見出し画像

イアン・カーティスの自殺と光州事件の勃発は40年前の全く同じ日だった

どうも、

今日の話、本当は昨日、思いつくべきだったんですが、

画像1

5月18日は、伝説のポストパンク・アイコン、ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスが自殺を遂げた日、そして、韓国で光州事件が勃発した日、これが共に40周年を迎えたんですよね。

これ、僕もさっき知ってびっくりしたんですけど、ロック好きにとって非常に大事な人、現代世界史にとって重要な日が全く同じ、1980年5月18日に起こっていようとは。

当時、僕は10歳でしたけど、さすがにこの2つに関しては知る由もなかったですね。

画像2

イアンに関しては、この日のことを知ったのはだいぶ後ですね。80年代のうちのどこか。最初は「ニュー・オーダーの前身が、知る人ぞ知るカルトバンドだった」ということから知って、実際に聞き始めたのは90sに入ってからですね。今はもう、かなり一般的になった印象ありますけど、90sの後半になるくらいまでは、ものすごいカルト・イメージあったものです。

ただ、僕の場合、むしろニュー・オーダーより入りやすかったくらい、ハマりが良かったんですよね。おそらく、僕の中で下地としてドアーズのような、サイケデリックで暗い、カリズマティックなバンドがあったからなんじゃないかと思うんですけどね。順番が逆で先にナイン・インチ・ネールズとかが好きになった後に後追いで聴いたから、というのもあると思うんですけど。

そして、イアンの存在自体が、マンチェスターという街のインディ・ロック・カルチャー、ユース・カルチャーのはじまりであることも伝説として語られるようになりましたね。

イアンへの関心は、とりわけ「24 Hour Party People」「Control」の2本の映画で高まることになりましたね。とりわけ後者で、その実情が明確に描かれるんですけど、早逝したロックのダーク・カリスマが実は公務員で、三角関係で悩んだ末に首吊り自殺する、という、後のイメージからしたら、すごく普通なものだったのがとりわけ印象深かったですね。これは決してネガティヴなイメージで語っているのではなく、むしろ逆です。「気が付かない日常の中で、イアン・カーティスのような心に闇を抱えた存在が、潜んでいて、そこから新しい何かをはじめる可能性さえもっている」という、むしろ、パンクのDIY精神に通じるものを感じたというか。

でも、そのかわり、その才能たるや、ものすごいんですけどね。シンセサイザーの電子音の無機質さを、あれだけ不気味に響かせ、苦悩や孤独の表現につなげさせた人って、その後も現れてませんし、さらにあのバリトン・ヴォイスですね。それこそさっき例に上げたドアーズのジム・モリソン以来の呪術性だと思うんですが、このケミストリーもいまだに並ぶもの、聞かないですね。もちろん、バーナード・サムナーのメロディ・センスも、ピーター・フックの単音ベースラインも不可欠ですけどね。

こんな、ダークかつインデペンデントなロックのパイオニアが、何かの始まりとひきかえに息を引き取った日に

画像3

イギリスから遠く花離れた韓国では、光州事件が勃発しました。

https://www.youtube.com/watch?v=eVd6XJlNnw8&t=82s

この動画に詳しいんですが、要はこの頃、軍事政権下の韓国が民主化を求めた運動で、結局、このときは鎮圧されたのですが、ここから、軍政権への民衆の怒りが更に強まって、結果的に1988年の民主主義復帰にもつながるわけなんですけどね。

これに関しては僕も、まさにブラジルが同じような歴史をたどっているので、すごく理解できやすいんですよ。韓国には北朝鮮、南米にはキューバの存在があって、共にアメリカが、「そうした共産国家にしないため」に、韓国なり、南米の国々をことごとく右翼独裁政権にしてしまったんですよね。そこで、左翼の学生とか活動家が多数弾圧に遭い、「それじゃ、左翼独裁政権と、やってること、変わらないじゃないか」という社会矛盾も生み出し、それが韓国でもそうですし、ブラジルでもいまだに爪痕残してますね。

画像4

韓国の場合は、長きにわたり独裁者だった朴正煕そのものは、「韓国の経済、インフラを近代化させた」という意味で評価もされていたりするんですけど、その朴正煕が暗殺された後にクーデターで大統領になった全斗煥がとにかく悪党というか、この光州事件でも敵役です。この光州事件でも弾圧で多くの死者が生まれたし、この後の政府の検閲行為も激化し、それが民衆をさらに怒らせることになります。

そんな甲州事件に関しては韓国のポップカルチャーでも取り上げられることが多く

今年のオスカー受賞映画「パラサイト」でも主演だったソン・ガンホが主演した「タクシー運転手」。これが数年前の映画で、名優ガンホの中でもベストに入る名演ともいわれてるんですけど、これをはじめ、この20年くらいの非常に多くの韓国映画で題材になってますね。

そして音楽ではBTSのSUGAが、ソロ名義のこの曲で光州事件に関してラップしてますね。

そして聞いた話だと韓国では、今週から光州事件から40年ということで、大々的にテレビでも特集が組まれてるといいます。あの国の人にとっては、近代史的にすごく意味を持つものなんですよね。

最近でも韓国は朴正煕の娘の朴槿恵が大統領になって、かなり右、保守よりの政権になったあとに、かなり進歩的な左翼の文在寅政権になってたりと、右翼と左翼の対立が強い状況で、それが光州事件を人々に思い出させたりもして。そういうところもブラジルに似てるんですよね。元軍人の極右バカ大統領のボウソナロが、進歩的なルーラ、後継者だったジウマの労働者党政権追いやって、ボウソナロがバカ過ぎるから、また対立が強くなって、とね。

日本は幸いにして、反共軍事国家にさせられずに、独自に平和に経済国家として成長してきてバブルの頃なんてフワフワしてたものですが、その分、失われたものも多く、そして今があるというか。そういうところでも考えさせられます。

とりあえず、イアンと光州事件は同じ日だということで、改めて。












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?