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「みんなが選ぶ邦楽オールタイムベストアルバム100」のさらなるデータでわかったこと

どうも。

以前、ここで取り上げた

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上位50枚がこんな風な結果になった「みんなが選ぶ邦楽アルバムオールタイム100」。100位までの順位は、今、僕のこのnoteのトップページに固定してあるのでそれを参照にしていただきたいのですが、あれから主催のJMXさんがいろんなデータを発表しています。

まずは、投票のポイントが100点を超えた、172位までを見てもらうことにしましょう。

101.ソルファ/アジアンカンフージェネレーション(2004)
102.服部/ユニコーン(1989)
103.はらいそ/細野晴臣&イエロー・マジック・バンド(1978)
104.98.12.28 男たちの別れ/フィッシュマンズ(1999)
105.Spacy/山下達郎 (1977)
106.ゆらゆら帝国III/ゆらゆら帝国(2001)
107.Band Wagon/鈴木茂(1975)
108.三日月ロック/スピッツ(2002)
109.Mother/Luna Sea(1994)
110.Futurama/スーパーカー(2001)
111.センチメンタル通り/はちみつぱい(1973)
112.スポーツ/東京事変(2010)
113.加爾基 精液 栗ノ花/椎名林檎(2003)
114.Fantome/宇多田ヒカル(2016)
115.深海/Mr.Children(1996)
116.Modern Times/Punpee(2017)
117.太陽/中村一義(1998)
118.Metal Resistance/Babymetal(2016)
119.Copy/シロップ16g(2001)
120.Sell Our Soul/Tha Blue Herb(2002)
121.ニセ預言者ども/じゃがたら(1987)
122.シンクロニシティーン/相対性理論(2010)
123.さくらの唄/Going Steady(2001)
124.さよならストレンジャー/くるり(1999)
125.Blue Blood/X Japan(1989)
126.ハチミツ/スピッツ(1995)
127.告白/チャットモンチー(2009)
128.Sensuous/コーネリアス(2006)
129.The Timers/The Timers(1989)
130.祝祭/カネコアヤノ(2018)
131.Persprctive/P-Model(1982)
132.Riot On The Grill/ELLEGARDEN(2005)
133.海へ行くつもりじゃなかった/フリッパーズ・ギター(1989)
134.雨に撃たえば Disc 2/七尾旅人(1999)
135.ファンクラブ/アジアンカンフージェネレーション(2006)
136.天国と地獄/カーネーション(1992)
137.未完成/ブラッドサースティ・ブッチャーズ(1999)
138.はっぴいえんど/はっぴいえんど(1970)
139.シンシロ/サカナクション(2009)
140.股旅/奥田民生(1998)
141.Long Season/フィッシュマンズ(1996)
142.さんだる/たま(1990)
143.Covers/RCサクセション(1988)
144.Radio Onsen Eutopia/やくしまるえつこ(2013)
145.B-2ユニット/坂本龍一(1980)
146.Mouth To Mouse/シロップ16g(2004)
147.初恋/宇多田ヒカル(2018)
148.カメラ=万年筆/ムーンライダーズ(1980)
149.Sea And The Darkness/Gallileo Gallilei(2017)
150.Bang!/ブランキージェットシティ(1992)
151.awakenings/佐藤博(1982)
152.僕の中の少年/山下達郎(1988)
153.ぶっ生き返す/マキシマム・ザ・ホルモン(2008)
154.ゆらゆら帝国のめまい/ゆらゆら帝国(2003)
155.MANIA MANIERA
/ムーンライダーズ(1982)
156.cherish/kirinji(2019)
157.YELLOW DANCER/星野源(2015)
158.ほうろう/小坂忠(1975)
159.ステレオ太陽族/サザンオールスターズ(1981)
160.イエロー・マジック・オーケストラ/YMO(1978)
161.Bootleg/米津玄師(2017)
162.シフォン主義/相対性理論(2008)
163.Cosmonaut/バンプ・オブ・チキン(2010)
164.Jump Up/スーパーカー(1999)
165.School Girl Bye Bye/ナンバーガール(1997)
166.スーパー・アー/ボアダムズ(1998)
167.True/ラルク・アン・シエル(1996)
168.イデアの水槽/グレイプバイン(2003)
169.ロデオ・タンデム・ビート・スペクター/ミッシェル・ガン・エレファント(2001)
170.生命力/チャットモンチー(2007)
171.Sing/グレイプバイン(2008)
172.Here/
グレイプバイン(2000)

こんな感じでした。

前回、「100位以内にサザン、B’Z、ミスチル、バンプ、アジカンが入ってないよ」という話をしましたよね。

それがここまで拡大すると、だいぶ違いました。

内訳で見てみると、アジカンが101位と135位、ミスチルが115位、サザンが159位、バンプが163位。B’Zは190位台に入ったようですが100ポイントに集計が満ていませんでした。

まあ、でも、そこまで広げたにしても、トップ100に5枚入ったくるりやサニーデイ・サービス、4枚入ったスピッツ、3枚入ったゆらゆら帝国、ナンバーガール、ミッシェルと比べると惨敗だったことには変わりはないですけどね。。この差は一体、なんなのか。

ここまでのポイントで気がついたことを見ていきましょう。

①2000年代アーティストで強い人たちがわかった。

今回のランキングではっきり現れているのは、2000sの、いわゆる「ロキノン系」と言われているアーティストの苦戦でしたね。

今回のチャートで、その時代に活躍したアーティストで誰が強かったかというと、フジファブリック、銀杏BOYZ(Going Steady含む)、シロップ16g、相対性理論(やくしまるえつこ含む)と、トップ100の結果が強調された形になり、その次にアジカンが入ってきて、チャットモンチー、エルレあたりが入って、やっとこさでバンプという感じ。このあたりはもう、すごく特色出てますよね。

②80年代やバンドブームものは強くない

そして、この拡大したものでも80年代やバンドブームもの、弱いです。

102位にやっとこさでユニコーンの「服部」、X JAPANが125位、ブランキーの2枚目のエントリーが150位とか、そのくらいですからね。ブルーハーツ(ハイロウズ、クロマニヨンズ)は2枚目に得票集めたアルバムが100ポイントを超えなかったし、エレカシも入ってない。BOOWY、レベッカ、尾崎豊も100ポイントは超えてません。

やっぱり、「80年代のバンドブーム」そのものが、渋谷系〜98年世代のバンドに印象として負けてるというのがあるんでしょうね。

そうかと思ったら今回、YMO、ムーンライダーズ、P−MODELみたいなニュー・ウェイブは入っていたりするので、「よって立つサウンド」みたいなものが認知、再評価を高めている例ではないかと思います。そういう決め手がないと、再評価もなかなか難しいのかもしれません。あと、じゃがたら、ピーズあたりはずっと再評価が起こっているから強いですよね。

個人的にはルースターズ、ボガンボス、ニューエスト・モデルの再評価はすごく欲しいので、この辺は積極的に言及を続けたいところですね。

③ラウドロック系の弱さ

あと、僕の印象としては「ラウドロック系が本当に批評対象から外れてしまっているな」という感じを受けますね。

全体で見ても100位にハイスタが38位に入ってるくらいで、100位圏外で広げて見ても、エルレを含めるならそれがあるのと、ベビメタ、ホルモンくらい。むしろ、こういうランキングで一貫して強くないV系の方がLUNA SEA、X JAPAN、ラルクと入っていたりもして。聞いた話だと、ONE OK ROCKは500位くらいにまで広げないと入っていないようで。彼らの今の欧米での人気と評判考えると、ちょっとびっくりですけどね。ハイスタ知ってる欧米人の方がいないんで。あとAIR JAM世代にせよ、全く名前がないというのはびっくりというか。ブラフマンくらいあるのかなと思っていたら。

これはアレですね。欧米で、専門メディア以外がラウドロックを批評対象から外している現象が、日本にも無意識のうちに伝わってる感じがするというか。確かに、アメリカの業界がニュー・メタルとポップ・エモのブームの時に、すごくパッケージ化した音の作り方して画一化を進めすぎた反動がこういう結果に繋がってるとは思うんですけど、比較的シーンが元気な日本までもがこの感じというのはね。その中でワンオクというのは「フォーマットの中では上出来」という見方を僕はしてたんですけど、やっぱ、そのフォーマット感こそが敬遠されてるのかなと。

④女性アーティストの弱さ

あと、女性アーティストも、枠広げても弱いですね。一人気を吐くのは林檎で、宇多田がそれに続く、この20年と変わらない感じですね。ユーミンが荒井由実時代のみで、松任谷作品は入るには入ったものの、ポイントにして30点にも満たないくらいの票数しか集められてないとのことです。90sにCHARAとかUA、Cocco、Bonnie Pink、一部の方たちが騒いでる(それで近作聞いてみたら随分良くなってますね)aikoとかもあるだろうと思うんですけどね。悲しいかな、アピール弱いんだな、と思いますね。それ以前の矢野顕子、大貫妙子あたりも振り返られていいアーティストなのになあ。

ただ、やくしまるえつこ、チャットモンチーの名があって、最近の中村佳穂やカネコアヤノが入っていたところをみると希望はあるかと思うんですが、一般の女性アーティストへの見方が上がってくれることを願いたいですね。

⑤70年代以前のアーティスト

あと、予想はしていたとはいえ、70sより前のアーティストも弱いですね。一般に目とか耳にする機会がないから、はっぴいえんど周辺、ヤマタツ、あと陽水、村八分、四人囃子くらいカルト化したアーティストしか入ってない。

僕としては、ジャックスばかりに特化されがちなGS、再評価が十分とは言えないニュー・ロック、それから70sのリアルタイムで強かったバンドたち、チューリップ、キャロル、オフコースあたりがもう少し再評価の機会が与えられるべきではないのかなと思いますね。フォーク/ニュー・ミュージックでも、僕自身はあんまり興味ないんですけど、「何が代表作なのか」くらいは知られてもいいと思うし。さすがにこういうものは機会がないと、若い人には届かないとは思うので、「語る人」、そのものが必要なのかなと思います。

⑥意外にも、実力を発揮した、「あのいぶし銀バンド」とは?

あと、今回の投票でビッグ・サプライズがありました

最多でアルバム、全部で16枚を入れたアーティストがこの人たちだった、とのことです。

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グレイプバイン!

僕の印象だと、彼らって、「将来、すごくビッグになるんだろうな」と思わせて、商業的には伸び悩んだまま、でも消えもせず、そのままずっと踏みとどまっている印象だったんですけど、「評判の高さを保持したまま、アピールし続けていたんだな」と思い、「初期だけじゃなく、ちゃんと評価しないとな」と思った次第です。これまで、僕の中で「過小評価」のイメージが強かったの、ピロウズと斉藤和義だったんですけど、ここにいたんだなと思ってですね。これは目からウロコでした。

⑦好きなものを主張し続ける大事さ

あと、今回、ここまでランク広げて見た場合に、「普段から、評価されるべきアーティスト、作品を語り継いでいくことは大切なことなんだな」と思いましたね。

そう思ったのは、このランキングにブラッドサースティ・ブッチャーズ、カーネーション、七尾旅人と、僕も個人的にかなり好きだったタイプのアーティストの名前があって。こういうの見てると、「ああ、誰かが何かの機会に名前をあげて評価するってことが、こういうところに効くんだな」と思いましたね。

あと、個人的なことでアレですけど、最近、僕の言動でBUCK-TICKやチューリップのファンの方からすごく感謝されたんですけど、潜在的に熱心なファン層があるところもあるので、そういう声がもっと公にあぶり出されるといいなとも思いましたね。

それから、あとはサブスクの活性化かな。あれがあると、多くの人が振り返る機会がやっぱり増えるので。こないだ久保田利伸が解禁されましたけど、早速リアクション、いいんですよね。僕も「昭和の名盤」で選ぶか迷ったアーティストなんですけど、この解禁なんてもっと早くあれば、今回のチャートの反映されたんじゃないか、とも思いますからね。

・・・と言った感じでしょうかね。いずれにせよ、さらに興味深い結果だと思いました。
















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