見出し画像

「New Jeansおじさん」たちが理解しておいたほうが良さそうなこと

どうも。

これ、何ヶ月か前にも

こうやってNew Jeans人気に関して違和感を唱えている人は少なくないようだよ、ということを書いたのですが

こんな風に、つい最近もYahoo!でこんな記事が上がっててびっくりしました。「すごく引きずってるトピックなんだなあ」と思ってですね。

これ、いろいろ考えたんですけど、

「せっかく好きになったKポップなのに、そしたら文句を言われるってか!」


という人も少なくはないんだろうなあ、と思ったんですよね。

僕に関しては、上の記事にも書きましたけど、New Jeansに関してはニュートラルです。毎週更新中の僕のプレイリストに、そこまで高い位置ではないにせよ入れるくらいには抵抗ないです。ただ、彼女たちそのものに対しての興味は今も湧いてはいないし、むしろXGの方に「メンバーの名前、把握しようかな」と思い始めている頃でもあります。まだ決定的ではありませんけど。

ただ、ですね、僕自身も、もし3年前にKポップに興味を持たない状態でNew Jeansに接していたら、もしかしたら「New Jeansおじさん」になっていたかもしれないと思ったので、以下のことを書くことにしました。

まず、New Jeansおじさんの特徴として

・「人より音楽は聴いてる方だ」の自負がある

・「普段、アイドルなんて興味ねえよ」と思っている

・「Kポップって、なんだかよくわからんが、そんな自分にもわかるものができて嬉しい」

・「自分は容姿で好きになったのではない。音楽で好きになったのだ」

こういうのがあるかと思います。これが全部の人もいるだろうし、少なくとも2個以上当てはまる人がほとんどだと思うんですよね。

 そういう人が見逃しがちなポイントを指摘したいと思います。

①Kポップ・ファンが「容姿」で音楽を好きになってると思い込んでいる


ここがまず、大きな間違いです。これに似たエピソードを言っておきましょう。

以前、YouTubeで70年代のクイーン人気に火をつけたとされるミュージック・ライフ元編集長の東郷かおる子さん、僕もすごくリスペクトしている方ですけども、その東郷さんが興味深いことを言ってるんですね。クイーンは1970年代前半に日本の女の子たちがアイドル人気で世界に先駆けてブレイクして、それが揶揄の対象にされることがあったのですが、それに対して彼女は「女の子たちは、なにも顔だけで好きになっているわけではないんです。顔もだけど、音楽面もしっかりなにがすごいのか理解して好きになっているのです」と語っていました。

ここ重要なポイントなんですよ。New Jeansおじさんたちは、「自分だけが音楽的な良さをわかってKポップの一部を好きになった」という態度をとりたがる。そこがまず、敵対ポイントなんですよね。だって、以前からのKポップファンには「自分たちはもっと、早くから音楽的な価値を理解してKポップを好きになってるんだぞ」という意識があるわけだから。

 加えてKポップのファン層を考えた場合、比率的には圧倒的に女性ファンも多いですよね。そういうこともあり、これ、音楽の聴き方に関しての性差別にもつながりかねないんですよ。「そうじゃない。自分にもニュジに推しはいるぞ」と思う人もいるかとは思うんですけど、それにしたって「顔も実力も好きだ、は何もあなただけじゃなくもっと前から普通にいる」ということでしかないと思うんですよね。

 僕の場合は幸いにして、ツイッターの古くからの相互フォロワーの女性の方にARMYがすごく多かったんです。その方たちは普段フェスにもよく通われているタイプのロックファンで、そういう方たちがこぞってバンタン好きを表明していたので、「これはきっと、なんか音楽的に決定的な理由があるんだろう」と思って興味持ち始めた、という背景もありました。

②Kポップでは、メンバー個々の実力がかなりファンに問われている


これは4月に書いた記事の繰り返しにもなりますが、あえて。

このことは2020年にBTSを取っ掛かりとして数ヶ月のあいだ個人的にKポップを研究した際に気がついたことですが、Kポップのファンの方、歌唱力、ラップ、ダンスの実力をしっかり見ようとしていることです。

 僕の場合は日本のファンのみならず、英語圏のファン、またポルトガル語、スペイン語も少し読めるのでそういうのもチェックしてるんですけど、日本語も含めて、メンバー個々の能力の高さについて語っているものが多いんですよ。「歌唱力に関しては誰それだ」「誰それのラップはすごいね」「あのダンスのキレは半端ない」みたいなこと。日本人でされているのはあんまり見ませんけど、「Kpop best singers」みたいなスレッド、よく見かけるんですよ。これは僕自身もすごく参考になったし、それでYouTubeで聴き比べもしました。そうやってみて「ああ、BTSとかEXOとかって、パフォーマンスの総合力的に人気と評価高かったわけだ」と、そこで納得したわけです。

こういう考え方が、アイドル・カルチャーを通過されていない方にはわかりにくいことなんだと思います。「アイドルなんて、ただ顔の良いというだけの奴の寄せ集めだろ」みたいな考え方だと、「アイドルでパフォーマンスの実力の評価をするのか?」ということにもなりかねないと思います。


③「アイドルなんて下手なんだろ」という思い込み


これもあると思うんですよね。まあ、これは20年くらい前に例えばバックストリート・ボーイズだったりインシンクみたいなアイドルにちゃんと触れてりゃ、間違いだとすぐにわかるんですけど、そういう「アイドルは歌が下手だ」みたいな思い込みを持っている人も、ロックやクラブ・ミュージックの聞き手の方には決して少なくない考え方のように思います。

まあ、この背景には、日本のアイドル産業がその昔に杜撰すぎたことが影響してるとは思うんですけどね。まあ、それは70年代までさかのぼることで、顔だけが可愛いい、あるいはハンサムなとんでもない伝説的な音痴とかを売って、それでもビジネスにしてきてたわけでしょ。で、それを正当化するために、それを「成長を見守るのが好きだ」とか理論構築してね。

逆にKポップのファンは、日本の中でもおそらくは古臭くなっているであろうそういう日本型のアイドルの型から離れたものが好きになってるわけです。だから歌唱力とかうるさい人、多いわけです。

New Jeans嫌いな、以前からKポップ・ファンの方の意見に「歌が上手くないから」というものを見たことが結構あります。僕の場合は、ロラパルーザのステージを見る限り、下手だとは決して思わなかったのですが、「年齢ゆえに声ができてない子が目立つな」というのが印象でした。ただ、性別こそ違いますが、そのあとにTXTの圧倒的なライブ・パフォーマンスみたときに、「ステージのプレゼンスの実力は申し訳ないけど、まだ差があるな」とは正直思ったんですよね。

僕のこれまでの印象だと、New Jeansおじさんたち、歌唱力とかあまり気にされている印象がないんですよね。多分そこ、興味ないと思います。

④Kポップではサウンド面は、アーティスト性より表には出てこないものだった


ここもポイントです。ここも以前の記事の繰り返しになります。

Kポップの場合って、「アーティスト・ファースト」のイメージが強くて、よほど掘ったマニアでないと、ソングライター、プロデューサーは誰か、という話にはなかなかなりにくいところがあります。

それは良いことでもあるんですよね。「プロデューサーの操り人形ではない」とのポジティヴなイメージにもつながるものなので。

 そこいくとNew Jeansの場合、キャリアの最初のうちからあまりにもBehind The Scene的なことが語られすぎなんですよね。そこは僕も前から気になっていました。

 そこがまたKポップと接するマナー的でないんですよね。プロデューサー・ファーストのイメージも、これまた90sのJポップみたいで、そういうものと差別化したいからKポップ選んでいる方もいた。そうなると、違和感感じる人はどうしても出てきてしまうのだと思います。

⑤プロデューサー先導のものは、実は記憶に残りにくい


ここも理解した方がいいと思います。

「プロデューサーを全面に出した売り方」というのは、ポップ・ミュージックの歴史上、残りやすいものではないんですよ。90sのアメリカのR&Bがこの売り方してるんですけど、今日までジャンル越えた「名盤選」みたいなもので残ってる人がほんと少ないんですよね。それを破るには、ビヨンセみたいに「誰がプロデューサーであろうが関係ない」という、やはり「個の力
」がどうしても最終的には上回る
んです。

70sソウルだってそうですよ。フィリー・ソウルのオージェイズとかスタイリスティックスみたいなプロデューサ先導のフィリー・ソウルがマーヴィン・ゲイとかスティーヴィー・ワンダーとかスライ・ストーンなどの自作自演派ほどの評価を得ることが決してないのと同じでね。

⑥Kポップ・ファンの女性の好みがあらかじめ、ある


あと、Kポップ・ファンの間で好まれる女性の傾向のことを、New Jeansファンが知らなかった、というのがあると思います。

全部がそうだとは思わないんですけど

やっぱり世界的にはBLACKPINKの作った「ガールクラッシュ」のイメージが強いと思います。「女の子が憧れる、真似したくなるかっこよさ」、これを思い浮かべる人が多いかと思います。欧米圏では間違いなく、それで人気にもなってます。

 そこに対して、New Jeansって、年上の男性が「守ってあげたくなるか弱そうな感じ」に見えてしまうじゃないですか。それこそ「バービー」で描かれた、男による「Let me show you(僕が見本を見せてあげよう)」できやすそうな感じというかね。

 Kポップの女の子みんながガールクラッシュ的な強さを持っているわけでもないことは知ってはいますが、New Jeansはそれがかなり端的に対局の形で出た。そこに引っかかる人が出るのもわかるんですよね。

またNew Jeansの場合、

このミンヒジンという人が手がけてるんですけど、この人の趣味が超ガーリーで、かなり年少の少女趣味なんですよね。それで「ペドファイルを扇動している」と訴えられたことさえあるという。

Kポップのファンとしては、そこも引っかかるんでおじさんに対し「このロリコン趣味め!」となるところもあるのかと思います。知らない人にしてみれば「そんな、言いがかりな!」でもあるとは思うんですけど。

⑦New Jeansの先駆なら、その昔にすでにいた

 
ここもKポップファンのおじさんたちへの違和感になっています。これで締めますね。

 僕の場合、Kポップに関しては、彼らがルーツとしてきたジャスティン・ティンバーレイクやリアーナみたいな音楽が00sのうちから好きだったし、2NE1を2010年に聞いて「こりゃ、かっこいいな」と思っていたので、知らないながらもリスペクトはしてました。でも、New Jeansおじさんたちはそれでは満足できておらず、それがNew Jeansまでかかってしまったのかと思われます。

ただ、Kポップのファンの一部には「じゃあ、なぜあのときに気がついてなかったんだよ、おじさんたち」という人がいることを忘れてはいけません。

それが

f(x)が2013年に発表したアルバム、「Pink Tape」ですが、これ、Kpopベスト・アルバムみたいな企画で1位取る常連のアルバムなんですよ。僕はこれ、さっき言った2020年の研究期間中にそのことを知ったんですけど、その手の企画であまりに上位にくるので知りました。これの次のアルバムがピッチフォークでリアルタイムでレビューされてたのもあの当時に覚えてます。

これなんですけど、「ロリータ趣味のアートワークに、ヒップホップ色の薄い先鋭的なクラブ・サウンド」なんですけど、それまんまNew Jeansであり、手がけていたのがミンヒジンその人なんですよね。

 僕もお恥ずかしい話、ここでミンヒジンが繋がっていたことを知ったのはかなり最近だったんですけど、「なるほどなあ」と思いましたね。ただ、これもリスニング歴の長い人からすれば、確かに「何を今更ぶち上がって」となりやすいところなのだろうなと思った次第です。

 これらのことが従来のKポップ・ファンと新規のおじさんたちとの相互理解につながれば嬉しいなあと思います。





































この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?