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「ストリーム時代に世界で本当に聴かれているアルバム」 20世紀編(前)

どうも。

このブログは、Spotifyのストリームの記録を使って特集することがよくあるんですけど、今回のはその中でも、自分でいうのもなんですけど、最大の企画いきます!

題して

ストリーム時代に本当に聴かれているアルバムとは何か?


これを数回に分けて特集したいと思います。

では、まず最初になにをもって「聴かれているアルバム」として定義するか。ここがまず難しいところだと思うんですけど、これを僕はこう定義しました。

①アルバム収録曲中、8曲以上が1000万ストリームを超えた作品

すばり、これが条件です。中には収録曲が8曲に満たない作品もあると思います。そういうアルバムは

②収録曲が8曲以下のアルバムは、80%以上で1000万ストリームを超えている作品。

こう定義します。つまっり「8曲中7曲」、「7曲中6曲」ならオッケー、ということになります。

で、これを最初は「20世紀の作品でどういうものがこの基準を満たしているか」。これに迫ってみたいと思います。これを今日は、80年代の後半までをやってみたいと思います。

これ、簡単そうに見えるんですが、実際にはそうはいきません。特にストリーム時代の10根に錠前の20世紀の作品はすべて「回想」の作品になるわけです。今の人みたいに全ての曲を夢中になって聞く、なんてことはしません。どんなヒット作、名作でも有名な曲のストリームだけに陥ってしまうんです

90年代までのアルバムって、シングルどんなに頑張って切ったところで7枚が精一杯。で、その7曲がヒットてたとするでしょ?それでも8曲には届きません。それくらい、この「8曲1000万ストリーム」は難しいんです。本当に思った以上に数少ないです。

あと、こういう企画組むの、世間でも僕くらいしかいないだろうし(笑)、それもそんなに頻繁にやるわけでもないから、今回は特別におまけで、③1000万ストリームが7曲でも、あと100万ストリーム以内で8曲目が生まれるものも良しとしました!ただし、そういう特例を認めた*マークを、そのアルバムの横につけることとします。

今回、僕は思いつく限りの該当作をリサーチしてみたんですけど、たどり着いたのが、このあたりの作品となります。なお、ベスト盤、ライブ盤は今回対象外です。編年体でいきます。

では、最初の該当作を見てみましょう。これです!

59
Kind Of Blue/Miles Davis

はい。記念すべき第1号アルバムはマイルス・デイヴィスの「Kind Of Blue」です。アルバムというものが世に出始めるのが50年代。まだ、市場の音楽ソフトのセールスの主流では全くないし、まだ曲の寄せ集めのレベルのものが大半の時代に、これはジャズを通して、来るべき時代に「アルバムとしての完成された作品」を図らずも世に示した作品だったんだと思いますね。

 この時代、たとえばフランク・シナトラも強かったし、ロックンロールでエルヴィスも出てましたけど、彼らとて、まだオリジナル・アルバムでランクインするほどには至らなかった。シナトラはその完成系目指してはいましたけどね。

では、つづいてみていきましょう。

 
63
A Christmas Gift For You From Phil Spector/Various Artists
Please Please Me/Beatles
With The Beatles/Beatles

 
 
64
A Hard Days Night/Beatles

 
 
65
Sound Of Music/Soundtrack
Help/Beatles
Rubber Soul/Beatles
A Charlie Brown Christmas/Vince Guaraldi Trio


このあたりはビートルズ完全ひとりがちですね。まだこの時代くらいまでは彼らとて意図してアルバムの高い完成度を目指していたわけではなく、ビートルズというブランドで長くアルバムを聴かせる結果論的な感じだとは思うんですけどね。でも、この時期の彼らのアルバムも大好きですけどね。

あと、フィル・スペクターと、ヴィンス・グアラルディ・トリオの「チャーリー・ブラウン・クリスマス」は、ストリーム時代のクリスマス定番ものがリバイバル・ヒットするようになったことに伴う産物ですね。これもしっかり文化に根ざしたものだと思います。
 
 66
Pet Sounds/Beach Boys
Revolver/Beatles

もう、このあたりになると「アルバム時代の到来」のイメージですよねえ。ペット・サウンズとリボルバー、揃い踏み。1曲のみでなく、アルバム・トータルとしての芸術性が尊ばれ始めた頃です。

 ちなみにボブ・ディランなんですが、これに近い時期だと「Freewheelin Bob Dylan」と「Blonde On Blonde」が1000万ストリームの曲が5、6曲ずつだったかな。上の2つほどは「アルバムとしての聖典化」はまだなのかなという印象でした。



 
67
I Never Loved A Man The Way I Love You/Aretha Franklin
Sgt Peppers Lonely Hearts Club Band/The Beatles
Magical Mystery Tour/The Beatles
Doors/Doors
Are You Experienced/Jimi Hendrix
VelvetUnderground&Nico/The Velvet Underground

この年はさすがに名盤多いですね。サージェント・ペパーズをはじめとした、アルバム文化が花開いた年ですけど、

ドアーズ、ジミヘンという、わかりやすいものと並んで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのこれが入るあたりが現在ですね。もはやカルト名盤ではありません。みんなが聴いてる常識です。

あと、女性として第1号になったのがアレサ・フランクリン。ソウル・ミュージックでも第1号です。60年代はソウルの黄金時代ですが、まだアルバムの本格時代でないので、他、ほとんど入ってないんですよね。まだシングルになった曲しかストリームが高くない時代に、再評価でここまで聞かせているのは立派です。
 
68
The Beatles/The Beatles
Led Zeppelin/Led Zeppelin
 
69
Abbey Road/The Beatles
II/Led Zeppelin

このあたりはもう、ビートルズとツェッペリンが完全2強かつ世代交代の時代なんですね。


70
Let it Be/The Beatles
Paranoid/Black Sabbath
Tea For the Tillerman/Cat Stevens
Cosmos Factory/Creedence Clearwater Revival
All Things Must Pass/George Harrison
III/Led Zeppelin
Morrison Hotel/Doors
Moondance/Van Morrison
Bridge Over Troubled Water/Simon & Garfunkle*

 
71
Master Of Reality/Black Sabbath
Tapestry/Carole King
IV/Led Zeppelin
Meddle/Pink Floyd
LA Woman/Doors
Sticky Fingers/R
olling Stones*
 
72
Ziggy Stardust/David Bowie
Pink Moon/Nick Drake*
Exile On Main St/Rolling Stones*
 
ここで一気に並びが多様になりますね。

ビートルズ、サイモンとガーファンクルがラストを占め、ツェッペリンとかサバス(パープルじゃないのがミソ!)みたいなハードロックがとってかわってますね。ビートルズはソロで入ったのがジョージの「All Things Must Pass」だけなのがおもしろいとこです。

あと、おもしろいことに、CCRとドアーズは、ここに入ったアルバム以外にもどのアルバムでも強かったんですよね。ドアーズはファーストは別格ですけど、60sのサイケ期よりジム・モリソン晩年のブルーズ・ロック期の方が今は人気高いですね。

あと、シンガーソングライターで強いのがキャロル・キングの「つづれおり」を除いたらキャット・スティーヴンスの「Tea For The Tillerman」、それからニック・ドレイクの「Pink Moon」だったの、驚きでしたね!もう彼もカルト・アーティストではありません。

ストーンズが案外強くなかったんですよね。8曲、1000万ストリームのアルバムはなくて、2枚で7曲のソレ。「スティッキー・フィンガーズ」、「メインストリートのならずもの」があと1曲、100万ストリームあれば8曲でした。

あと、ボウイもジギー・スターダスト1枚のみ。再評価はすごくある人なので増えていく気はしてますが。


73
Houses Of The Holly/Led Zeppelin
Dark Side Of The Moon/Pink Floyd
 
75
Physical Graffiti/Led Zeppelin
Wish You Were Here/Pink Floyd
A Night At The Opera/Queen

この企画でビートルズについでめちゃくちゃ強かったのがツェッペリンとピンク・フロイドでしたね。ツェッペリンはファーストからフィジカル・グラフィティ、フロイドは「おせっかい」から「ウォール」まで、ほぼ全曲、1000万ストリーム超えてましたからね。

あと、この2バンドほどじゃないですけど、クイーンもかなり強い。今回、基準に達したのは2枚ですけど、他のアルバムも軒並み3〜5曲は1000万ストリーム超えてましたからね。

76
Arrival/ABBA
Boston/Boston
Hotel California/Eagles
Animals/Pink Floyd
Songs In The Key Of Life/Stevie Wonder

 
 
77
Saturday Night Fever/Soundtrack
Exodus/Bob Marley & The Wailers
Rumours/Fleetwood Mac
Bat Out Of Hell/Meat Loaf
News Of The World/Queen
Aja/Steely Dan

 
 
78
Grease/Soundtrack
Kaya/Bob Marley & The Wailers
Dire Straits/Dire Straits
Van Halen /Van Halen

ここはアメリカの大消費時代ですね。とにかく華やかです。

こないだも特集しましたフリートウッド・マックの「噂」とイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」入ってますけど、これ以外はマック圧勝でしたね。7曲1000万ストリームだったアルバム、マック、あと3枚ありましたからね。イーグルスだと、ほかは多くて5曲ぐらいでしたから。

あと、時代ですね。「サタディ・ナイト・フィーヴァー」と「グリース」と、ジョン・トラボルタ主演映画のサントラが2つ入ってます。

あと、60s同様、ソウル・ミュージック黄金期のはずなのに、少ないんですよね。スティーヴィー・ワンダーも「キー・オブ・ライフ」でやっとランクインだし、他はもっと低いです。マーヴィン・ゲイの「Whats Going On」でも5曲くらいの1000万ストリームでしたから。

シティ・ポップではもう圧倒的にスティーリー・ダンが強かったですね。これが7曲中6曲で1000万ストリームでしたけど、他のアルバムも軒並み高かったですよ。ファーストとか、「幻想の摩天楼」とか。あと「大人のロック」ならダイア・ストレイツもなかなか強いようです。

あと、ハードロックやプログレが徐々にアメリカに動いてきた時代でもあるんですけど、ボストンやミートローフはその転換期にあたるアルバムだと思いますね。かなり作品そのものがクラシック(名盤)扱いですね。これにヴァン・ヘイレンのファースト加わることで、さらにそれに拍車がかかる感じですね。

そして、ABBAにボブ・マーリー。共に大定番ベスト盤があるこの2つも本当に強い。両方とも3枚のアルバムがここに入ってきてます。ボブ・マーリー、一般の名盤選では初期が強いんですけど、ストリームでは圧倒的に工期が強いんですよね。
 
79
Voulez Vouz/ABBA
Highway To Hell/AC/DC
London Calling/The Clash
Off The Wall/Michael Jackson
The Wall/Pink Floyd
Breakfast In America/Supertramp
Unknown Pleasures/Joy Division

 
80
Super Trouper/ABBA
Back In Black/AC/DC
Uprising/Bob Marley & The Wailers
Making Movies/Dire Straits
 
82
Love Over Gold/Dire Straits
The Number Of the Beast/Iron Maiden
Thriller/Michael Jackson

一つ前のブロックに近いんですが、新しい波が出てきてますね。

このあたりはAC/DC強いですね。これと「Highway To Hell」が入ってますけど、そのアルバムもストリーム強いです。ツェッペリン、フロイド、クイーンと「4強」と言っていい状態です。

あと、NWOBHMの台頭でメタル強くなるんですけど、アイアン・メイデンの「Number Of The Beast」もメタル・ファンの聖典化してますね。

あと、この時代ならではというか、旧プログレ世代とシティ・ポップの合いの子みたいなスーパートランプの「ブレックファスト・イン・アメリカ」も面白いロングセラーですね。

あと、パンク/ニュー・ウェイヴがこのあたりから出てくるんですけど、そこでクラッシュとジョイ・ディヴィジョン出てきましたね。

この時期、名曲、名盤多いんですけど、「多くの人が共通で聞くアルバム」にはなかなかなってないというか。どうしても、シングルのイメージに偏った聞き方になるんですよね。ポリスとかブロンディがその傾向にありましたね。トーキング・ヘッズやラモーンズも、曲のストリームそのものは大きいんですけど、そこまで大きくもないですね。

そして忘れちゃいけないマイケル・ジャクソン。このアルバムから4作連続でこのリストに入り続けることになります。やっぱ、黒人アーティストのアルバムの意識を牽引した存在でしたね。

 
83
Kill Em All/Metallica
The Smiths/The Smiths

 
 
84
Born In The USA/Bruce Springsteen
Purple Rain/Prince & The Revolution
Ride The Lightning/Metallica
Hatful Of Hollow/The Smiths
 
 
85
Brothers In Arms/Dire Straits

 
 
86
Top Gun/Soundtrack
Master Of Puppets/Metallica
Graceland/Paul Simon
Queen Is Dead/The Smiths

はい。ここはもう

笑っちゃいたくなるほど、メタリカとザ・スミスしかありません!80sってもっとヒットしたアルバム、たくさんあったような気がするんですけど、どれもですね、シングル・ヒットした曲どまりで、基準となる「8曲以上の高いストリーム」が稼げないんですよ。それがたとえニュー・ウェイヴであろうが、メタルであろうが、シンディ・ローパーとかマドンナであろうが。


1984年のチャートのトップを争いあった、これくらいではないですかね。プリンスもスプリングスティーンも、入ってるの、このアルバムだけです。これは僕にとっても意外な結果でしたけどね。

あと、グラミー賞でも圧勝したポール・サイモンと、トップガンのサントラくらいですね。

 
87
Liscenced To Ill/Beastie Boys
Appetite For Destruction/Guns N Roses
Bad/Michael Jackson
The World Wont Listen/The Smiths
The Joshua Tree/U2
Tango In The Night/Fleetwood Mac*
Gipsy Kings/Gipsy Kings

ベスト盤、基本的に 無しですが、スミスの場合、シングルの補正的な意味なので、2枚、ありにしてます。

ここでようやくU2とかガンズ。いかにも、時代らしいでしょ?

ここで特筆すべきは

フリートウッド・マック、強いのこれだけではありません。黄金の五人メンバーが揃った「Tango In The Night」もそうです。

そして今日のラストとして

ビースティ・ボーイズのこのファーストですね。ちょうど好まれるサウンドの入れ替わりの時期がこれかな。

では、明日以降、後半に続きます。


 
 

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