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「昭和の日本のアルバム50枚」の選出とその根拠

どうも。

では、お約束どおり、この企画、行きましょう。

昭和の日本のアルバム50枚

これなんですけどね。

タイトル通り、ここでは日本のロック創世記から昭和の終わり、1988年までの約20数年間から50枚を選ぶことにしました。

50枚を選ぶにあたっての僕のポリシーを言っておきます。大前提となるのは

ただ単に「かっこいい」「自分が好きだから」ではなく、選ぶべき客観的理由があること。

なので、これ、「沢田太陽のフェイバリットの50枚」とも微妙に違うんです。僕がいくら好きでも、「これは入れるべき理由がない」「良いけどアピールが弱い」と思ったら入れてません。

では、「客観的理由」とは何なのか。それについて語りたいと思います。

A.後世への影響が非常によく語られる

B.サウンドの時代の先取り、もしくはマニアックな音楽性で定評がある

C.大きなムーヴメントの中心、もしくは超大型フェスのヘッドライナー

D.日本以外の国で評価が高い

E.ミュージシャン仲間に尊敬されキャリアが長い

この、A〜Eのどれかに該当するものを選んでます。

それでなおかつ

F.そのアルバム、作品を人に推薦する行為が自分にとっての嘘にならない

はい。ここが大事です(笑)。必ずしも「大好き」でなくてもいいんですけど、でも、「自分で良いと思えないもの」を推薦リストに入れることはできません。基本はABCDE重視ですが、Fで引っかかって篩に落とされたものも、まあ、本音を言ってしまえばいくつかあります。

では、行きましょう。「昭和の日本のアルバム」、僕が2020年の今、選んだらこうなりました!

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いやあ、こう並ぶと壮観ですね。

では、上の左上隅から右下隅に向かって、順に50枚、アルバム名を述べていきましょう。

ザ・スパイダース・アルバム No.1/ザ・スパイダース(66)
ザ・ゴールデン・カップス アルバム/ザ・ゴールデン・カップス(68)
サイケデリック・サウンド・イン・ジャパン/ザ・モップス(68)
紀元弐千年/フォーク・クルセダース(68)
ジャックスの世界/ザ・ジャックス(68)
ヒューマン・ルネッサンス/ザ・タイガース(68)
見る前に跳べ/岡林信康(70)
悪魔と11人の子供たち/ブルース・クリエーション(70)
SATORI/フラワー・トラベリン・バンド(71)
満足できるかな/遠藤賢司(71)
風街ろまん/はっぴいえんど(71)
頭脳警察 1(ファースト)/頭脳警察(72)
元気です。/吉田拓郎(73)
HOSONO HOUSE/細野晴臣(73)
ライブ/村八分(73)
ファンキー・モンキー・ベイビー/キャロル(73)
氷の世界/井上陽水(73)
一触即発/四人囃子(74)
TAKE OFF 離陸/チューリップ(74)
MISSLIM/荒井由実(74)
黒船/サディスティック・ミカ・バンド(74)
カルメン・マキ&OZ/カルメン・マキ&OZ(75)
SONGS/シュガー・ベイブ(75)
ほうろう/小坂忠(75)
Flapper/吉田美奈子(76)
Char/Char(76)
SUNSHOWER/大貫妙子(77)
Live77/裸のラリーズ
電撃的東京/近田春夫&ハルヲフォン(78)
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー/YMO(79)
RHAPSODY/RCサクセション(80)
ごはんができたよ/矢野顕子(80)
カメラ=万年筆/ムーンライダーズ(80)
We Are/オフコース(80)
A Long Vacation/大滝詠一(81)
S/T/R/I/P/P/E/R/沢田研二(81)
For You/山下達郎(82)
南蛮渡来/暗黒大陸じゃがたら(82)
Pineapple/松田聖子(82)
STOP JAP/ザ・スターリン(82)
DIS/ルースターズ(83)
十七歳の地図/尾崎豊(83)
玉姫様/戸川純(84)
Disillusion〜撃剣霊化〜/ラウドネス(84)
安全地帯Ⅱ/安全地帯(84)
VISITORS/佐野元春(84)
人気者で行こう/サザンオールスターズ(85)
BOφWY/BOφWY(85)
REBECCA Ⅳ 〜Maybe Tomorrow〜/レベッカ(85)
THE BLUE HEARTS/ザ・ブルーハーツ(87)

素晴らしいアルバム、ばかりだと思います。

では、選んだ根拠を説明していきましょう。本当は50枚全部語りたいんだけど、そんなことしてたらいつまでたっても終わらないので、かいつまんで話しますね。

まず、「アーティスト一名義につき一作」です。でも、たとえばソロ作や、ふたつめのバンドで共に傑作がある場合は複数エントリーはアリです。

でも、その場合、この方が最多になるように決めました。

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はい。細野晴臣氏ですね。この方は日本音楽界が生んだ間違いなく最高の功労者だと僕は日頃から思ってますので3作は必要です。細野さん、A〜E,全部満たしてるのがすごいよなあ。

しかしですね、同時に

「日本のロックは、はっぴいえんどが作った」という説には断固反対論者でもあります!

ですので、これも自分で課したルールなんですが

はっぴいえんどの前に10枚選ぶ!

連載でも、はっぴいえんどが出てくるのは第5章。その前、4章分に重要なアーティストがたくさんいるわけです。見逃すわけには行きません。

そこで、最初に選んだ盤というのが

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スパイダース、1966年のこのアルバムですね。ロカビリー・キングだった平尾昌晃の「マーちゃん 大いに歌う」とかエレキブームのときの加山雄三「ランチャーズと共に」、あるいは坂本九も考えたのですが、それらだとあまりにお勉強くさくなりすぎて追っても楽しめる人は多くないだろうと判断して、ビートルズが下地にあるこのアルバムを1号にしました。

 ただ、その価値大いにあるんですよ。だってこれ、世に「ロックバンド」の存在を知らしめている上に、自作曲の日本語詞でしょ。プラス、ムッシュかまやつ、井上堯之、大野克夫といった、その後、ソロのロックシンガー、サイドマン、作曲・編曲家としてロックに多大な貢献をした優秀なメンバーも揃っている。GSの中でも実力、抜きん出たんですよね。

GSだと「実力派」と呼ばれ、後に海外のガレージ・コンピにも収録されるモップスゴールデン・カップスも当選必要です。カップスはゴダイゴ、柳ジョージとレイニーウッドにつながる横浜のシーンを語るのにも不可欠です。あと、GSの括りにしちゃいますけど、「日本のドアーズ、もしくはヴェルヴェット・アンダーグラウンド」とも言われたザ・ジャックスも重要です。

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そしてタイガースの「ヒューマン・ルネッサンス」もカルト名作として外せません。タイガースって、GS最大の人気バンドだったわけですけど、ここでは彼らそのものというよりは作曲、編曲のすぎやまこういち、村井邦彦による、和製ソフトロック、バロック・ポップのサウンド・プロダクションを評価したいですね。「GSは外部ソングライターだからダメだ」という評価がありますが、でも、その外部ライターがすごい仕事をやってのけてるというか。さすが、すぎやま氏は「ゼルダの伝説」、村井氏はその後、赤い鳥のアレンジでも成功してますしね。あと、このアルバム、ベトナム戦争に対しての反戦アルバムでもあるんですよね。フォークの時代が本格化する前に、大手芸能界(ナベプロ)の作品でそんなアプローチが出来てたのも画期的というか。なんか、バーズで言うところの「名うてのバード兄弟」みたいな歌詞とサウンドのカルトなバランス感覚、この当時のアルバムでも、これでしか聴けないと思います。

 あとフォークは5枚選んでます。まず、フォークルことフォーク・クルセダース。日本最初のインディでのヒット・アーティスト。加藤和彦も輩出してます。このアルバム自体、60sサイケ・ポップとして優れてます。「日本のディラン」こと岡林信康は、ジャックスの楽曲も歌ったセカンド。

そして

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エンケンこと遠藤賢司さんは、この「満足できるかな」ですね。エンケンさんは「日本のニール・ヤング」とも呼ばれている人なので、これより後の、もっとパンクっぽいのも考えたんですけど、このアルバムでもうすでに十分ロックっぽいし、剛と柔のコントラストも見事だし、名曲「カレーライス」の「三島由紀夫が自決した日の日常」の視点もすごく時代性捉えてて劇的だし、URCからもはっぴいえんど以外にも入れるべきなのでこれかなと。

 あとは吉田拓郎井上陽水の出世作を妥当に選びましたね。

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そして、日本におけるハードロック、プログレの元祖となる「ニューロック」、1970年代当初の日本語ロック論争で「英語派」と呼ばれたとこからは、その最大の代表格のフラワー・トラベリン・バンドと、ブルース・クリエイションの「悪魔と11人の子供たち」を。この2つとも、欧米圏ではカルトな支持がいまだにあるアルバムですからね。ニュー・ロック、マニアは多いんですけど、なんかジャムに重きが置かれてて曲として面白みが正直欠けるところは個人的には引っかかるとこでもあって。なので、この当時のほかのニュー・ロック選ぶよりかは、もう少しあとになってからの四人囃子カルメン・マキ&OZを選んでます。

あと、日本語ロック論争といえば、はっぴいえんど。はっぴいえんど絡みは近年、海外でも評価が高くなっている細野晴臣ソロの中から「HOSONO HOUSE」、あと、ナイアガラの影響力が日本国内で絶大の大滝詠一のロンバケ。あと、もうひとり、ちょっとだいぶあとにサプライズで選んでます。

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「過激な日本語ロック」ということでいえば、頭脳警察村八分、入れてます。どっちも半世紀経ても放送では難しい(笑)。前者のファーストに関しては長らく廃盤で、中古市場で数10万の価値のついた伝説までありますからね。あと村八分は、「日本を代表するガレージロックの元祖」ですね。外道、サンハウス入れられなかったことも、この1枚に集約しています。

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そして、「ヒューマン・ルネッサンス」に近いこだわりで入れたのがチューリップ74年の名盤「Take Off 離陸」ですね。なんかチューリップって、フォーク、ニュー・ミュージックと誤解されてるとこあるんですけど、日本で最初の本格的ビートルズ・フォロワーであり、元祖パワーポップ。また、GS以降のロックで最初に売れたバンドで、70s半ばでは人気投票1位とかにもなってたバンドです。国内フォロワーも多かったんです。このアルバムなんて「日本のパワポ」として世界にも示せる内容で、しかも演奏も、あの当時の福岡で一番腕利きの人集めて作っただけあってすごくうまい。加えてコンセプト・アルバム。カルトなミュージシャン人気も高い。さらに一般知名度の高い名バラードの「青春の影」まで入ってる。選ぶ理由、たくさんあるんですよね。

あと、この時代だと、キャロルは「日本における元祖パンク」としてすごく貴重だし、サディスティック・ミカ・バンドの「黒船」もやはり。本音言うと、「グラムロックなのにフュージョンっておかしくない?」と、高中正義のギター、グラムファンとしては正直違和感感じはするんですが、かのクリス・トーマスのプロデュースでBBCの番組にも出演した快挙は語りつぐべきですからね。

あと、ユーミンの荒井由実時代、シュガー・ベイブ時代の山下達郎はどっちも必要ですね。ユーミンは、本当は荒井と松任谷は別人格として2枚入れようとも試み、実際に最初はどっちも入れてたんですけど(笑)、あきらめました。達郎さんはソロも「RIDE ON TIME」か「For You」かでギリギリまで迷って後者にしました。

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あと、今回、さらに課題がありまして。「世間一般でいう名盤、最高傑作は本当なのか」、という検証です。たとえば、吉田美奈子なら「扉の冬」、ムーンライダーズなら「火の玉ボーイ」、矢野顕子なら「ジャパニーズ・ガール」、大貫妙子なら「Grey Skies」。僕は正直、違和感ありました。なので、今言ったのは4つとも違うの選んでます。だって、後の活動のイメージに合うの、選んだほうが絶対にしっくりくるんだもん。吉田美奈子は、やっぱりSSW然としたものよりは、ちょっとソウルにより本格的に寄ったものの方がいい。あと、細野さんのティンパン・アレイがバックについたソウルフルなアルバムなら、ユーミンでも、「扉の冬」でもなく、小坂忠の「ほうろう」がベストだと思ってます。

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それから70s半ばから後半の「ロック御三家」、ツイスト、CHAR、原田真二の中だったら、圧倒的にCHARのデビュー作ですね。ギター・アルバムとして優れてるのはもちろん、ソウル、シティ・ポップのアルバムとしても完成度高いです。この当時にテクニカルにここまでのものが作れてたのは驚きです。あと、シティ・ポップといえば大貫妙子は「SUNSHOWER」。海外コレクターが日本に探しに来るど定番中のど定番。でも、このくらいでとめてます。

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あと、今回、テクニカルなごまかしをひとつやってます(笑)。裸のラリーズのこの「Live 77」は90年代に出た作品ではあるんですが、ラリーズの場合、こういう過去の音源を後から出すパターンがほとんどで、プラス、「平成のアーティスト」にするには違和感が大きすぎるので、このアルバムで1977年と強引にカウントしました。でも、このジーザス&メリー・チェインもシューゲイザーもゆらゆら帝国も先どっていた先進性、驚きます。世界中にコアファンがいるのも当然でしょう。

今回の選出では、パンク/ニュー・ウェイヴで賭けに出てます。東京ロッカーズ、入れてません。フリクションとか、リザードですね。INUも含まれるのかな。それはなぜか。リアルタイム経験した人しか強い影響を感じないからです。僕の10〜7歳くらい上の人からは影響聞くんですけど、僕より年下の人からはほとんど聞いたことないし、ましてや20、30代の人には微妙かなかと思いまして。それよりは、暗黒大陸じゃがたら戸川純スターリンあたりを入れた方がいいのかなと思いまして。実際にそれなら、若い人でも後追いで聴いてる印象、ありますし。

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あと、どうもこの当時の日本のニュー・ウェイヴ解釈が難しく構えすぎてるような気がして。直截的なパンクロックへの回答もなかなか出てきませんしね。それでいくと、この近田春夫&ハルヲフォンの「電撃的東京」って興味深くて。これ、日本の歌謡曲のパンクロック風カバー・アルバムなんですけど、歌謡曲にパンク・ロックの下地にあるバブルガム・ポップ的な価値観を見出したこと、そしてそれをパンク・ムーヴメントの直後の1978年にやったことなども、もっと着目されていいことかなと思ってます。

あと、1980年頃と言えば、日本のロックのかなり熱い頃で、そこをYMORCサクセションが引っ張りますが、さすがに両方共選んでます。RCは「シングルマン」や「カバーズ」という選択もできたんですけど、やっぱりライブあってのバンドだし、今日まで知られている代表曲も多いので、やっぱり「RHAPSODY」かなと。YMOは今日のテクノの状況考えたら81年の「テクノデリック」の方が最高傑作的なのはわかるんですけど、日本におけるニュー・ウェイヴ・サブカルチャーを作り上げたのはやっぱり「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」という判断です。

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 その他のニュー・ウェイヴだと、プラスチックスとかP MODELあたりも考えたのですが、アーティストとしての長きにわたる活動と、楽曲作りのうまさではこっちのほうが上かなと考えてムーンライダーズ矢野顕子を選んでます。2人とも、シンセ入った方が本来持ってるポップさが引き出されやすいのもいいですしね。あと、ニュー・ウェイヴ期のジュリーこと沢田研二はかなり前衛的にトバしててかっこよかったです。70s前半のグラム調のロックンロールも、「勝手にしやがれ」での全盛期もかっこいいんですけど、「TOKIO」から「晴れのちBLUE BOY」あたりのシングルはサウンド、ファッション的にも今見ても刺激的なので、その時期のものを選びました。

 ニュー・ウェイヴ、もう一つ行くとルースターズですね。彼らの場合は、パブロックっぽい初期か、ネオサイケっぽくなった大江慎也脱退前の「φ」ってアルバムが人気なんですけど、僕はその路線が変わりつつあるちょうど真っ只中に出た「DIS」派です。その頃のほうが、直前の「ニュールンベルクでささやいて」みたいな実験的なシングル出た時期にも近いし。


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今回、いわゆるフォーク/ニュー・ミュージック系にはちょっと冷たかったかもしれませんが、そこはオフコース安全地帯に代表させました。オフコースは、シティ・ポップの中のあの湿っぽさって、実は一番日本人らしいんじゃないかと思ってます。独特です。あと小田和正の活動と人気の長さと、ミュージシャン人気が案外高いこと、キリンジの登場時によく比較されたこと、などが選出の決め手です。安全地帯は、近年の再評価ですよね。玉置浩二の抜群の歌唱力を中心とした。また、このセカンド・アルバムが、「ザ・ポリス歌謡」みたいですごくいい。玉置だけでなく、ギタリストの矢萩渉もコールドプレイのギタリストみたいな憂いのあるトーンで地味渋にナイスプレイを聞かせていたりもして。この2つのバンド選んだほうが、僕個人の意見ではあるんですけど、中島みゆき、さだまさし、長渕剛、チャゲアスあたりよりは、洋楽メインに聞く人のチョイスっぽくていいかなあ、とも思ってます。

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あと、アイドルを代表して松田聖子。ただ、聖子ちゃんには歌謡曲を代表してもらったのではなく、松任谷由実の代打です。なので、「赤いスイートピー」と「渚のバルコニー」の入ってる、この「Pineapple」で。本当はユーミンの同じ年に出た「Pearl Pierce」を選んでいたんですけど、聖子ちゃんの方がユーミン本人より歌もうまいし(笑)、松本隆の歌詞の世界がもっとも堪能できるのも聖子ちゃんなんだから、それでいいかとも思いまして。松本作品で言うなら、70年代の太田裕美のアルバムも考えたんですけど、そっちだとマニアックすぎると踏んで、こちらにしました。

聖子ちゃんと言えば全米進出もしようとしたものですが、同じ全米進出組でラウドネスを。ただ、プロデュースでガチガチに当時のヘアメタルみたいなアレンジにされちゃってからより、NWOBHM色の方がむしろ強く感じられた日本の時代のアルバムを。音色的にも、絶対そっちの方が今の耳にも聞きやすいんですけどね。

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 80年代の日本のロック・メディアというと、佐野元春サザンオールスターズが主役みたいな時期があって、共にどこまで進化するか、みたいな感じで言われていたものです。そのマックスが両者ともに、この84年発表のアルバムの頃なのかなと思ってます。両者とも、その前も、その後も良いんですけど、なんかもろもろのバランスで行くとこの年なんですよね。行き過ぎた感じも、さわやかな感じもなく。

 残るはバンドブーム期のみですね。BOφWY、レベッカ、尾崎豊、ブルーハーツ。あの当時、いろんなアーティスト、人気出ましたけど、この4つが個性で抜きん出てましたね。BOφWYとブルーハーツはタイプは全く違ったんだけど、とにかくキッズへの訴求力が抜群でバンドに憧れる、自分もやってみたいと思わせるカリスマ的な魔力があった。実際にバンド人口増やした立役者だと思います。

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尾崎は、サウンドや詞で好き嫌いあるかと思いますが、もともとサウンドもスプリングスティーンやジャクソン・ブラウン意識してたんだからそんなに歌謡曲だったわけでもないし、歌詞の影響力も先輩の浜田省吾よりはより幅広い層にアピールもあったと思うし、何にせよ、あの若さですよね。オーディション映像も見たことありますけど、あんな高校生が来て、あの歌唱力とあの詞、いきなり聞かされたら、そりゃ誰だってビビると思いますよ。あの歌詞の抑圧感もリアルタイム体験してると理解できるし、それだけじゃなくバラッディアーとしても優秀だったと思ってます。

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でも個人的に一番好きで、再評価してほしいのはレベッカですね。2000年代にCSS流行ったときに「この感覚、どこかで聴いたことあるんだけど」と思い出したらレベッカを思い出して。高校のときに2回ライブも行ってるんですけど、そのときのことも思い出したりして。あの当時のMTV風ニュー・ウェイヴのサウンドやらせたら一番うまかったバンドで、あとNokkoね。本人はマドンナみたいなダンス・ミュージックやりたがってたんですけど、YouTubeで見返して僕も含め多くの人に人気なのは、人気出始めた頃の、まだロック色濃くて、闇雲なパワーで歌ってる頃でもあって。「レベッカIV」って当時ミリオンセラーになって十分成功してるんですけど、あのときの「型」をぶらさずに活動できてたら、もっと影響力のある存在になってたような気がして惜しいです。

・・と、そんな感じでしょうかね。これ以外に考えたのは、TMネットワークや久保田利伸あたりですけど、TMは小室氏に関しての賛否両論が気になってしまったこと、久保田は功績はすごくあるとは思うんですけど、展開していたサウンドがうまくリバイバルに乗るタイミングがまだ今ではないのかな、といろいろ聞き返して思ったりしてました。

では、今度は平成に行きます。






















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