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2024年7〜9月の、惜しくもベスト10枚から漏れたアルバム

どうも。

昨日の音声投稿でも予告していますが、今日から2日間は7月から9月のアルバム10選をやります。

いつも20枚選んで、10枚から漏れたやつも紹介してます。どっちから紹介するかはその都度いつも違うんですけど、今回は惜しくも10枚から漏れた盤から行きます。

こんな感じでした。

はい。いいアルバムがたくさん並んでますけどね。まずは

Wild God/Nick Cave & The Bad Seeds

ニック・ケイヴ&ザ・バッドシーズの「Wild God」ですね。僕は彼ら大好きで、ある時期から毎年、年間ベストの上位に常に入れてました。今回は久々のバッドシーズ名義、それも、息子さんの死を題材にしたものからようやく外れるはずなのでかなり久々にバンドっぽいものを期待してたんですね。そうしたら、アルバムの内容そのものは芯が通ってまとまっててよかった、というか、ある時期から内容が悪いということは考えにくいプロ集団ではあるんですけど、なんかこう、ここ10数年続いていたアルバムでの神々しい緊迫感みたいなものが少し緩く聞こえたんですよね。僕の思い違いなのかもしれないんですが、いいアルバムなんですけど、若干手応え薄かった感じがしたかな。

The Future Is Our Way Out/Brigitte Calls Me Baby

続いてブリジット・コールズ・ミー・ベイビー。シカゴ地区を代表するインディ・バンドのデビュー・アルバムですね。僕は彼ら、去年から注目しててデビューEPを年間ベストにも入れたほどです。あのEPと収録がダブってることもあるんですけど、「現代版ザ・スミスmeetsエルヴィス、ロイ・オービソン」という、シックなノスタルジアを感じさせる魅惑のビブラート声の乗ったギターロックなんですけど、子のアルバムのタイミングでキラーズばりの今の時代なりのインディ・アリーナロックにまで表現広げた感じですね。やりたい方向性は去年のうちからわかってたのでそれでいいと思ったし、期待値は変わりません。ただ、もっとモリッシーっぽさに徹底してこだわってみても面白かったのかな、というのはありますけど、Wild


Cascade/Floating Points
In Waves/Jamie XX

続いてはエレクトロ2連発行きましょう。最初はフローティング・ポインツ。彼は前作でのアヴァン・ジャズの巨匠ファラオ・サンダースとロンドン交響楽団と組んだ実験作で注目されましたけど、日本では宇多田ヒカルと大傑作「BADモード」で組んだプロデューサーのイメージですよね。今回のはもうかなり真正面な、アンビエントやった時のエイフェックス・ツインみたいな正統派の文系エレクトロやってますね。メロも電子音のセンスもかっこよくて好みですが、ここから何か新しいことが始まるとか、そういうのは感じなかったかな。一方、The XXのジェイミーXX。骨太なハウスを基調とした次の基軸を感じさせて新鮮でよかったと思います。ただ、これはThe XXのメンバーのソロが出るたびにこれ言ってるんですけど、僕が聞きたいのはソロじゃないんです。いい加減、出しましょうよ、XXの新作を!

Incómodo/Tito Double P

続いてはティト・ダブルP。名前からラテン系なのはわかると思いますが、彼は去年から空前のブームになってますモダン・メキシコ歌謡「コリド」のアーティストで、このジャンル一番人気のペソ・プルーマに楽曲提供していたことで話題になってる人です。いわば「真打ち登場」だったわけで、このイメージゆえにロングヒットしてますね。ペソ・プルーマがヒップホップとかポップ畑と共演して大分一般向けに薄味になってきたところ、ティトはもう遠慮なしにトロンボーンのプッパパとアコギの情熱的な掻き鳴らしを強調した、このジャンルでのハードコアに徹した作品作りましたね。コリドのわかりやすい入門作として機能しそうな感じを漂わせています。

Am I Okay?/Megan Moroney

続いてはメガン・モローニー。ここ最近、カントリーといえば男性のイメージがついてたんですけど、女性側からも出てきています。一人はレイニー・ウイルソンといってブランディ・カーライルとかジャニス・ジョプリンとかロックに近いタイプの人がいて彼女のアルバムも全米トップ10入って話題になったんですけど、僕は近いタイミングで同じくトップ10入ってたこのメガンの方を推したいです。曲がキャッチーでわかりやすいんですよね。路線としてはケイシー・マスグレイブほどインディではないんだけど、カントリー時代のテイラーを少しケイシー側に寄せた感じで、今のカントリーの良心的な音鳴らしてますね。ちょっとメンタル・ヘルスに気を配った感じのタイトル曲も含め思想的にも共感できそうな感じもしたので気にしようと思った次第です。

WOOF./Fat Dog

続いてファット・ドッグ。今のロンドンを熱くしているバンドの一つですね。その前のサウス・ロンドン系のポストパンク、今ならThe Last Dinner Partyの輩出でおなじみロンドン南部ブリクストンのヴェニュー、ウィンドミルの人気バンドです。大所帯編成からのダンス・パンクでグイグイ踊らせるのが持ち味の彼らですけど、このデビュー作はそんな彼らの良さが引き出されたものになってましたね。ヴェニューで強くてもなぜか人気に繋がらない、Fat White Familyみたいなバンドもいるので商業面で気になっていたんですけど、全英16位ならそこも御の字。 ここを足がかりに次に繋げて欲しいですね。

No Name/Jack White

続いてはジャック・ホワイト。今回のこのアルバム、ネットでたいした宣伝もせずにパッとデジタルだけ先に出されて、ライブも小規模なライブハウスでやるなど、あえてアンダーグラウンドなやり方とってますけど、これ、ソロになってから一番いいアルバムだと思います。ホワイト・ストライプス時代のキレのいいロックンロールが戻ってきたというか。ソロになっても、時折豪快なギターチューンありましたけど、一昨年の「Fear Of The Dawn」でのプレーはちょっと大味すぎて曲として良くないななどとも思ってたりもしたんですけど、彼らしい腕っ節の強いロックンロール・ギターが曲を伴って戻ってきつつある感じはここで受けました。どうもメグ・ホワイトを失って、自分と他の演奏者とのバランスをつかみあぐねてそれで思ったような表現ができてないなと感じてたんですけど、ここらで壁を破ることができるか。

Smitten/Pale Waves

これもまたイギリスですね。ペール・ウェイヴス。もうこの人たちもシーンに登場して5年以上は経ちますよね。どうも最初の出方が「The 1975の秘蔵っ子」的なイメージで、サウンドも最初の方はまんまマティが書いたみたいな曲も目立ってたのでそれが反発に繋がったりする側面もあったり、それ以降もサウンドが一定しないなという印象があったんですが、4枚目に来てついにヘザーのやりたいことの腹が決まったのか、曲調が安定しましたね、このアルバムで。ズバリ、やってること、キュアーとクランベリーズなんですけど、デビュー当初からのゴス・メイクを考えると、本来そこにあるべき王道中の王道路線なんですよね。ようやくそこに行き着いたなという印象です。評価もこのアルバムから急に跳ね上がってよくなってるので、同じような感想持った人、多いんだと思います。これが続くといいですけどね。

This Is How Tomorrow Moves/Beabadoobee

そして最後がビーバドゥービー。本当は10枚、入れたかったとこです。チャート・アクション的には今作が一番いいんですよね。全英チャートで初の1位、アメリカでも30位台のヒットになって。その意味では躍進の1枚ではあります。ただ、それはどちらかというとセカンド・アルバムの評判の良さに引っ張られたものである気も。このアルバム、前作がボサノバやったり渋谷系っぽかったりと、ファーストでの90sリバイバルから間口色げて器用なところをアピールした一作だったところ、本人的に思うところあったか、かなりロックに戻してるんですよね。そこで彼女らしい造詣の深さも発揮して後期ビートルズ風の曲を演ったり渋いアピールもしてて、そこはすごく好感持てます。ただ、後半に聞き進むにしたがって、ロックで行きたいのか、前作みたいなバラエティに富んだ感じにしたいのか収集つかなくなって曲数が無駄に増えて終わったのがもったいない。ポテンシャル的には最高傑作作れたところがなんかから回ってしまったというか。まあ、成長を求めてのことだし、さらにポテンシャルがあるところは見えたので、僕は前向きに評価したいですけどね。



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