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フィービー・ブリッジャーズ「パニッシャー」 人気引っ張りだこの彼女が2020年の年間ベスト・アルバムの有力候補になるまで

どうも。

今日は先週から言ってた、このアルバムについて語りましょう。

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アメリカ期待の女性シンガーソングライター、フィービー・ブリッジャーズ。彼女のセカンド・アルバム「パニッシャー」について語ることにしましょう。

まず、これですけど、

最高です!

いやあ、今年は女性アーティストからいい作品を聴くことが非常に多いのですが、その中でもこれはかなり秀逸なアルバムですね。

まず、フィービーの名前を出しても、知ってる人はもちろん知ってるとは思うんですけど、そこまで一般知名度があるとも思えないので、軽く経歴をさらいましょう。

フィービーは1994年生まれと、まだ若いんですけど、10代の頃から人前で歌ってまして、こうやってその頃の動画が残されてます。上なんて15歳のときですよ。下の短髪のものは、あまりにイメージ違いすぎて、なんか初々しいですよね。

彼女の場合は親がジャクソン・ブラウンなど70sのシンガーソングライターのファンだったそうなんですが、その感覚と、現在のアメリカーナ、インディ・ロックの感覚で育った感じですね。

それが

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まず、2017年11月にアルバム「Stranger In The Alps」でまず結びつきます。

この頃ですね。

僕の記憶だと、これ、たしかあの年の年間ベストアルバムを作成しようとした時期に出て、それに集中してたものだからじっくり聴けなかったんですよね。「なんか評判が良いの、出てるな」とは頻繁に目にするジャケ写を見て思ってたんですけどね。

で、ちょっと遅れてこの曲とかを聴いて。ただ、このときはまだ「アメリカーナの良いシンガーソングライターの子が出てきたな」というイメージで、そこまで大きくは響いてはなかったんですけど

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むしろ、その翌年に出た、このボーイジーニアスで、すごくつかまれましたね。ルーシー・デイカス、ジュリアン・ベイカーと、フィービーと全く同世代の女性インディSWWが集まって作ったプロジェクトだったんですけど、これがとにかく素晴らしかった!

これは現代のモダンなクロスビー、スティルス&ナッシュですね。この3人の互いのソングライティング・センスをそれぞれに責任をもって作った曲で発揮しながら。抜群の3声ハーモニーを聞かせてます。穏やかなアルトのルーシー、抜群のハイトーンを誇るジュリアン、そして、声質は細いながらも情感の説得力で聞かせるフィービー。パーマネントなグループでないのがもったいないくらいの企画でした。

更に翌2019年には

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このベター・オブリヴィオン・コミュニティ・センターというユニットで作品を発表します。

これですが

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ブライト・アイズのコナー・オバーストとの共演アルバムでした。

路線としてはフォーク・ロックなんですけど、フィービーがやってきたものの中ではストレートで骨太なロックも目立った作品ですね。そこはコナーと作ったことが影響してると思うんですけど、フィービー自身の表現の幅を広げた意味で重要なステップだったと思います。

そして今回のアルバムに行くわけですけど、その前にも


https://www.youtube.com/watch?v=bRA6xocqmow

以前にこのブログでも絶賛したパラモアのヘイリー・ウイリアムズのソロ作でボーイジーニアスとして参加してたり

The 1975の先日出したアルバムの中でもフィービーがヴォーカルを聞かせています。

そう来ての

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このセカンド・アルバム「パニッシャー」です。もう、その過程でいろいろありすぎて、2枚めっぽくはないんですが、もう、こういうあらゆる経験が生きた、充実の楽曲が並んだ傑作ですね!

先行シングルになった、この正統派インディ・ギターロックの「Kyoto」でまず掴むんですけど、1曲1曲が本当に多彩です。

この「Halloween」に顕著なように、ささやき語りかけるような丁寧な歌い方にこそ、フィービーの魅力がありますが、その良さを最大限に活かしたアレンジがすばらしい。この曲は、音数の少なさをアンビエントの巧みなきかせ方で盛り上げる曲で、再びコナー・オバーストとのデュエットになっています。

僕はこの「Chinese Satellite」という曲が一番好きですけどね。ネオアコ・テイストから徐々に力強くなって最後に大団円を迎えるタイプの曲なんですけど、

そして「Savior Complex」。ストリングスの美しいバラードです。こうした曲の合間合間に「Kyoto」タイプのロックナンバーが混ざっていく感じなんですけど、そのコントラストが鮮やかです。

そして

最後の締め2曲はボーイジーニアスとの共演で、魅惑のハーモニーを聞かせるわけです。

これやはり思うに、フィービーがこの数年で経たコラボ経験が結実したものだと思うんですけど、

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多くの曲で、このクリスチャン・リー・ハトソンというシンガーソングライターとの共作なんですね。彼とのソングライティングが、ボーイジーニアスのときからはじまり、コナーとのBOCC、そして今作と3作続いたわけです。彼もアルバムが出てまして、これにもフィービー絡んでいるようです。

今回のアルバム、アメリカーナというかインディ・フォーク・ロックというか、それをヴァラエティあふれる音楽手法で発展させた感じですね。感触としては、一昨年のケイシー・マスグレイヴスの傑作「Golden Hour」にも近くはあるんだけど、あそこまでポップではなく、よりソリッドなロック色で仕上げた感じですね。さらにいえば、あのアルバムよりはプロデューサー色は強くなく、フィービー自体の主体性が強く出ている分、より好感が持てるとも思いますね。

最近、フィービー、注目度も上がってきているようで。

カープール・カラオケでおなじみジェイムス・コーデンのショウに出まして、車の中で新作からのロックなナンバー「ICU」を鼻歌で披露したりもしています。
























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