごいですよね!僕でさえ90本(発表中に1作見たので今は91本)だったのに。映画を文化遺産としてリスペクトする若い人たちが増えるといいなとも思ってます。








 


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