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「サイコだけど大丈夫」を見終わった 最近のヒットKドラマと比べて、どう?(ネタバレ注意)

どうも。

見終わりましたよ。

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はい。「サイコだけど大丈夫」です。これ、僕にとってははじめての、「韓国の放送タイミングとずれなく見たKドラマ」で、その意味で思い入れも強かったりします。

このところ、このブログでも「梨泰院クラス」で8万アクセス、「愛の不時着」で5万アクセス、「椿の花咲く頃」で2万アクセス稼ぐほど、まとめの感想書いたらたくさんの方に読んでいただいたりしたんですけど、それで期待されていらっしゃる方も多いので(笑)、今回もやってみたいと思います。

これに関しては、まだ放送終了間もないので、まさにこれからネットフリックスで見るという方も多いでしょうから、「ネタバレ注意」で行きたいと思います。見終わるまで中身を知りたくない方は、今回はここから先は読まないでください。

では、まとめ感想、行きたいと思います。まずは、この「サイコ」を見るに当たって、魅力的なポイントをあげていきたいと思います。

①美術がとにかく美しい

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このドラマ、一番のウリはやっぱ、アートワークですね。ヒロインのコムニョンが「ホラー、オカルト趣味のある絵本作家」ということで、彼女の住む邸宅もゴシックにまとめられているんですけど、ゴスと韓国の伝統の衣装とか建築の組み合わせが本当にきれいで。韓国がアート上、黒の活かし方がうまいのは、パク・チャヌクの映画でもわかることではあるんだけど、この写真でもわかるように、格子の4角の活かし方とかもうまいですね。線のセンスがすごくいいです。

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コムニョンがここで着ているこの衣装もそうですね。こういう感じのものは他の国のものだと見られないと思うし。

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あと、コムニョンの頭の中の世界で描かれるストップ・モーション・アニメ。これも、「気持ち悪くもあり、可愛くもあり」という微妙なところをついていて目を引きましたね。

話を細かく追わない人でも、こうしたオリジナリティで惹きつけられる人は少なくないと思います。

②コムニョンの過剰なファッションショーが楽しい

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あと、これもアートワークに関してのものなんですけど、コムニョンの特異なキャラクター設定上、ファッション、めちゃくちゃ凝ってます。また、それが似合うだけの美人なので、毎回、どんな格好して出てくるのかが楽しみなドラマでもあります。

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こんな風にパターンも示されてますけど、「ステージ出て、歌でも歌うのか」って感じでしょ(笑)。すごくオートクチュール感が強い感じのね。

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で、ドラマの初期だと、彼女も「心が闇に支配されている」イメージで、こういうホラー趣味の黒が多いんですけど

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ガンテの献身的な愛に、閉ざしていた心を溶かされてからは、髪も切って、こういう明るい服も多くなります。このスーツ姿も、結構パシッとキメてるんですよね。このドラマ、コムニョン演じたソ・イェジにとってはかなりのアピールになったものだと思います。

③コムニョン、難しい困ったやつだけど、基本いいヤツ

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 そして、このコムニョンが、いかにも「大ベストセラー作家」然としていて、言動そのものは超わがままで、ガンテの愛で心は和らぐものの短気ですぐ叫び声をあげるところは最終回まで変わりません。で、しかも、この人、声がかなり低いので、ドスが効いててかっこよくもあります。

 ただ、根が善人で、自分と同じように精神的に病んでいる人を見ると、その人達がなにを望んでいるかを見抜く力がある。これが彼女のすごくいいところです。

 ただ、すごくめんどくさい(笑)。頼まれごとしたり、褒められたりしても、最初は絶対そっけないんですね。でも、コマ変わりとかあって、「なんだ、結局、オッケーなんじゃん」と思わせることが普通です。

 それは


優しい行動にプラスして、こういう笑顔のときの表情の崩し方ですね。こういう面があるのがわかられるので、ドラマの終盤だとみんなが彼女の行動パターンをわかったうえで「はいはい」と対処をはじめます。結局はみんなに理解されて愛される。それも、このドラマのほほえましいところではあります。

④サンテ役のオ・ジュンセが天才的

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ただ、このドラマの個人的なMVPをあげるとしたら、やっぱりガンテの兄、サンテを演じたオ・ジュンセですね。

この人、

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「椿の花咲く頃」では、ヒロインのトンペクを悩ませる嫌味なセクハラ土地オーナーで、この演技でペクサン・アワードの助演男優賞もとっていたんですが、いやあ、韓国で賞取るほどの役者はさすがにうまい。

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この、フォレスト・ガンプか、はたまた「アイ・アム・サム」でのショーン・ペンか、というくらい、知的障害の大人の演技が怖いくらいに絶妙なんですよね。劇中、何度も彼が場面作ることもしばしばで、それはコムニョン、ガンテを凌ぐこともしばしば。これで彼のファンになった人も多いかと思います。

⑤主演3人の自己克服の姿が美しい


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そして、ドラマの最高の見どころは、この主演の3人、ガンテ、サンテ、コムニョンがいかに、それぞれが抱えた過去のトラウマから解放されていくか、です。

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コムニョンとサンテがあまりに強烈なので、「視聴率男の久々の主演作」と呼ばれた割に勢い目立たなくなってもいたガンテ役のキム・スヒョンですが、演技そのものは愛に溢れた役をハートで熱く燃えながら冷静に演じていたと思います。

コムニョンとの関係は劇中でも「逆・美女と野獣」とも形容されたくらい、彼自身が、美女の仮面をかぶった野獣・コムニョンをうまくコントロールする役目を担っていました。


そして、障害故に、うまく愛情を言葉であらわすことができないものの、サンテがガンテに、長いこと自分の世話を見てくれたことへの感謝を、なんとか必死に表そうとするのも泣けます。ガンテをコムニョンとの愛に生きさせるために、彼自身も自立したいと強く願うようになるサンテの健気な努力も心を打ちます。そして、そのサンテの自立の後押しをしているのがコムニョンで。このトライアングルのケミストリーがこのドラマ、結局は一番の見せ場です。

このように、主演の3人は完璧で、そこだけを見てる分には、満足度はすごく高いです。

が!

このドラマ、ウィークポイントもあります!


いやあ、Kドラマの世界はレベルが高い。上に書いたような3つのドラマって、やっぱり総合力が抜きん出て高いものだから、それらと比べて見劣りするポイントもあるわけです。そこをふたつほど指摘しますと

①助演が弱い

ここがなあ。「愛の不時着」なんて、もう数10人ぐるみのキャストが全員覚えられるくらい、それぞれのキャストが自分の仕事をちゃんとしてそれがすごく脳裏に残るし、それは「梨泰院」「椿」でも同様なのですが、「サイコ」はそこのところが、この3つと比べてちょっと劣るんですよね。

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このジュリと、コムニョンの責任編集者との同時進行のロマンスもあったりするんですけど、その2人とも微妙にアピールが足らないというか。不時着のダンとグーの2人に比べると弱いですね。ジュリのお母さんと、ホスピスの院長先生はいい味出してるんですけど、あとの役者がいまひとつ印象に残りそこねたというか

あと

②クライマックスのドンでん返しが強引

このドラマの最大の肝である、「コムニョンの少女時代に起こった、両親による悲劇」なんですが、これのオチがあまりにとってつけた感が満載なんですよね(苦笑)。

 いや、たしかにサプライズではあるんですよ。でも、それがあまりにも無理ある展開というか。「じゃあ、その間、どう生きてたわけよ」というか、急に出てきた感が否めません。しかもすごいサプライズをやった割には、それがすごくあっさりもしていて。

 たとえば「椿」だったら早めに疑わしいやつの存在は出てきて、意外性はないんだけど、それに関しての嫌ななんとなくの不穏感って続いたんですよね。また、「不時着」でも、あの冷血な軍人、終身刑から脱獄してヒュンビンに復讐するべくひたひたと追い回す。あれも怖かった。それに比べると、あの14、15話あたりのクライマックスで見劣りはどうしてもしてしまいましたね。ここが弱い限り、手放しでの絶賛は正直なところ、できないです。


ただ、それでも異色のテーマに果敢に挑んだこと、精神的トラウマからの克己を描いた旨を打つ内容、主演3人の熱演、コムニョンの美しさ。ここは本当に文句ないので、それだけで見る価値はあったと思いますね。




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