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2010年代オスカー作品賞ノミネート作品 Fromマイ・ワーストToマイ・ベスト その1 88位〜11位

どうも。

今度の日曜がオスカーなんですけど、その前に、今日と明日でこういう企画、やりましょう!

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はい。オスカーの作品賞、Best Pictureとも言うんですけど、コレに関して、

2010年度から2019年度までのオスカーの作品賞にノミネートされた、全88作品にランキングをつける!

これをやってみたいと思います。

幸いにして。この88作、全部見れてます。せめて、こういう企画にこそ、こうした蓄積を活かしたいじゃないですか(笑)。いわば、普段、アルバムの企画でやっているFromワーストToベストのオスカー版なんですけどね。話逸れますけど、本家FromワーストToベストも今月下旬に1つ、やりますよ。

ただ、僕の場合、映画の趣味は音楽のそれよりバランス取れてる自信も、批評眼もあるとは思っていないので、今回、Fromマイ・ワーストToマイ・ベストと言う言い方にしてます。なので、「これはおかしいじゃないか!」なんてことは言わないでくださいね。今回の場合は趣味性が強いことは前もって言っておきます。

では、ワーストの88位から81位までを見てみましょう。

88.American Sniper (2014)
87.Les Miserables (2012)
86.Extremely Loud (2011)
85.The Revenant (2015)
84.The Kings Speech(2010)
83.Darkest Hour (2017)
82.Lincoln(2012)
81.Ford V Ferrari
(2019)

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はい。ワーストはクリント・イーストウッドの「アメリカン・スナイパー」。僕ですね、日本だと非常に言いにくいんですけど、イーストウッド、嫌いなんですよ(苦笑)。なんで、あんなに評価されるのか、さっぱりわからなくてですね。映画製作を90にも届こうかという年齢でやってることはリスペクトするんですけど、昔から、作品によって「意味もなく暗い」感じとか扇情的な演出とか好きじゃなかったんですけど、2010年代は彼の中の右翼趣味とミソジニーがすごく色濃くなって、「ヒーローに楯突くやつは俺が許さん」みたいな映画撮りだしたでしょ。あれがもうダメで。あと、「なんでこの人がMeeTooの対象になってないの?」と思えるくらい、女性にだらしなさすぎの私生活もちょっとなあ・・というのもあるし。訴えられてないの、不思議ですよ。このデケイドの彼の映画って、これしかBPのノミネートがないんですけど、なんでキネマ旬報は彼の映画を延々年間ベストの上位に入れ続けるのか。あれ、ハッキリ言って謎過ぎます。そんな傾向、僕の住んでる国でも存在しません。

あと、87位と84位にトム・フーパーの映画入れましたけど、この人も苦手ですね。なんかすごく「こびた映画」作る印象があって。映画監督に必要な作家性みたいなものが、この人からは感じられなくてですね。そうしたら、最新作の「キャッツ」でとんでもない大コケになってしまって。あれ、どうしちゃったんでしょうね。ゴキブリの集団ダンス、観衆が見たいとでも思ったんでしょうかね。

あと、85位のイニャリトゥは、「あなたともあろうお方が、なんでこんな映画を!」というガッカリ作品でしたね。僕、レオナルド・ディカプリオって俳優として割と好きで、基本、彼の作品はほとんど見てたりするんですけど、この個人プロモーション・ビデオみたいな映画はやりすぎだな、と思いましたね。

ただ、個人的に「好きじゃないな」と思う映画が並んだのは、このくらいです。あとは、「普通以上」には好きなので、ご安心を(笑)。

では続けていきましょう。

80.The Post (2017)
79.Argo(2012)
78.Dunkirk (2017)
77.Hell Or High Water (2016)
76.Big Short (2015)
75.Captain Phillips (2013)
74.127 Hours (2010)
73.Winters Bone (2010)
72.Bridge Of Spies (2015)
71.Lion (2016)

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ここに80位と72位にスピルバーグ作品、続いてますが、他意はありません。彼、この10年で4回ノミネートされてるんですよね。その割に、振り返ったときのインパクトがもうひとつかな、というのはあります。トム・ハンクスがナイスガイになりすぎてるのと相乗効果になってるところがあるかもしれません。

あと「アルゴ」は過大評価かなあ。あのとき、本当は問題があったのは「ゼロ・ダーク・サーティ」だったのに、中東問題の煽りを受けてベン・アフレックが監督賞ノミネートから外されて、それに対してのシンパシーでオスカーまで取っちゃいましたけど、今見てそんなに面白いポリティカル・スリラーではないと思います。

70.Joker (2019)
69.The Martians (2015)
68.True Grit (2010)
67.1917 (2019)
66.Arrival (2016)
65.Dallas Buyers Club (2013)
64.Jojo Rabbit (2019)
63.The Kids Are Alright(2010)
62.Bohemian Rhapsody (2018)
61.Beasts Of The Southern Wild (2012)

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66位に、日本題は「メッセージ」だった「Arrival」。これ、SFファン刺しまくって、大人気でしたよね。僕、SF心があまりあるとは思えないのでこの順位なんですけど、それプラス、監督のドゥニ・ヴォルヌーヴが「SF監督」とカテゴライズされるのがあまり嬉しくなくてですね。彼、ジャンルに関係なく、素晴らしい映画を作る才人なので。そのあたりに関しては、土曜に書く番外編でもう少し詳しく書きますね。

あと「1917」「ジョーカー」と今年のオスカーの目玉映画がここに並んでますけど、ここに僕の、今年のオスカーに対しての期待値の本音が露呈されていますね(苦笑)。ホント、この2つよりいい映画、もっとたくさんあったんだけどなあ、今年。


60.American Hustle (2013)
59.Amour (2012)
58.Three Billboards Outside Ebbing, Missouri(2017)
57.Inceptions (2010)
56.War Horse (2011)
55.A Star Is Born (2018)
54.Vice (2018)
53.Get Out (2017)
52.Green Book (2018)
51.Hidden Figures (2016)

このあたりまで行くと、基本、「好き」な映画ですね。多少、ツッコミどころがあるので、若干、順位下がったところはあるんですけど、基本、好意的ですね。

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たとえばこの58位の「スリー・ビルボード」なんて、作風があまりにもコーエン兄弟に酷似してなかったら確実にもっと上だったはずです。少なくとも、フランシス・マクドーマントの演技は、この10年の主演女優賞ではベストのものでしたからね。

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53位の「ゲット・アウト」も、もともとブラック・ムーヴィー・ファンの僕としては大歓迎ですよ。この映画自体もよくできてると思うし。ただ、監督のジョーダン・ピールのメディア駆け引きみたいなところは、ちょっと引っかかるんですけどね。自分をビッグに見せようとしすぎてると言うか。この年代のベストな黒人監督では、少なくとも僕の中ではないです。むしろ、作りはいかにもな中規模映画なんですけど、タラジPヘンソンを中心に、差別に毅然と立ち向かって、自分のできる仕事で才能を証明し世を変える契機を作った黒人女性たちを描いた51位の「Hidden Figures」(邦題は悪名高い「ドリーム」)の方が上になったのも、そうした気持ちゆえかもしれません。

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ただ、この54位の「バイス」は、見たときよりも今のほうがジワジワ来てますね。やっぱり現在のトランプ政権に代表される、おバカ政治家が世を混乱に陥れる今日の有様見てると、「やりすぎ」ではあるんだけれど、これくらいキツい風刺は必要なのかな、とは思いますけどね。

50.Fences (2017)
49.Moneyball (2011)
48.Midnight In Paris (2011)
47.Hugo (2011)
46.The Imitation Game (2014)
45.Manchester By The Sea (2016)
44.Roma (2018)
43.The Descendant (2011)
42.The Theory Of Everything (2014)
41.The Irishman (2019)

ここも基本、好きな映画ばかりですね。

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この46位の「イミテーション・ゲーム」は、僕が通常、上位に入れないパターンのものにしてはハート掴んだので、比較的上に来ましたね。僕、エンタメ性の低い、堅いイメージの歴史上の人物に関して言うなら、「だったらドキュメンタリー見るよ」というタイプ(政治家の伝記映画がのきなみ低いのはそれが理由です)なんですが、このアラン・トゥーリングの伝記は焦点を当てているのが功績ではなく別のところにあるし、さらに、やっぱり、衝撃のエンディングですね。あれは脚本上、最高にうまいと思いました。

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あと42位の「博士と彼女のセオリー」という、ビッグバン・セオリーみたいなタイトルになってしまったホーキング博士の伝記なんですけど、これも僕は「ロマンス映画」のカテゴリーとして、すごく好きな映画です。フェリシティ・ジョーンズから「I loved you(愛してたけど・・)」と言われたあとに、エディ・レッドメインが目を滝にして大泣きする演技。あれ、僕も映画館でボロ泣きしましたからね。

あと、47位と41位にスコセッシ作品。さらに、コレより上にもう1作。やはり、すごい監督だなと思いますね。

40.Black Panther (2018)
39.Django Unchained (2012)
38.The Artist (2011)
37.The Favourite (2018)
36.Spotlight (2015)
35.Parasite (2019)
34.Grand Budapest Hotel (2014)
33.Selma(2014)
32.Hacksaw Ridge (2016)
31.Philomena (2013)

ここもいい映画、並んでると思います。ただ、作品賞が2つある割に、作品として地味な感じがするのは、ドラマ性で受けた作品がゆえかな。それこそ、僕の好みがちなところではあるんですけど。

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たとえば、この2011年度の作品賞の38位の「アーティスト」。これ、瞬間風速的にウケて、その後に語られる印象がないんですけど、これ、「無声映画からトーキーへ」というのと、「ネットの時代についていける人、行けない人」の現代をダブル・ミーニングで風刺した映画みたいで着眼点、面白かったんですけどね。あと、これ、実はプロットラインが「俺たちニュースキャスター」にソックリなのも個人的にはツボでした(笑)。

36位の「スポットライト」も作品賞なんですけど、これも本当に地味な、でも、非常に根気の必要な新聞社の捜査を淡々と克明に正確に描いた力作でしたね。

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あと32位の「ハクソー・リッジ」。これは同じタカ派マッチョ野郎のメル・ギブソンなのに、これは意外なまでに掴まれましたね。戦争映画史上、もっとも非マッチョな、でも勇気は人一倍ある、「武器を持たない兵士の物語」。これはうまいとこついたなと思ったし、今、必要な観点かもしれません。

30.The Help (2011)
29.Marriage Story (2019)
28.Lady Bird (2017)
27.Life Of Pi (2012)
26.Gravity (2013)
25.Tree Of Life (2011)
24.Toy Story 4 (2010)
23.Black Swan (2010)
22.The Shape Of Water (2017)
21.Whiplash (2014)

ここもすごく好きな映画ばっかりですね。

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この30位の「ヘルプ」は今見ると伝説ですね。ストーリーはちょっと雑なんですけど、女優陣の演技がそのウィーク・ポイントを埋めてあまりあるというか。

これでオクタヴィア・スペンサーが助演女優賞受賞してますけど、同じカテゴリーにノミネートされたジェシカ・チャステインの演技は受賞の価値十分あったし、それにましてヴァイオラ・デイヴィスですよ!この映画で彼女が主演女優賞をメリル・ストリープのサッチャーに譲ってしまったのは、この10年で最大のミスジャッジだと思ってます。まあ、ヴァイオラも、主演のエマ・ストーンもこの後オスカー受賞したし、もっと言うとシシー・スペイセク、メアリー・スティーンバーゲンとオスカー経験者がいて、伝説の黒人女優のシシリー・タイソンまで。そう考えると、すごいですよね。

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あと26位の「ゼロ・グラヴィティ」も好きでしたね。これ、ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックの2人だけのSFというコンセプトも良かったんですけど、ここで描かれる事故、ものすごく、いつ起こってもおかしくないリアリティがあって、それが静かに描かれるところもさらに現実味があって。もう、宇宙映画って未来を描くものでは必ずしもないんだな、という思いも起きましたね。アルフォンソ・キュアロンだったら「ローマ」よりはこっちです。

20.Mad Max  Fury Road(2015)
19.The Fighter (2010)
18.Nebraska (2013)
17.BlackKKKkansman (2018)
16.Phantom Thread (2017)
15.Brooklyn (2015)
14.Once Upon A Time In HOllywood (2019)
13.The Wolf Of Wall Stree (2013)
12.Her (2013)
11.Birdman (2014)

もう、このあたりは、本当は全作語りくらい大好きな映画ばかりです。それがかなわなかったので、せいぜい、写真だけでもと思い、上の写真に使いました。スパイク・リーも、ポール・トーマス・アンダーソンも、アレクサンダー・ペインも語れないなんて!

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20位の「マッドマックス 怒りのデスロード」は快作でしたね。30数年、冷凍保存したものを蘇らせたようなカタルシスがあって。ずいぶん久しぶりの実質続編で、出演者も変わってるのに話が違和感なく続いているような感じで。敵の異様なファッション・センスもスリップノットみたいになってて(笑)。あと、フュリオサ筆頭にしたフェミニズム映画としての進化も、話がただの「行って、帰る」だけのものなのに、そこにものすごいドラマを詰め込めているとことか。これ、ジョージ・ミラーの執念の集大成だと思います。

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15位の「ブルックリン」。コレも好きだなあ。シアーシャ・ローナンが、「人間ドラマ」演じさせたら現在最高の女優であることを証明しはじめたのはここからですね。しかも、決して重すぎも、軽過ぎもせずに見せるところがね。

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2010年代のスコセッシなら、これですね。「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」。これ、うまい風刺コメディですね。すごくスコセッシらしい、殺伐かつケイオティックな感じがして。レオはこれでオスカーとるべきだったと今でも思ってます。あと、嫁さん役がマーゴット・ロビーで、このときはじめて彼女を見たんですよね。ものすごい早い大抜擢でしたね。14位にワンハリを並べたのは、もちろん意図的です(笑)。

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これもトップ10入れたくてたまんなかったんだけどなあ。12位の「Her」。コンピューターのOSに恋をする、ナードな男のシュールなロマンス。いかにもスパイク・ジョンズっぽいアイデアなんですけど、それをホアキンが見事に演じてましたね。ホアキン、ジョーカーよりは絶対こっちなんだけどなあ。

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これはトップ10に入れたかったを超えて、一度はトップ10に実際選んでいた11位の「バードマン」。これも大好きなんですよね。これ、スーパーヒーローとリアリティショーの2つを風刺して、そこに「カムバック劇を図ろうとする元人気者」と、そこまで現代のテレビの世界でよく見がちなものをうまく風刺してね。でも、それを突き放すでなしに微笑ましく、過去の過ちや現在の七転八倒する姿を描きつつ、でも微笑ましく、夢持って見られる楽天性。好きですね。イニャリトゥはこれがベストだと思うし、マイケル・キートンの本当にカムバック作になってしまった現実のオチまで見事でした。

では、明日はトップ10,行きます。






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