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「ストリーム時代に世界で本当に聴かれているアルバム」 21世紀編①「1億ストリーム8曲以上」だとどうなるか?

どうも。

では、好評いただいている「ストリーム時代に世界で本当に聴かれているアルバム」。今回から21世紀に突入することにしましょう。

 21世紀は、もうリアルタイムでストリーミングの時代です。20世紀まではいわば「旧譜」だったわけですが、今回のはリアルタイムの新作になるわけですから、当然ストリームの回数のレベルが違います。

 なので、当初はですね、「盤」そのものを特に指定せず、ジャンルごとに「ストリームでウケるタイプの音楽、アーティストがどう変わって行ったかのストーリーを綴っていこうかと思っていたんですね。

が!

ちょっっとひねってみてですね、

仮に1000万ストリームでなく、1曲1億ストリームの曲が8曲以上のアルバムだったら、どうなるか。これを調べていっていたらですね、結構、やりやすい数になったんですよ、これが!

 なので、20世紀のときみたく、ちょっとならべて紹介していくことにしますた。21世紀編はこれが第1回目。第2回目、そして当初予定外だった3回目は、さきほども行ったように、時代によるジャンルごとの変遷に迫ってみたいとおもいます。最初が2000年代っぽく、次のが2010年代っぽい感じになります。

では、早速見ていきましょう。

Spotifyというのは、イギリスで2010年、アメリカで2011年にはじまったサービスです。ということもあり、それ以前、1億ストリームが8曲以上アリャルバムなんて、数えるくらいしかありません。

まずは、いわば「ストリーム前史」の頃の作品から見てみましょう!


1991
Nevermind/Nirvana

 
 2000
Hybrid Theory/Linkin Park

 
 2002
The Eminem Show/Eminem

 
 2006
Graduation/Kanye West

 

はい、ズバリ、これだけしかありませんでした!少ないでしょ?

記念すべき最初の作品はうんと離れてニルヴァーナの「ネヴァーマインド」。こういうとこでも偉大だったんですね。

あと、リンキン、エミネム、カニエというのも、この時代らしいかな。エミネムは、当時はセカンドの「Marshall Mathers LP」が人気でしたけど、その後はサードの「The Eminem Show」が人気ですね。あと、カニエはエレクトロに接近したサードが人気というのは、ちょっと意外な気がしましたね。

では、2010年代最初の、Spotify黎明期からみてみましょう。


2010
Doo-Wops & Hooligans/Bruno Mars
My World 2.0/Justin Bieber

  
2011
21/Adele
Take Care/Drake
+/Ed Sheeran
Christmas/Michael Bublé

 

この時期、まだ少ないですね。合計して6枚しかありません。

ただ、ブルーノ、ビーバー、アデル、ドレイク、エドでしょ?まさに00sのチャート上の立役者ばかりじゃないですか。しかも、みんなビルボードにロングヒットしてるアルバム、ありますよ。そういう意味では「ストリーミグ時代の申し子」このあたりなんだと思います。

あと、意外とカニエの「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」がここに該当しないのも興味深い結果です。

 
2012
18 Months/Calvin Harris
Nothing But The Beat/David Guetta
Born To Die/Lana Del Rey
Channel Orange/Frank Ocean
Good Kid, M.A.A.D City/Kendrick Lamar
Take Me Home/One Direction
Trilogy/The Weeknd

ここもかなり象徴的な気がしますね。

表向きには大EDMの年ですよね。カルヴィン・ハリスにゲッタ。すごい人気だったものですが

この3枚、揃い分出るの圧巻ですよね。フランク・オーシャン、ケンドリック、ウィーケンド。この前の年のドレイクもそうなんですけど、このあたりが音楽の時代をポジティヴな方面に動かす原動力になってくれたような気がします。

そして、この年の裏カルト名盤ですね。ラナ・デル・レイの「Born to Die」。20世紀の名盤やった際に、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやジョイ・ディヴィジョン、ニック・ドレイクが入ってたことがかなり驚かれたんですけど、21世紀でそういうダークな部分を代表しているのがまさにこれですね。しかもかなりマス&ロング・セールスで。これがじわじわ、意味を持ってくるようになります。


2013
AM/Arctic Monkeys
Yours Truly/Ariana Grande
Nothing Was The Same/Drake
Midnight Memories/One Direction
Vessel/twenty one pilots

 
2014
My Everything/Ariana Grande
X/Ed Sheeran
Hozier/Hozier
2014 Forest Hill Drive/J Cole
Ultraviolence/Lana Del Rey
Four/One Direction
In The Lonely Hour/Sam Smith
1989/Taylor Swift

 
 2015
25/Adele
If You're Reading This, It's Too Late/Drake
Badlands/Halsey
Purpose/Justin Bieber
Cry Baby/Melanie Martinez
Made In The AM/One Direction
Blurryface/twenty one pilots
Beauty Behind The Madness/The Weeknd

このあたりになると枚数がぐっと増えるんですが、

ロックでいうと、やっぱこれですよ。アークティック・モンキーズの「AM」。これ、当時も表向きに世界中で大ヒットしてますけど、これはむしろ、ここ最近、ロングヒットしてるのに気がつかれてから伝説化に拍車がかかってる気がします。だって、8曲どこの話じゃない。これ、全曲1億ストリーム、超えてますからね。

あと、「時代変わったなあ」と思うのは、アリアナ・グランデ、ワン・ダイレクションといったあたりが毎作エントリーしえてるんですよね。1Dわかりやすいですけど、アリアナも元はニッケルオデオンって子供チャンネルでのアイドルですからね。こういうところの人たちって、一昔前ならシングル曲に集中するところで、アルバムまで聞かれない印象があったんですけど、これが変わってきます。その傾向は、この当時の他のアイドルにも顕著です。

あと、ここからテイラー・スウィフトが俄然強くなるんですよね。カントリーの殻を完全に破ってしまったことによって、もうポップスタートして接しやすくなった、またそれに本人がしっかり対応した、というのがあるとは思うんですけどね。僕はカントリーのバックグラウンドを強く感じさせるタイプの曲の方が好みなので、その辺り複雑ですけどね。

あと、結構渋いとこ、お多いんですよね。ヒップホップから、群れから逃げるようにJコールがこっそり入るところが彼らしいし、シンガーソングライターでホージャー、あと、女の子の期待枠でホールジー、そして、これ「何?」って思う人がいるかもしれません、

メラニー・マルチネスのカルト名盤「Cry Baby」。ラナ・デル・レイの世界にロリータとオカルト混ぜたような感じです。もう直ぐ新作でますけど、また影で長く売れそうです。
 
2016
Dangerous Woman/Ariana Grande
24K Magic/Bruno Mars
Wings/BTS
Views/Drake
Blonde/Frank Ocean
The Life Of Pablo/Kanye West
Death Of A Bachelor/Panic At The Disco
Stony/Post Malone
ANTI/Rihanna
Illuminate/Shawn Mendes
Starboy/The Weeknd

この年はR&B/ヒップホップにとって大きな年でしたね。

このあたり、全部名盤ですよね。実は意外なことに、この前年のケンドリックのかの名作「To Pimp A Butterfly」やビヨンセ、ソランジュ姉妹の傑作が入ってなかったりするんですけど、それ足してたらとんでもないですよね。

2017
Don't Smile At Me/Billie Eilish
More Life/Drake
Dua Lipa/Dua Lipa
÷/Ed Sheeran
Harry Styles/Harry Styles
Evolve/Imagine Dragons
American Teen/Khalid
DAMN/Kendrick Lamar
Melodrama/Lorde
The Thrill Of It All/Sam Smith
Ctrl/SZA
Reputation/Taylor Swift
17/XXXTENTACION

 
2018
Sweetner/Ariana Grande
X100Pre/Bad Bunny
Love Yourself : Answer/BTS
Invasion Of Privacy/Cardi B
Scorpion/Drake
Kamikaze/Eminem
Goodbye & Good Riddance/Juice WRLD
Swimming/Mac Miller
Beerbongs & Bentleys/Post Malone
Astroworld/Travis Scott
My Dear Melancholy,/The Weeknd
?/ XXXTENTACION

17、18年になると、16年のときのような批評的な評価の高いR&Bヒップホップに加えて、若いリスナーのあいだでのトラップ、そしてエモラップの台頭が著しかったですよね。

このあたりですね。正直、フューチャーとかメトロ・ブーミンみたいなトラップのシーンのリーダー格が該当作がなく、トラヴィス、カーディBが入ってますね。あと、エモラップでは、ポスト・マローン、XXXテンタシオン、あとこれ以降に入ってくるジュースWRLD、リル・ウージ・ヴァートなんかもそうでしたけど。

このあたりって、良い言い方をするなら、若いリスナー参加型ではあったと思うんですけど、それがゆえなのか、日本の80年代末のビートパンク・ブームとか、2000sのアメリカのメロコア・ブームに近いものを僕はちょっと感じてしまいましたけどねえ。玉石混交というか。まあ、ものごとが文化として大きくなるときには、これ、つきものだとは思うんですけどね。

あと、この頃

この、パニック・アット・ザ・ディスコやイマジン・ドラゴンズ、twenty one pilotsもそうなんですけど、今様の産業ロックが案外強いんですよね。

フェスだったり批評に興味ある方には引っかりにくい感じだとは思うんですけど、2010年代半ばから後半の子供にとっては、ロックとの接点にもっともなっていたのはこのあたりの人たちだったことは否定できない事実です。

そして

BTSやバッドバニー。それぞれ韓国とプエルトリコから、Kポップ、レゲトンと、言語の壁を超えて音楽の世界に新しい息吹を持ち込む人たちが台頭をはじめます。

 
2019
Thank u, next/Ariana Grande
When We All Fall Asleep Where Do We Go/Billie Eilish
No.6 Collaborations Project/Ed Sheeran
Fine Line/Harry Styles
Oasis/J Balvin & Bad Bunny
Jackboys/Jackboys
Death Race For Love/Juice WRLD
Norman Fucking Rockwell/Lana Del Rey
The Search/NF
Hollywood's Bleeding/Post Malone
Lover/Taylor Swift
IGOR/Tyler,The Creator


2020
Emmanuel/Anuel AA
Positions/Ariana Grande
YHLQMDLG/Bad Bunny
Las Que No Iban A Salir/Bad Bunny
El Último Tour Del Mundo/Bad Bunny
The Album/BLACKPINK
Map Of The Soul:7/BTS
BE/BTS
Future Nostalgia/Dua Lipa
Legend Never Dies/Juice WRLD
Eternal Atake/Lil Uzi Vert
Folklore/Taylor Swift
Evermore/Taylor Swift
Afterhours/The Weeknd

ちょっと話の都合上、2017年のところにあるアルバムも引っ張ってきてますけど、Lordeやビリー・アイリッシュの台頭で、10代のダンスポップでもアイドルでもない、ダークでアートな自作自演系の、これまでと明らかになにか存在感の異なるオルタナティヴな女の子の系譜が築かれましたね。そして、それを追うとラナ・デル・レイにつながってもいく。女性のオルタナティヴなアーティストたちの存在感、居場所がかなりメジャーな形で花開きましたね。

あとは2020年のKポップ大爆発ですね。BTSにブラックピンク。オスカー映画の「パラサイト」にドラマの「イカゲーム」もつけて、本当にすごかったですよね。これ以降、ビルボードにいろんなKポップ・グループ入ってくるの、普通にさえなりましたからね。


2021
Happier Than Ever/Billie Eilish
Planet Her/Doja Cat
CLB/Drake
Justice/Justin Bieber
KRG 0516/Karol G
Dangerous: The Double Album/Morgan Wallen
Sour/Olivia Rodrigo

2022
Un Verano Sin Ti/Bad Bunny
Harry's House/Harry Styles
Midnights/Taylor Swift
Dawn FM/The Weeknd
 
 2023
SOS/SZA

はい。ここはもう最近ですよね。



まずひとつは、オリヴィア・ロドリゴやハリー・スタイルズといった、もう、「アイドルが評価される」どこの話ではなく「アイドルがロックを救う」次元にまで話が発展した時代ですね。

あと、バッドバニーを筆頭とした、韓国語につぐ、スペイン語による世界のヒットチャートの完全席巻。

そして、もう今年ですね、SZAに象徴されるように、これまで完全にマッチョ社会だったR&B/ヒップホップも女性がリードする時代、それも等身大のナチュラル感覚で、聴き手を選ばない形でそれが行われる時代になった感じですよね。

と、こんな形で1曲1億ストリームのすごいアルバムが生まれています。

あと2回で語り足りないところをフォローしますね。

 
 

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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