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洋楽ライブ文化の危機を見逃すな! プロモーター支援怠る政府の”愚策”

どうも。

今日、ここで話すのは、今週、SNSで結構話題になったことなのでご存知の方も少なくないとは思うのですが、このブログをお読みの方々で、洋楽のライブ、フェスに少しでもお世話になった意識のあるすべての方に知っていただきたいので、あえてここで書かせていただきます。

それはこういうことです。

はい。この記事なんですけどね。これを知ったのは2月23日。これは「サマーソニック」を主催するクリエイティブマン・プロダクションの清水社長へのインタビューなんですが、そこで清水社長が

洋楽プロモーターが、このコロナ禍の中、何の支援も受けていない


という、衝撃的な発言をしたんですね。

日本だと、国内アーティストの公演に関しては復活してるんですよね。なのに洋楽は依然としてできない状態。その理由もまたすごく残念なんですけどね。

ひとつが「海外から来日の場合、2週間隔離の義務付けがある」。これ、つらいですよね。その2週間のあいだ、誰がその間の宿泊費や経費を払うのか。その問題があるから、来日させたくでもできませんよね。しかも、洋楽アーティストが日本だけに特化してライブしに行くこともそんなにないわけで。多くの場合は他の国もまわるツアー形式じゃないですか。こういうとこでの融通に関しても日本政府、何も考えてなさそうですね。


ふたつめが「コロナ禍だと興行保健が下りない」というもの。これも、どういうことなんでしょうね。コロナなんて、「非常事態」の最大の典型なわけじゃないですか。こういうときにこそ保険をもっとも適用すべき時なのに、なぜそれができないのか。ありえないですよね。いかに教科書通りというか、額面通りにしか法律が決められていないかがわかりますよね。この融通の効かなさは法律というより、社会的風度に起因してるような気がします。

しかし、三つ目。これにこそ僕は本当に憤慨しています。これ読んだ時、「うそだろ、おい・・・」と、もう他人事ではいられない憤りが止まらなくなりました。それは

「日本のものが50%以上を占めないエンタメ事業には支援金を出さない」


はあ???

露骨なる、海外カルチャー差別です。

これはですね、「J−LODlive(コンテンツグローバル需要創出促進事業補助金)」という、音楽や演劇のネット配信に関しての支援金で、コロナ禍でのエンタメ系の支援のかなり大きなもののようなのですが、これがとんでもない悪法でですね。上に書いたように、事業内容が半分以上日本のものでないと、補助対象になりません。

しかもこれ、理由がひどいんですよ。それは

「事業母体になってるのがクール・ジャパンなので、その目的に沿うものでないと」


・・・・・・。

あの〜、まずですね。仮に規定に満たなくてもですね、クリエイティヴマンがやってるサマーソニックって日本でもっとも集客の多いフェスティバルなんですよ。その実績があっても、これはダメってことなのでしょうか。

あと、クリマンだけじゃなく、フジロックやってるスマッシュ、老舗のウドー音楽事務所、本社がアメリカにあるライブ・ネーションこういう企業が存在するから、日本に世界でトップ人気のアーティストのライブ興行が日本でできているわけです。

もっというなら、1960年代から、こういう会社が洋楽アーティストを呼ぶ努力をして、大きなフェスまでやる歴史を築いているからこそ、航路上非常にめんどくさい旅程の中、アーティストが「大事なマーケット」ととらえて日本公演だってやってもらってるんですよ。

そして、こういうアーティストたちが日本にやってきて、コンサートを通じて強い影響を与えるから、日本から洋楽経由でミュージシャンやバンドだって多く生まれて、国内シーンだって刺激されてきたわけです。これ、仮にこうした歴史が日本になかったと仮定すると、少なくともバンド文化は今日のようなものではなく、市場だってもっと小さかったはずですよ。洋楽アーティスト招聘ビジネスがなかったら、日本ではやる音楽、もっと演歌とかアイドルみたいな超芸能界のものばっかりになっていたかもしれません。

 それにサマーソニックであれフジロックであれ、日本のアーティストだってたくさん発信してるじゃないですか。それは、メイン・ステージでかなりの集客集めるアーティストもしかりだし、まだかけだしの、デビューもしてないような若いバンドに至るまで。そういうバンドたちにしてみたら、「普段やってるライブハウスや、邦楽だけのフェスでは得られないような、洋楽にこだわるうるさい客層の中でパフォーマンスして、どこまで通用するかためしたい」という、志の高い、ひとつの大きな目標にまでなってるわけです。これのどこが「日本の文化に寄与していない」ことになるわけですか?

あと、このインタビューで清水さんも指摘していることなんですが、「アジアの音楽での需要は今Kポップが圧倒的」で日本のコンテンツでは太刀打ちできない、というんですね。そんな中で、「日本が音楽コンテンツでリードしているのはコンサート」なんですって。そりゃ、そうですよ。ライブ事業が日本ほどできているアジアの国なんてないわけで。あと、海外むけに発信するわけですから、海外の事情がわかり、パイプもある方が有利でもあるわけなのにね。それは、欧米のアーティストの日本公演でもいいだろうし、海外で人気のある日本のアーティストでもいいし。そうした国際向けの事業に関しても、逆に有利なんじゃないかとさえ思えるんですけどね。


 そう考えると、そのクール・ジャパンのプロジェクトそのもののモットーなるものがメチャクチャなの、わかりますよね?ただ単に「日本のもの紹介してりゃ、それでいいだろ?」みたいな感じで。その日本の文化がどうやって生まれたものなのかとか、日本のコンテンツを外に出すためにはどういう人材の頭脳が必要なのかとか、そういうことがさっぱりわかってないというか。

 だいたい、「クール・ジャパン」なんて10年くらいあるような気がするんですけど、その間、事業として何かやったんですか?オスカーの作品賞を受賞したとか、全米ナンバーワンのシングルとアルバム出したとか、アジア全域やさらには欧米市場にむけて自国のテレビで放映されているドラマをネットフリックスを介して国際発信するとか。実際にそれをなしとげたアジアの国があるのであえて言ってますけど(笑)、あの人たちは「クール・コリア」とかってキャンペーンでもやってるわけでしょうか?あっちは国際的な民間企業の支援が大きいとは聞きますけどね。そういう規模のこと、クール・ジャパンなんてやれてるんでしょうか?この洋楽プロモーター相手の判断を見るに、巨額の税金の無駄遣いにしか見えないんですけどね

この記事は、掲載されるや、いろんなところで波紋を呼びまして

僕もこんな風にツイートして知ってもらったんですけどね(笑)。こういう人が何百人もいたんじゃないかな。

そうしたらですね

このように、衆議院議員の寺田学さんという方がですね、この問題にやはりいち音楽ファンとして、国会の予算委員会の席でこの問題をとりあげて意見しました。これは本当に素晴らしいことです!

 うれしいですね。これまでだったら、こういう問題が起こった時、「でも、こういうこと、国会で誰が代弁してくれるの?」という切実な問題があったわけじゃないですか。でも、今や、こうしてフェス主催者や観客の気持ちを代弁してくれる存在が議員さんに存在する世の中にまでなってます。

この記事を読む限り、寺田さんはクラブにもすごく理解のある方で、クラブが持たれがちな社会的な偏見のために立ち上がっていたりもしてます。

  生年月日をみたところ、1976年生まれなので僕の7学年下です。もう今や40代だと大学時代にフジロックがはじまった世代ですからね。年齢的にはくるりの岸田くんと同学年ですからね。「98年の世代」のジェネレーションは国会で意見できるくらいの年齢になっているというわけです。

寺田さんはツイッターの投稿でも「レイジを見にコーチェラに行きたかった」とも書いてるんですけど、まさにリアルタイム、高校、大学時代にレイジ流行ったジェネレーションですね。そういう方にぜひ頑張ってほしいです。

で、このツイートにも書かれていますが、来週協議が行われるようです。

いやあ、本当にいいことじゃないですか。これまでだったら不満があったら、仲間内で愚痴るだけで悶々とするだけになりがちだったところが、具体的に国会で協議してくれる人がいるところまで世が進んだわけですから。

なので、僕らがこれからできることは、SNSでできるだけ問題を拡散して怒りや不満の声をあげて、その雰囲気をこのように代弁してくださる方に雰囲気として伝えることです。そして、こうやって書くことによって、できるだけ多くの人に問題意識を伝えることです。

 本当にこういうことやっていかないと、日本、文化鎖国で終わってしまいますよ。これまでも、日本政府の文化観はもちろんのこと、大手マスコミの海外カルチャーの極度の無関心と、放送業界の極端に内向きの状況でいつ文化鎖国になってもおかしくなかったですからね。そこを、たとえば洋楽ロック関係の活字メディアに従事する方々、輸入CD店関係者の方々、そして洋楽ライブの招聘の方々などの熱意あるダイハードな努力の甲斐あって、これまで日本で洋楽カルチャー死なずに済んできたんです。

その中のひとつの大きなものが殺されかかってるんです。洋楽ファンは危機意識持たないと本当にだめです。「あってあたりまえ」みたいな姿勢ではなくなったときに後悔することになります。そうならない前に、精一杯、抵抗すべきときには抵抗するまでです。

この問題は、また動きのあるときに引き続き伝えていこうと思います。








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