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アメリカ民主主義史上最悪の日に見た「ある映画」

どうも。

いやあ、ひどかったですね。

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2021年1月6日、ドナルド・トランプを支持する連中が、大統領選の選挙人投票を開票中に、ワシントンDCの連邦議事堂に殴り込みをかけ、議事堂をあらし、その結果、4人の死亡、50人以上の逮捕者が出たという事件。アメリカという国は、ことのほか「民主主義」を重んじる国なのですが、建国の父、トーマス・ジェファーソンの頃からの「三権分立」に基づいた民主主義の理想がこの日ほど揺るいだことはないのではないか。そんなことも思いました。

僕自身は、この暴動があったことで、「こんなことしても結果が変わるどころか、陰謀論者、極右に記録に残るダーティ・イメージが残るだけ」と思い、そういう思想を持たない人々には逆に有利になったと思いました。もう、映像により、このマッドネスがしっかりと記録されてしまいましたからね。「フェイクニュースによる煽り、”自分たちだけが真実と思い込んでいる勝手な理想”を信じすぎると何が起こるか」を恐怖と共に人々に植え付けた。これはひとつのターニング・ポイントになると思います。

 今日、本当は別に書くことがあったんですけど、書く気がなくなりますよね、こういうことが起きてしまった後では。

 そんな折、あることがきっかけで、僕はゆうべ、この映画をYouTubeで見てました。

1927年のロシア映画「十月」。これはロシア革命から10年を記念して作られた映画で、「戦艦ポチョムキン」を監督した、「映画の父」のひとり、セルゲイ・エイゼンシュタインによる、映画史に残る名作とされている作品です。

以前から存在は知っていた作品でしたが、見るのは今回がはじめてでした。

なぜ、これを見ようと思ったかというと

今回の事件が起きている真っ最中に、ブラジル最大の新聞「フォーリャ」が、こんなウェブ記事を出したんですね。「トランプ支持者の行動は、皮肉にも、エイゼンシュタインのソ連の映画を思い出させる」というものです。

実はこの指摘は、ツイッター検索して、他の国の人たちからもあがってた意見でもありました。特に類似点を指摘されていたのは

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ボルシェヴィキの革命軍が、皇帝邸や、それこそ議事堂を襲うんですよね。ロシア革命はこのように、法的手続きを経ないクーデターで起きた政権で、アメリカが古くから嫌悪してたものでもあったものです。それプラス、資本主義経済の否定、という意味でももちろん嫌う対象になってるはずですが、皮肉だったのは、そんな、それこそアメリカ愛国心を極端に打ち出した人たちがもっとも忌み嫌ってるはずの歴史的事件と今回起こったことが、動機の違いこそあれ、少なくとも表面的行動の形ではきわめて似てしまったことですね。

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この映画ですけど、いかにもエイゼンシュタインですね。顔のアップと、絵画的に印象的なショットをつなぐことで、かなりエモーショナルで扇情的な映画の作り方をしますね。それゆえに、見る人のエモーションにはかなり巧みに訴える作風にはなってるんですけど、「ポチョムキン」見たときにも思った、この扇情的な手法ゆえに、ちょっと怖いんですよね。好きか嫌いかと言われたら、後者の手法なんですけど(苦笑)、ただ、この巧みなカットつなぎの編集技法が、映画のストーリーテリングには実に効果的なことを100年近く前に証明し映画史に残り続けた事実は実感し認めるところです。

 あと、アメリカ建国時の民主主義の作り方など、歴史からいろいろ学びたくなっている気分でもありますね。



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