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沢田太陽の2023年上半期ベスト・シングルズ Top10

どうも。一昨年から、上半期ベスト・アルバムをやらない代わりに、上半期ベスト・シングル図を発表してるんですけど、今年もやります。6月末まで待つのがかったるいので、そろそろ上半期ベスト・アルバム出してくるメディアも出てきてるし、いい感じで10曲思いついてるので今日行きますね。

上半期の10曲、僕はこんな感じです!


はい。好きな曲ばかりで個人的にはすごく楽しいんですが、早速10位から行きましょう。

10.Cupid/FiftyFifty

10位はFiftyFifytyの「Cupid」。もう世界的に大人気の曲ですけど、これに関しては僕が能動的に好きになったというよりは、周囲の環境から好きになっていった曲ですね。ここ最近のKポップって、相変わらずの昔からの2000sのR&Bをハイパーにした路線か、トラップにトライするものか、あるいは乙一減らしてすっきりしたタイプのものかの3つに分かれてる気がするんですけど、その3つ目の代表的な曲ですね。New Jeansも近いアプローチやってると思うんですけど、こっちの方がサビに入ってからの展開も盛り上がりでつかむんですよね。最後の2小節で高くなってファルセットになるところとか胸がキュンとなるというかね。肩の力抜いて歌ってるようで情感はすごく強いというか。この曲に関しては本当に、久々に「曲とヴォーカルの勝利」と言える曲だと思います。

9.Padam Padam/Kylie Minogue

9位はカイリー・ミノーグの「Padam Padam」。カイリーのこと、デビューの頃からもう35年くらい見てるんですけど、まだビッグ・ヒット出せるの、脱帽ですね。あの「ユーロビートのプリンセス」という、いかにも旬が短そうなポジションにいたアイドルが55歳に成ってもエッジィなイメージを持ったまま刺激の強い曲出せちゃうんですからね。今日のエレクトロ・クイーンの路線だって、かれこれ20年は変わらずやってて、飽きられてもおかしくないはずなのに、もう決めフレーズ一発、「えっ、パダン、パダンって・・」と、唐突なおフレンチ・イメージだけで強引にリスナーの脳裏に忘れられない呪文のような言葉刻ませるんだから、すごい威力です。ある意味、マドンナ上回ってると思います。ちゃんと正当に評価されていいと思います。

8.Fairlies/Grian Chatten

8位はグリアン・チャッテンの「Fairlies」。全体的に女性が占めるチャートになってしまっているので、ここはひとつ生きのいい男性のロックバンドでも、と思って色々模索してみたんですけど、なんかどれも物足りなく、結局、フォンテーンズDCのグリアンのソロになってしまいました。ロックンロールをやらせたら、おそらくは現在、正統派のロックではアークティック以降最高のバンドであることはまちがいないフォンテーンズですが、その頭脳、グリアン、バンドという形を離れてもやはりただ者でないことは、この曲一曲聞いて僕は確信しましたね。ロックンロール・バンドのフォーマットを離れても、オルタナティヴ・フォークのシンガーとしても十分やって生きていけるだけの潜在能力というか、馬力というか。ちょうどこれがアップされる頃にソロの第1弾アルバムも出ますが、今からすごく楽しみです。

7.Norwegian Wood/Picture Parlour

7位はピクチャー・パーラーの「Norwegian Wood」。このバンドはですね、僕ツイッター上では結構話題にしてまして。と言いますのは6月19日にですね、NMEがこの曲でこのバンドがデビューする日にいきなり表紙にしたんですよ。これをめぐり、「なんで実績も何もないバンドが表紙なんだ。なんなんだ、そのコネは!」と大騒ぎになったんですね。実際、デビュー曲が初のサブスク・エントリーでもあったわけですから。ただ、僕はNMEがそういう仕掛けに動いてくれたことがただ嬉しくて素直に聞きました。曲も素晴らしいと思います。このバンドはキャサリン・パーラーという女の子をメインにした女3男1のバンドなんですけど、キャサリンの呪術的かつパワフルなヴォーカルにかなりのカリスマ性ありまして、それでライブやるたびに話題だったみたいですね。それで実際、マニックスで有名なマネージャーがついて、この人はWet Legでも当てた人なんですけど、そのバックアップでのデビューとなります。アルバムはまだだいぶ先でしょうけど。

6.Nothing Matters/The Last Dinner Party

そして6位ですが、これ、イギリスの女の子の新人バンド、ザ・ラスト・ディナー・パーティ。ピクチャー・パーラーの前に、実は彼女たちの方が結構話題になってたんですよね。彼女たちはイギリスのロンドンの大学生の女の子たちが作ったバンドなんですけど、6月の初めくらいだったかな、たまたま知って、このサムネの写真見て、「これはすごい華があるな!」と思って見た目でベタ惚れ(笑)。曲も時代のサブカルな女の子たちが求める雰囲気にぴったりで。イメージが「Picnic At hanging Rock」「Virgin Suicides」といった古典的なガーリー・ミステリー・ファンタジーにケイト・ブッシュまぶした感じで。「よく考えられてるなあ」と思って調べたら、なんともういきなりメジャー契約で、事務所がQプライムです。メタリカとかレッチリ、イギリスだとミューズでおなじみの!もう、こういうところがガールズロックをビッグにしようと動き始めているんだなと、この事実で思いましたね。そんな彼女たちはグラストでも朝の早い時間に出演し評判になってました。これがアップされる頃に第2弾シングルが出ますよ!

5.Candy Necklace/Lana Del Rey feat Joh Batiste

5位はラナ・デル・レイ。ニュー・アルバム「Did YouKnowThat Theres A Tunnel Over Ocean Blvd」はトータルのバランスこそ取れてないものの、そのかわりキラーチューンは目白押しで、タイトル曲、「A&W」と迷うとこでもあったんですけど、ラナの耽美性が久々に堪能できる儚いピアノ・バラードの「Candy Necklace」にしました。今回のアルバム、フォークやヒップホップに混ざって、従来からの彼女らしいチェンバーポップの部分は映画のサントラ仕事でも強みを発揮するジョン・バティスティを迎え、よりシネマティックな流麗さが添えられてるんですけど、これは本人たちの予想をも超えた強いケミストリーだったんじゃないかな。今後も共演期待したいです。あとジョンもそうだし、ソウルフルなハーモニーのコール&レスポンスが聞かれる「The Grants」もそうなんですけど、今回のアルバム、ラナが積極的に黒人アーティストと交わって作った作品でもあります。

4.Ella Baila Sola/Eslabon Armado Y Peso Pluma

4位は「エヤ・バイラ・ソラ」。この4月から6月にかけて、突如世界を席巻したメキシコのカントリー、「レジオナル・メヒカーノ」の中の一ジャンル、コリドの大ブーム。この曲はその中でも最大のヒット曲でSpotifyのグローバル・チャートで1位に輝き、ビルボードのシングル・チャートでもトップ5に入りました。とにかくこれ、インパクトは絶大で、tik tokで練習動画に溢れたアコースティック・ギターによる哀愁のイントロから、曲の間中、プッパパプッパパなり続けるトロンボーンのリフ。そこにいかにもなフラメンコみたいなラテン調のメロディ。これだけ、ほんの少し前まで、およそヒットチャートの上位で聴けるとは思わなかった要素が一気に盛られた曲聞いたのはなかなかなく、それゆえカルチャー・ショックも大きかったし、偉業を成し遂げたことに素直に拍手も送りたくなりました。そして、一回ハマるとかなりクセにもなります。ヴォーカルのマレット青年、ペソ・プルーマ、来週末にデビュー・アルバムが出ますよ。

3.Death/Melanie Martinez

3位はメラニー・マルティネスの「Death」。これは今年のサプライズ・オブ・ジ・イヤー候補でしたね。アルバム「Portals」のリリース当初、発売日がboygeniusと重なって、その1週前がラナだったのに、ふた開けてみたらboygeniusよりも売れて、ラナに対しても検討してましたからね。このメラニーって、すごく実力はあるのに、ロリータとオカルトが一縮クタになった趣味の特異性ゆえにキワモノ扱いする人が多く、なかなか真っ直ぐに評価されない人ではあるんですけど、今回はその「背徳性」をポップに、かつ、すごく生命力あるメッセージ性に変えて、彼女のファン層に多そうな、自分たちをルーザーだと思っっているタイプの人たちを鼓舞する方向にうまく持って行ってますね。曲もかなりインディ・ロック寄りになって僕の好む方向性になってきたし、今回のこの大ヒットで、この先、さらに楽しみになってきました。

2.Show Me How/Foo Fighters

2位はフー・ファイターズの「Show Me How」。アルバム「But Here We Are」は全曲がテイラー・ホーキンスやデイヴのお母さんと、なくなった2人に捧げられた、喪失感と悲しみ、そしてそこからの力づう良い決意表明に溢れた感動的なアルバムでしたけど、一番涙腺誘ったのはやっぱこれですね。これはデイヴのお母さんに向けた曲だと思うんですけど、そこでテイラーの追悼式で成長した姿と美声を轟かせた長女ヴァイオレットのレコード・デビューとなるデュエットですよ!もう、デイヴだけじゃなく家族としての意思表明というか。息子、孫娘揃って「I WIll Take Care Of Everything」って言われるとグッとしますよねえ。デイヴの気持ちがものすごく真摯にエモーショナルだから、それに伴って曲が自然と洗練されてるのも光ります。あとヴァイオレットには、ここから素敵な音楽キャリアを築いてほしいです。

1.Pearls/Jessie Ware

そして1位はジェシー・ウェアの「Pearls」でした。この曲はすごく、大人の女性を力強く鼓舞させるものがあって好きですね。「パールが落ちるまで揺れてましょう」ってフレーズが、人生をライズアップしていく女性の姿のようでも、本来の歌の意味で言って、かなり大胆にセクシャルな大人の表現でもあり。粋なダブル・ミーニングだと思います。それが、これまで実力がありながらもう一つ地味で、年齢も30代後半と決して若い方ではないジェシーが、ようやくアーティストとしての地固めをし、これからの音楽界を力強く牽引していこうかとするタイミングで出たのもすごく象徴的というかね。なんかすごく、「人間いつからだって大丈夫」っていう勇気を与えてくれます。この曲の入ったアルバム、70sのディスコやラテン・ソウルのマナーをUKソウルのフィルターを通して表現してるようなところがありますが、これもすごくビヨンセの「ルネッサンス」に対してのイギリスからの回答みたいな趣があって、そこも気に入っています。

 ここから今年も後半戦ですが、果たしてどうなるか。


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