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単なる「髪型問題」を超えて、マスキュリニティ的に大きい慶応高校の甲子園優勝

どうも。

いやあ、「優勝した暁に書こうかな」とは思いつつもですね、まさかその「
優勝」が現実のものになるとは思っていなかったので戸惑ってはいるんですけど(笑)、書きますね。

慶応高校の夏の高校野球の優勝ですね。これは驚きました。

いやあ、これは、歴史に残るという、これからの高校野球、変えかねませんよ。というか、野球だけじゃなく、学生スポーツ、教育、マスキュリニティ、いろんな意味でこれ、影響あるでしょうね。

 慶応高校は僕の大学の母校の系列校です。大学時代はですね、はっきり言ってしまえば、あの学校自体、あまり好きではありません(笑)。行った時期が最悪だったことが大きいんですけど、1989〜1992年という、バブルと社会主義崩壊なんていう「保守万々歳!」みたいな空気プンプンだった時代に、財界大物が多いような大学でしたから、僕みたいなロック少年には非常に辛い場所だったんですよ(笑)。限にあの時代に、竹中平蔵みたいな存在、産み落としていたわけでもあって。その側面に関して言えば未だに大嫌いだし、あの時代があったからこそ、その後の僕がグランジとかヒップホップ聴くようになったという、「反骨のための仮想敵」だったことも確かです。この件に関してはまた時間をかけて語っていこうとも思っています。

ただ、その反対に、進歩的な側面もあったことも事実です。僕の入っていた「アメリカントップ40研究会」というのは、あの大学のマジョリティに染まらない面白い人たちの集まりであそここそが僕の「母校」だったし、学部増設などで面白い試みしてたのも確かです。

そして、そこに「野球部」という存在もありました。大学の野球部からして不思議だったんですよね。別に特別な特待生も取らず、6大学で見ても、出身校がおよそ強そうに見えない、地方の進学校がメインなんですよ。それなのに東京6大学で優勝とかしちゃうわけです。あの時代、法政にのちの名球会入る稲葉とかいた時代にですよ。象徴的だったのは、1991年の優勝メンバーに二浪した人が3人もいた。それくらい、学問重視の方針なんですよ。それなのに、「なんでかな」とか思うわけですよ。

ただ、その当時はまだ、あの野球部は桐蔭学園に頼ってましたけどね。僕とは入れ違いなんですけど、高橋由伸がその象徴的な選手で。内部の慶応高校は大学野球では全然戦力にならない存在だったんですね。

 ところが、それが変わりだしたのが1995年のことでした。その年に夏の神奈川県大会で準優勝したんですよ。この時のエースがのちに西武ライオンズの外野で活躍した佐藤友亮って人だったんですけど、そこから慶応高校、復活するんですね。

で、その時に「頭髪自由」「無理な練習はしない」「エンジョイ・ベースボール」のことは聞いていて「へえ〜、あの学校にもいいとこあるじゃん」と思いました。内部進学者、全否定ではないものの全体としては好きじゃなかったので(笑)、そこは好感持ちました。

で、2004年だったと思うんですが、選抜高校野球に出まして、2008、2009年に全盛期が一回あって、2008年の夏はベスト8行ってるんですが、その当時に僕、家が横浜スタジアムの歓声が聞こえるくらいの近さに住んでいたので、慶応高校の神奈川予選、見に行ったりもしてたんですよ。それくらいには親しみがありました。その時も頭髪自由で、エンジョイ・ベースボールに関してマスコミで結構、言及されていたりもしました。

 だから正直、「なんで今頃、あの高校の髪型がメディアに騒がれてるんだ?」と思っていたわけです。しかも慶応が勝つたびに飛び出すネタがそれなわけでしょ。不思議だなあと思ってたんですよ。そりゃ、100年の歴史を持ってしても、まだ丸刈り強要すること自体、夏の暑さ対策くらいにダメだなとは思っていたんですけど、それにしても、その点にばかり話がやけに集中するなと思っていたんですね。

で、この人の写真見て、「メディアがなぜ、そこまで騒いでいるのか」、わかった気がしたんですよね。

この丸田くんですね。トップバッターの。これ、見て衝撃でしたね(笑)。

これ、「たかが見た目、されど見た目」でして、女の子には間違いなく人気出るでしょう。しかも、予想だにしないところからいきなりジャニーズとかKポップスターみたいな少年が出てきたとしたら、そりゃ驚きとともに騒ぎたくもなりますよね。

 しかも、そうでなくとも「慶応ボーイ」というだけで伝統的に爽やかなイメージと結びつけたくなるところを、この風貌と、日焼け止めしたイメージでしょ?しかもインタビュー読んだら「日焼けは肌の病気」みたいな、すごく理路整然としたこと言ってて。僕の家だと、妻が白人で息子もかなり肌が白いのでサンブロックは「白人にとっては皮膚癌がかかってるから」とかなり口うるさく言われてるんですけど、それだけになお説得力がありました。

 で、女の子にはモテるは、「野球やってても、これだけオシャレにできるんだ」とプレーする少年たちも思えるはで、いいことしかないんですよ。まあ、反発もあるかとは思うんですけど、それって僻み根性の裏返しでしかないわけでね。

 しかもタイミングがいいんですよ。Kポップでアジア男性の非マッチョな美的感覚が国際的に評価され、大谷翔平氏なんかもそのイメージで見られてるでしょ?で、映画では「バービー」がトキシック・マスキュリニティを皮肉った表現して、それがまたウケてて。「少年美」ということでいうならジャニー喜多川問題もこの夏、ありましたよね。そういうタイミングで、日本社会においてもっとも、「上から押さえつけられた男らしさ」の象徴でさえあった高校野球で、その概念を揺らがしかねない存在が出てきた、というのは非常に大きなことだと思うんですよね。

 これしかも、優勝しちゃったでしょ?これはこの後、頭髪自由化に動く高校、必然的に一気に増えるでしょうね。だって、丸刈りを強制するだけの正当性を指導者が失いますもん。しかも決勝なんて時の運もあって、あの仙台育英に圧勝までしたでしょ。しかも、球場全体が応援する形で。なんか「ベストキッド」でダニエルがジョニー倒すような不思議な高揚感というか。ああなってしまっては、古いやり方にこだわるのは、悪い意味で昔のコブラ会みたいでもあるし、いいイメージがなくなるんですよね。

 その意味でこれ、単なる野球の大会超えた社会的インパクト、そうとうありますね。で、おそらくこの先、大学野球も人気になるでしょう。ハンカチブームのあとの早稲田、超えるんじゃないですか?なんか「アイドルの質」が違う気がするし、別のイケメン選手も付随して出てきそうな気もするので。

 そういう意味でこれ、面白い現象だと思います。



















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