映画「タミー・フェイの瞳」感想 祝・オスカー主演女優受賞! ジェシカ・チャステインに再び入れ込みたくなった。
どうも。
今日、明日は映画レビュー、行きましょう。まずはこれです!
はい。「タミー・フェイの瞳」。この映画で主演のジェシカ・チャステインがオスカーの主演女優賞を受賞したんですけど、見てる人、少ないのではないでしょうか。これ、日本でも観れるとはいえ、ディズニー・プラスの配信ですからね。日本だとまだ契約してる人、少ないかと思います。なので、ここで僕がレビューすることに意義があると思いまして。
僕のとこでも、この映画、ディズニー・プラスの系列のスター・プラスで先週始まったばかりでしたが、これ、映画としてもなかなか面白かったので、紹介したいと思った次第です。
映画としては、こんな感じです。
舞台はミネソタ州。1942年生まれの信心深い少女、タミー・フェイ(ジェシカ・チャステイン)は、本当はロックンロールDJになりたかった若き宣教師ジム・ベイカー(アンドリュー・ガーフィールド)と出会い
やがて、テレビの宗教番組の司会を2人で務めるようになります。
人形劇の声の当てぶりやカントリー・ソングの見事な歌い手であったタミーは番組を通じて人気者になり、キリスト教福音派の世界ではかなり有名な存在となり
見た目もド派手な感じになっていきます。
ただ、80年代に入り、タミーはレコーディング・プロデューサ−と不倫をしてしまい
すぐに離婚こそしなかったものの、夫ジムとは気まずい関係になります。
しかし、手に入れた富が教団の不正によるものだったことも発覚。夫は逮捕され、タミーは一文無しになってしまいました。
しかしタミーはへこたれず、一人で再起を図ります。彼女は福音派では珍しく、ゲイを「あの人たちも神が作ったもの」と強く支持し、薄い眉毛の周りのかなりグラムなアイメイクも、一つのアイコンとして愛されるようになりました・・
・・というお話です。
これ
変な映画でしょ(笑)?
こういう人たちは多分日本のテレビではあまりおなじみないんじゃないかな?こういうテレビ出演で有名な宗教家は欧米圏では「テレエヴァンジェリスト」と言って、結構おなじみな存在です。だけど、おなじみと言っても、興味のない人にとっては相当奇妙に見えるものです。
でも、そういう世界に生きる人たちのよく知らないリアリティを描いた意味では、これ、かなりおもしろかったですね。なかなかこういうもの、見ないし、実態なんてわからなかったですからね。しかも、いわゆるエヴァンジェリストって、極端に保守的なこと言って「現在の社会の悪」みたいに扱われることさえ少なくないんですけど、
そこはこの、実際に実在したタミー・フェイさんの人徳のなせる技で。彼女は本当に、コンサバ中のコンサバの福音派の世界でLGBTを擁護した、そして彼女自身も意識してかしないでか、かなりゲイ受けの良い奇抜なグラム・メイクで人気だったわけですからね。奇妙な世界をフィールグッドな気分で紹介できているのが個人的には良かったですね。話としては変だから、やっぱり作品賞のノミネートはキツかったわけですが、それでも主演女優賞、そしてメイクアップ賞という、この映画がもっともノミネートされるべきだった2つでノミネート、さらに受賞までして、しっかり報われたんじゃないかと思います。
そして、この映画、やはり1にも2にも
ジェシカ・チャステインですよ!!
もう圧巻ですね。本当にうまかった!
何がそんなにうまいか。彼女の場合、声の使い方、そして表情ですね。
このトレイラー見てもらえればわかると思うんですけど、素っ頓狂な声で見事な歌唱力なんですよね。しかも、映像が見つからなかったので教えにくいんですけど、マペットの声の当てぶるとかさせても絶妙にうまいんです。
しかもご本人のテンションの高さと声色、すごくそっくりなんですよ!よくこれをものにできたなあと。
ジェシカの場合、「かっこいいデキる女」も「貞淑な妻」も役柄をうまく演じ分けることができるんですけど、初期の彼女での当たり役といえば
https://www.youtube.com/watch?v=5NtcL0CryWA
2011年の「ザ・ヘルプ」ですね。このとき彼女は、オクテイヴィア・スペンサーを家政婦として雇う、すごく気のいい、でもテンション高すぎてちょっと精神バランスにも難がある女主人を演じてるんですけど、このときに「すごく演技の上手い女優さん、出てきたなあ」と圧倒されたんですよね。
このときに彼女は初めてオスカーに、助演女優賞でノミネートされ、アワードによっては彼女が受賞してたんですけど、オスカーの時はまさにこのオクテイヴィアに負けて受賞できませんでした。
今回のタミー・フェイはこのときの演技の発展系でしたね。そのあと、そんなにやってないタイプの演技だったんですけど、もともと高めの声をエモーショナルに出して、ノリノリに演技するときの彼女は最高です。
しかも、同じ役でも、若い時と年取った時の声色もちゃんと使い分けててね。そういうところも計算が絶妙だなと感心しましたね。
この「ザ・ヘルプ」の年に彼女は「ツリー・オブ・ライフ」でのブラッド・ピットの妻役で注目されていて、あの時のアワード、この2つにさらにもう一個候補作があって、すべてでノミネートされまくって一躍注目されたんですよね。
https://www.youtube.com/watch?v=bnlSNBIxVAw
そして2012年には「ゼロ・ダーク・サーティ」でビンラデンの逮捕に命をかけた、孤立した女性FBI捜査官。このときにオスカー主演女優賞、最初の上は大本命だったんですけど、「世界に一つのプレイブック」、これ、僕、本当に大好きな映画なんですけど、あれの主演のジェニファー・ローレンスと争って結局破れたんですけどね。
この時点でジェシカ、「ニュー・メリル」とまで言われてましたから、オスカー取るのは時間の問題だろうと思ってたんですけど、思ったよりも時間かかっちゃいましたよね。9年。正直、そこまでかかるとは思ってなかったんですけど。
その間も
2014年の「A Most Violent Year」での、おとなしそうで実は精神的に凶暴で笑える奥さん役とか
名脚本家アーロン・サーキンの監督転向第1弾作の「Molly's Game」での、闇ポーカー・ビジネスの実態を暴いていくことで賢く強くなっていくヒロイン。これはゴールデン・グローブにはノミネートされてましたけど、こういう有力な役があったのになぜかノミネートはされず。
一般に有名なのって、「インターステラー」での、マシュー・マコーノヒーの帰還を地球で待つ娘なんじゃないかな、ってとこでしたよね。
なんかイメージとして、「ビッグバジェットの映画では脇役」「ヒロインとしての映画作品は地味」というサイクルが長く続いてた感じがあったジェシカだったんですけど、今回の映画も地味ではあったんですけど、彼女の持ち前の演技力でオスカー、掴み取った、という感じですね。
僕は「ジェシカの出演作に関しては、欠かさず見ていこう」と心に誓っていたほどのファンだったんですけど、ちょっとここ数年、それも守れず飛び飛びになってました。でも、このオスカー受賞を機に、「やっぱり信じてよかった」と改めて思いました。これから出演作、欠かさず見ていくことにしようと思います。
そしてジェシカのオスカー受賞で
「ザ・ヘルプ」に出演した女優陣で8人目のオスカー受賞者となりました。シシー・スペイセク、メアリー・スティーン・バーゲン、オクテイヴィア・スペンサー、ヴァイオラ・デイヴィス、エマ・ストーン、シシリー・タイソン、そしてジェシカ。予てから「伝説のオスカー量産映画」と言われてましたけど、それがさらに証明されることになってしまいました。
あと、この映画
旦那役のアンドリュー・ガーフィールドもかなりの熱演だったんですよね。彼は今年、「Tick Tick Boom」で主演男優賞ノミネートでしたけど、老け役もこなしたこっちで助演男優賞ノミネートも狙えたんじゃないかなと思いましたね。ぶっちゃけ、こっちの方が僕は好きだったくらいです。
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