アメリカで記録、世界で旋風!レゲトン王子、バッドバニーの、想像以上に長く奥深い入門編
どうも。
いやあ、すごいことになってます、このアルバム。
その名も「Un Verano Sin Ti」。日本語に直すと「君のいない夏」。これが今年のビルボードの現時点でのほぼ最高ポイントでのセールスで、ここからの4曲もの曲が、全てスペイン語楽曲であるにもかかわらず、ビルボードのシングルのトップ10を独占したんですよ!
その偉業を成し遂げた人こそ
このバッドバニーです。プエルトリコ出身の、今現在のレゲトン界の王子様です。現在28歳。セクシーさでも売ってるので「王子」の呼び方がいいかもしれませんね。
ただ、日本の多くのリスナーには、まだ彼はあまり馴染んでいないんじゃないかなと思います。僕も名前を3年前、存在を意識するようになったのは2020年くらいからのこと。その時も彼の経歴を追うようなことはしてなくて、「最近売れるようになって、評判いいよなあ」くらいの感じでした。
彼のアルバム、前も少しは聴いてて「こんなもんなんだあ」くらいの理解だったんですけど、今回のニューアルバムでグッと来たことから、「これは本気でキャリア追う必要があるな」と思って、ウィキペディアのディスコグラフィで過去の実績調べたんですよ。
そしたら、
アルバム・デビューのすでに2年前から人気で、遡れば2016年からラテン界隈では相当熱かった!
ことが判明しました。
アルバムのデビューそのものは2018年なのに、もう2016年くらいから膨大な数のヒットがあるんですよね。それ全部追ってみたんだけど、もう曲が多くて整理するのが大変!理解するのに時間がかかりました。
これ、今からもしバッドバニー入門しようとしたら、案外大変です。そう思って、わかりやすく整理する入門編を作る必要があるんじゃないか。今回、そう思い立った次第です。
まず2016年、シングル「Diles」「Soy Peor」の2曲が中南米圏で大ヒットします。世はまさにトラップの大ブーム。すごく当時のフューチャーを思わせるトラップのビートとフロウをレゲトンに取り入れたスタイルですよね。
また、バッドバニーの風貌もこの時は、サングラスにデザイン入れたフェードの坊主に柄物のシャツと、かなりヤンキー臭さ全開でした。
https://www.youtube.com/watch?v=T7VewKI44rQ
2017年にアメリカのラテン系女性シンガー、ベッキーGの「Mayores」、ベネズエラのレゲトン・シンガー、ナチョの「Bailame」にフィーチャリング・ラッパーで参加し、これで立て続けにスペインのチャートで1位になり、バッドバニーの存在がヨーロッパにも広がり始めます。
そして自分の名前がメインに来た「Sensualidad」でもスペインのチャートで1位。この時点でもう中南米、スペインとかなり独り立ちしてヒットが出せるようになり
https://www.youtube.com/watch?v=gpIBmED4oss
このあたりの曲も2018年にかけてヒットします。この時点でまだアルバム出してません。
この時のイメージは本当に恐そうなヤンキーそのものですけど、ただ、この2曲目の「Amorfoda」という失恋ソングから、その後に変わりそうな予感は漂わせてきます。
そして、そのラテン界での評判に注目したカーディBにフックアップされ、この「I Like It」でアメリカのメインストリームでも注目されるようになります。
そして2018年の末に
この「X 100Pre」というアルバムでようやくアルバム・デビューします。
ここでいきなりドレイクと共演するなど、かなりアメリカ市場向けにこしらえた感じのデビューとなりました。アルバムもビルボードのアルバム・チャートで11位まで上がりました。
このまま、アメリカンなスタイルのレゲトンで売っていくのか・・・と思いきや、バッドバニーは2019年から音楽性を徐々に変えてきます。
この年にバッドバニーはコロンビアの超人気レゲトンシンガーのJバルヴィンとの共演アルバム「Oasis」を出すんですが、この辺りから脱トラップが目立ってきます。
そして2020年
2月にアルバム「YHLQMDLG」を発表します。これが、これまでのアメリカ志向から一転。トラップでは完全になくなり、フィーチャリング・ゲストもラテン・ミュージック界で知られる人たちばかりになりました。
このアルバムからはこのあたりの曲がヒットしましたが、特に後者の「Ignorante」は、これまでの半生を省みた内省的な、かなりエモい感じになってまして、より表現が内向的になっていく様子が伺えます。
このアルバムは全米で2位まで上がったんですが、その年の年間ベストで上位にあげるメディアもかなり多かったものです。僕も聞いて印象は好感触ではあったんですが、この前の過程から知らなかったので、方向性的にどう良くなったかがうまく把握できてなかったですね。
2020年は、先ほどのアルバムに加え、もう1枚、未発表曲集を出した後、年末にさらにもう1枚「El Ultimo Tour Del Mundo」を発表します。
ここからは、初の本格的な全米トップ10シングルになった「Dakiti、そして、今や全世界の注目、スペインが誇るロザリアと共演した「La Noche De Anoche」などが入っていますけど、ルックスが別人のように変わったでしょ?打ち出したいイメージが過去とは全く違うものとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=doLMt10ytHY
そして、その変わったイメージのまま、2021年はシングル攻勢。この「Yonaguni」のような全米トップ10シングルも生まれました。
この「Yonaguni」をはじめとした曲が次のアルバムに入るのかなと思われたんですが、
もう1回このジャケ写出しますが、この「Un Verano Sin Ti」は24曲のほとんどが新曲となりました。
この「Moscow Mule」がすでに全米4位まで上がる最大のヒットを記録したばかりです。ここでもシンセ主体にちょっとオルタナティヴなイメージが生まれてはいるんですけど、
アルバムの参加陣が今回、かなりオルタナティヴです!
まず、レゲトン界で今、もっともオルタナティヴな存在の一人として注目されているラウ・アレハンドロ、アメリカのラテン・インディ・ロックバンドのザ・マリアス、本国コロンビアではエレクトロの大物のボンバ・エステレオ、そしてプエルトリコのシンセポップ・デュオのブスカブージャ。最初の方のMVと比べて、共演してる人のイメージ、ガラッと違って見えません?実際、かなり、こっちよりのサウンドにシフトしてきてます。
ただ、すごいなと思うのは、こういう風にサウンドもイメージも変えてきてるのに、それがSpotifyのストリーミング数がマックスになるのと同時進行してることです。どんどんマニアックになってるのに人気が付いてきている。こういうことってなかなか起きないものですよ。
「ポップで熟れ過ぎれる」何て聴くと、例えばインディ好きな人なんかは無意識のうちに無視しがちだったりするんですけど、バッドバニーはその限りではありません。すごいことを成し遂げている最中です。見逃さずに興味を持って欲しいし、この長い入門編がお役に立てれば嬉しいです。
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