見出し画像

映画「わたしは最悪。」感想 本当はハリウッドから、こういうの見たいんだよな(7月日本公開)

どうも。

今日も映画評、行きましょう。これです!

はい。「わたしは最悪。」、英語題は「Worst Person In The World」。さらに違う原題がそのポスターに書いてありますけど、これ、元はノルウェーの映画です。これ、今年のオスカー・シーズンでも外国映画ながら大健闘しまして、オスカーでも国際長編映画賞と、脚色賞の2つにノミネートされるなど、コアな映画ファンの人たちからかなりの注目を集めた作品です。さて、どんな映画なのでしょうか。

あらすじから見てみましょう。

ヒロインのジュリーは、ノルウェーの首都オスロに生きる20代女性。彼女の人生はかなり直感的かつモラトリアムです。大学でふと思い立って心理学を専攻したかと思いきや、大学教授と不倫したり、カメラに興味を持ってフォトグラファー目指したり。そしてモデルの彼氏と付き合ってるうちに

15歳年の離れた漫画家のアクセルと恋に落ちます。映画はここから短い12章のショート・ストーリーの連続となります。2人は両親に紹介する仲にもなり、同居し、結婚したも同然の状態になるんですが

ジュリーはアクセルから「子供を作ろう」と持ちかけられ、心に迷いが生じてしまいます。まだ何も人生で自己実現できてもいないうちに子供を作ることで自分のアイデンティティが「妻と母親」だけになること。彼女はそれを凄く恐れました。

そんな漠然とした悩みを抱えている中、ジュリーは自分だけで一人で行った知人の結婚式で、エイヴィンドという青年に出会い、意気投合します。2人は仲睦まじくなりますが、お互いに相手がいることを知って、深入りしないようにします。

 しかし、ジュリーが勤務している本屋に恋人を連れたエイヴィンドが偶然入ってくると、ジュリーは気持ちが抑えられなくなります。そして、それはエイヴィンドも同じで

結局は浮気をしてしまいます。

私生活でアクセルは自身の「ボブキャット」という漫画が映画になることで忙しい日々を送っていました。彼は、この漫画のキャラクターが教育上よろしくないものなのに家族向けのクリスマス映画にされそうなことに気が立っていたりで仕事一辺倒。一方でジュリーもエイヴィンドのことが忘れられず、彼のことばかり考えるようになってしまったため、アクセルに別れを切り出します。

 アクセルはジュリーの申し出を受け入れますが、「最後にせめてもう一度だけ」とセックスを求めます。

ジュリーはエイヴィンドと暮らし始めますが、そんな折、ジュリーは「アクセルが癌になった」との話を聞きます。そんな折、ジュリーは自分は妊娠してることに気がつき・・・。

・・と、ここまでにしておきましょう。

これはですね

 このヨアキム・トリアーというノルウェーの40代の監督の作品です。彼はオスロを舞台に映画を作っていて、この前に「リプライズ」「オスロ、8月31日」という映画を作っていて、今作で「オスロ三部作」と呼ばれているものらしいんですが、タッチのちょっと違う今作が「新しいタイプのロマンティック・コメディ」として、大絶賛されてます。

さらに言えば

この主演の、すごくキュートなレナーテ・レインスヴェ、彼女もこの映画での演技が絶賛されて、カンヌ映画祭の主演女優賞を受賞しています。

 この映画なんですが、僕自身もこれ、かなり気に入っています。

 何がいいかって、やはり

ジュリー自身の生き方ですね。現代に生きる女性なら誰もが迎え得る人生の分かれ道。これをどうするか。それを非常に自分に正直に生き続け、時にそれで間違ったりもする。でも、決して屈しない。そういう生き方にすごく共感を覚えやすいというかね。

 しかもそれを、哲学的に難しくなりすぎずに、テンポとユーモアに溢れたラブ・ストーリーに転化させてるのがすごくいいんですよね。単なるボーイ・ミーツ・ガールに終わらない、人生の深みそのものを見せてくれるようなストーリー。そこがすごく新しかったのもわかります。

僕はそこにも感銘を覚えたことは確かなんですが、同時に

こういう、ストレートに「愛」「人生」をテーマにした、本来の映画らしい映画がハリウッドじゃなく、非英語圏の外国の映画から出てきているのがすごく興味深いと思いました。

 これ「ドライブ・マイ・カー」のレビューの時にも書きましたけど、昨今のアワードに絡むアメリカの映画って、テーマがほとんど「社会の不公正」なんですよね。人種差別とか、LGBT、女性差別とか。そういうものももちろんいまを反映しているわけだから、もちろんあるべきです。でも、そういうのばかりになっても、なんか味気なくてですね。もう少し、「社会が話題にしているから」ではない普遍的なテーマ性の映画も見たいじゃないですか。

 今のハリウッドだと、そういう社会問題に絡んだものじゃなければ、スーパーヒーローもので、興行がそればかりに支えられてるというのもやっぱり問題で。もう、その両極しかない感じがして。だから、「ドライブ・マイ・カー」とか、この映画を見たときに正直ホッとしたというかね。オスカーにノミネートされた映画なら「リコリス・ピザ」にもそれ感じましたけどね。選択肢として、もう少し、こういう映画こそを見たいです!

 これ、特にロマンス映画に飢えてるタイプの人には絶対オススメです。こう日本での公開は7月1日のようですね。















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?