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ウィーケンドとチャイルディッシュ・ガンビーノの新作が同時に出る週

どうも。

音楽、今週、豪華ですね。

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ウィーケンドと、数時間前に突如出ました、ドナルド・グローヴァーのチャイルディッシュ・ガンビーノ。この2人の新作が同じ週に出る。これはなかなか、ロックダウンの中に暮らす人たちにとっては嬉しいものですよ!

そして、これ

どっちも、かなり良いです!

ちょっと、そのあたり、語っていこうかと思います。

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まずウィーケンドですが、この「After Hours」ですね。彼の場合、ヒット・アーティストになってもうだいぶ時が経ちますけど、勢い、インディ時代の三枚のEPを延々と引き合いに出されて語られる傾向がありましたよね。僕は売れてからの彼の曲は、ヒットを量産するアーティストとしては十分上質だと思っていたので、あまり気にしてないんですけど、気にする人はかなりしている。そんな印象でしたね。

でも、今回は、そういうインディのときの彼を好む人でも、これ、いけるんじゃないかな。もともと、ティアーズ・フォー・フィアーズとかスージー&ザ・バンシーズをサンプリングで使うくらい、80sに縁がある人でしたけど、今回のアルバム、

最後の優れた80sリバイバル・アルバム

この印象がありますね。ただ、同じ80sリバイバルでも、これ、シンセの使い方がかなり凝ってます。

この、「マイアミ・バイス」のテーマ曲にすごく感じが似てるんですよ。ヤン・ハマーが手がけたシンセサイザーのこのインスト、1985年に全米1位にもなってますけど、

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「マイアミ・バイス」というと、ポップ・カルチャー的にいうと、「肩パッドのスーツ」。これがバブル前夜の感じを漂わす、80s後半のファッションの走りだったものですが、ウィーケンド、今回、意識して同じようなスーツ、着てるでしょ(笑)。これ、かなり意図的だと思います。

あと、今回のアルバム、「ヴェイパーウェイヴだ」という指摘もよく見ますが、そこも意識しての、「2020年代なりの、レトロでもあるアーバン」の感じをすごく出してると思います。もともと、「マイアミ・バイス」自体もヴェイパー・ウェイヴとの共通点、指摘されてる文、検索なんかかけるとよく出てくるものでもあるんですよね。

今回のアルバム、「マイアミ・バイス」もですけど、これも思い出しましたから

マイケルJフォックスの1988年の映画「ブライト・ライト・ビッグ・シティ」。これに使われたブライアン・フェリーの「Kiss And Tell」。この映画、マイケルJフォックスの中で異色の暗さのある映画なんですけど、ウィーケンド本来のメランコリックなテイストで、レトロでアーバン・・っていうと、なんかピッタリでしょ?なので、面白いとこ、ついてきたなと思います。

あと、チャイルディッシュ・ガンビーノ、この名称、本当に、コメディアンの頃からテレビでずっと見てきた人にとっては馴染めない名前なんですけど(笑)、おそらくこの名義での最後のアルバムになるのでは、と言われてるドナルドの今作なんですが

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はい、ジャケ写が真っ白すぎて、反映されないんですが(笑)、その名も「3.15.20」というアルバムを数時間前に出しました。サイトで先行して出てたようなんですが、僕は配信開始まで待ってたので、その時点では聞いてません。

で、このアルバムなんですが、まだ1回しか聞いてませんが

遂にやったなあ、ドナルド!!


そう、快哉をあげたくなるアルバムです。

これ、ズバリ

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去年のソランジュの「When I Get Home」とタイラー・ザ・クリエイターの「IGOR」。この二枚が示した「エクスペリメンタルなモダン・アーバン路線」を、分かりやすい曲に落とし込んだ、「実験の後の、あるべきポップ・アルバム」だと思いましたね。

しかもそれを、単に1曲1曲がポップなだけでなく、アルバム全体の中で「その一部」として機能するように作ってもある。その意味で、これ、かなり高度のポップ・アルバムです。

あと、ヴォーカル比重がより上がってるのも良いです。ドナルドの場合、この前作の「Awaken My Love!」で「彼なりのファンカデリック」というか、メロディックな70sファンクに行って、ラップ、ほとんどなかったじゃないですか。あれ聞いた時に、「この人、ヴォーカルの方にシフトした方がいいじゃん」と思ったんですけど、やはり、そっちの方向が強まったというか。正直、ラッパーだと、俳優やってなかったらそんなにすごいとは思えなかった(まあ、「This Is America」はありますが)ですからね。ただ、根本的なサウンドや曲に対しての臭覚の良さと、時代の先読みのうまさ。これに関してはやはりかなり非凡だし、彼の中で目覚め始めていたメロディメイカーやシンガーとしての才能。これがうまく結びついた瞬間が本作で実った感じがありますね。

ただ、クラシックの曲みたいに、数字を曲名にするの、あれだけは個人的に抵抗ありますね(苦笑)。今回、アルバムの曲頭のランニング・タイムが曲名になってるんですけど、好きな曲の曲名いう時に数字って覚えにくいし、愛着湧きにくいじゃないですか。僕みたいに、理系、凄い弱い人間にとっては、これは嫌です(笑)。ただ、ラジオで推し曲とか出るとも思うので、その時にはタイトルつくんじゃないかな、と予想してたりするんですけどね。じゃないと、ラジオDJも困るでしょ、これ(笑)。

ただ、いずれにせよ、この二枚、来週発表の「3カ月おきの10枚」。これには確実に入りますよ!年間ベストでも、両方とも、これは結構上に入る出来なんじゃないかと思います。

しかもタイミングがいい。コロナで外出できない中で、、人々に切実に「聞きたい!」と思わせるアルバムが出たわけですから!まだ、リリックの吟味をしてないんですけど、そこで時節柄、心を打つものでもいあれば、なおのこと刺さると思います。

別にロックダウンのこの時期じゃなくても良質なアルバムだとは思いますが、これ、今の時期に出してくれることが、、後々のいい思い出になるのではないか。そんな気もしてます。希望を持って聞きたいアルバムです。





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