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まるでキューブリックmeets黒澤! 「イカゲーム」で遂に世界も制したKドラマ

どうも。

今日は、今、エンタメ・ワールドで世界で一番旬なトピックの話をしましょう。

 いや〜、すごいですねえ。

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ネットフリックスの韓国制作のオリジナル・ドラマ「イカゲーム」、これがネットフリックスの配信対象83カ国すべてで1位ですよ!!

 さすがにそう言われてしまったら、「海外エンタメ専門」と銘打っている当ブログ、反応しないわけにはいかないじゃないですか。だから、3日から急遽、見ましたよ。

そうしたら

全9話、2日で完走できました!!


 いやあ〜、ものすごい完成度ですね、これは!僕が現在のKドラマをどれくらい絶賛しているかは、僕のこのブログでもっとも読まれた記事でもある4つ「梨泰院クラス」「愛の不時着」「椿の花咲く頃」「サイコだけど大丈夫」の感想でも示してきてはいるつもりなんですけど、この「イカゲーム」はそこにさらに強烈なトドメを打ってきたな、という衝撃を僕に与えましたね。

 そんな僕がなぜ当初、「イカゲーム」を見ようとしなかったかというと、まずひとつは「イカゲーム」という邦題がダサかった(笑)。続いて、「見た」という人の一部感想があまり芳しいものではなかった。「これまでのディストピアものと変わらない」なんてことを口走る人が実際いましたので。それから、まだ僕が「ネットフリックス・オリジナル・シリーズ」を一度も体験したことがなかった。僕が今までネットフリックスで見てきたKドラマはTvNを中心に、韓国のテレビ局で実際に放送されたものを受けたもので、そのスタイルに愛着があったんですね。ネットフリックスだけの配信でそこまで評判のものを、まだ聞いたことがなかった。そこがやはり大きな理由でしたね。

が!

遂にネットフリックス韓国、オリジナル・シリーズで大ホームランですよ!


 これまで、Kドラマって、国際的にすごくヒットしていると言っても、それはアジア圏内にとどまってたんですよね。僕はブラジルから見ていて、ブラジルにもKドラマのコミュニティ、あるにはあるんです。でも、それは決してメインストリームなものではない。かなり限られた、マニアックな存在でしかありませんでした。

 それが突然、どこの国でもナンバーワンのドラマになったわけでしょ?インパクトとしてはBTSの全米1位や「パラサイト」のオスカー作品賞受賞と並ぶインパクトですよ。とうとう韓国が、グラミー、オスカー、エミーの対象となるエンタメ、全部制覇しちゃったなというか。そんなことが可能な非英語圏の国なんて、世界のどこ探してもないですよ。

 本当にどういうエンタメの国力しているんだ、とただただ驚くばかりです。

 そして、これ、いざ見てみたら、内容が

面白いだけでなく、深い!

これに本当に驚かされましたね。

で、どれくらい「深い」かというと

    伝説の名作映画並み!

それが最初の方から見ていてわかったので、なおさら熱心に今後も人に良さを伝えていきたいなと思ったんですよね。

 これ、すでにすごく見られている作品なのであえてストーリーは詳しく説明しません。要は、現代の韓国で借金苦に悩む人たちが一堂に集められ、巨額の賞金獲得のために、サバイバルの殺戮ゲームを勝ち抜く、というものなんですが、

これで誰をまず思い出したかというと

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スタンリー・キューブリックなんですよね。このですね、狂気の近未来寓話な感じ、というか。これがもう、「まんま」ですよね。

 おそらく、こういうディストピアものを描く人の大半がキューブリックみたいになりたいと思って、そうなれていな人が多いかと思うんですけど、「イカゲーム」はその点で見事にクリアしてますよね。

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このセットのイメージ。これなんか本当に構図、デザイン、カラー的に見事なんですけど、これ見てて「2001年宇宙の旅」とか「時計仕掛けのオレンジ」思い出しますもんね。これのバックにヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」っていう、「2001年宇宙の旅」とまんま同じ音楽が流れるので、もう、意識してるの、すぐわかるというかですね(笑)。

 それプラス

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上が「イカゲーム」で下がキューブリックの遺作の「アイズ・ワイド・シャット」のシーンなんですけど、こういう風な、かなりわかりやすいオマージュも示されたりしています。

 こうしたキューブリックの「狂気の近未来寓話」に加えて

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一方で、濃厚な黒澤明色もあるんですよね、これ。

 黒澤明という人はドストエフスキーみたいなロシア文学に多大な影響を受けた人で、この写真につかっている「羅生門」をはじめ、「個人の見解・エゴイズム」を徹底的に描き続けていた人なんですよね。

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こうしたキャラクターたちが、「一歩間違ったら死」という、個人のエゴイズムがもっとも出る瞬間にどういう態度をとるのか。この描き方の対比が、このテのディストピアものの中でも、これ、秀逸なんですよね。だからこそ、このドラマ、多くの視聴者をひきつけるのだと思います。

 その中でも

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主演のイジョンジェはやはり出色ですね。韓国ではもうエスタブリッシュされた俳優ですけども、「だらしないし、エゴもあるけれど、人として最低限、間違ったことだけはどうしてもできない」というキャラを、一貫性持って自然に演じられた。これ、非常に見事だったと思います。Kドラマ、役者の力量がすごくていつも驚くんですけど、今回も、彼、異常演技みたいのはやらないんですけど、シチュエーションにふさわしい抜群の演技だったと思います。配信後、彼の名前がものすごい勢いで世界中で検索されたのもうなづけます。

 あとはやっぱり、影響をはっきりとキューブリックや黒澤から受けながらも

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この「だるまさんがころんだ」の殺戮少女人形のような、「このドラマだからこそ、思い出す」象徴的なシーンがあるのも、これ、名作の条件なんですよね。そこも見事にこれ、充してます。

  ただ、1点だけ

 シーズン2を思わすような終わり方はしてほしくなかった。

 これだけは思いましたね。

 これ、「シーズン2がある前提」としての終わり方は、これ、完璧だったんですよ。その観点でみれば、これ以上ない終わり方をしてます。ただ、ただでさえ教育上、倫理上、非常に良くない話はやっぱりこれ、長引かせずに終わるのがベストだと思うんですよね。これが続くことで、殺人がこんなに身近になったり、他の作品にひとつのはやりのように伝播するようになったりしたら、この作品、正直、価値的に不利になるように感じるので。ひとつ、解決してないかなり大きな問題を抱えたまま終わったので、続きを気にしないわけにはいかないんですけど、「また人が大量に死ぬのを見届けなければならないのか」と思うと、心理的にはかなりしんどいです。

 でも、それ以外は完璧です。

僕としてはこれ

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エミー賞にノミネートされてほしい!

この声はもうすでにネットでものすごくあがっています。今回の特大ヒットと共に、これ、考慮に入るのではないかと思います。条件的なところで、アメリカ以外の制作のものがエントリーされるのが認められているのか。その前哨としてゴールデン・グローブがどういう対処をするのかも見ものですね、これ。







 




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