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フェルメール “真珠”は元々描かれていなかったらしい・・・

衝撃的な事実がわかったようです。
にわかには信じ難いことかもしれませんが、『真珠の耳飾りの少女』を収蔵しているマウリッツハイス美術館が、科学分析を行った結果ということですので、かなり信ぴょう性が高いと思われます。

マウリッツハイス美術館

            マウリッツハイス美術館

マウリッツハイス美術館

マウリッツハイス美術館2

写真/https://www.youtube.com/watch?v=f-z8wp9Y0yo
「真珠の耳飾りの少女」の2つの謎 より

以下の内容は、ベルギー王立美術館公認解説者の森耕冶先生著書「誰も言わなかったフェルメールの寓意性 定説という名の誤謬」の訂正文書として、直接森耕冶先生よりいただいたものです。

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上記は、森耕冶先生よりいただいた書籍の訂正文書

この内容は、まだ、ご存じでない方が多いと思われますが、フェルメールにご関心のある方には、とても興味深い内容です。

少女が耳につけた見事な真珠ですが、異常に大きすぎます(直径約2㎝と言われています)。もちろんフェルメールが、本物の真珠をあえて大きく描いた可能性は完全に否定できません。しかし、1600年頃、フランスで、魚のウロコから作った「パールエッセンス」の中空のガラス玉の内部に塗布して、模造真珠を製造することに成功しました。それ以降、ヨーロッパ中に輸出されていたことを考慮するなら、画中の耳飾りが模造真珠であった可能性が大です。

ただし、フェルメールは、この絵で、たとえ模造真珠であっても大きい物をモデルにつけさせたもう一つの理由があります。その部分の拡大写真を見てください。模造真珠に、明るい窓の前に立つ男の姿が映っています。フェルメール自身の姿ではないでしょうか。ところが、この真珠に映った男の姿という説が、2020年春に突然くつがえされる出来事がありました。

耳飾りアップ

『真珠の耳飾りの少女』を収蔵するマウリッツハイス美術館は、この作品の科学分析を行いました。その結果、この真珠の部分には、元々真珠が描かれておらず、白いシミだった、という結論に至りました。つまり、後になってから、その白い箇所に、誰かが加筆して大きな真珠の耳飾りにしたということになります。確かに新たに発表された写真を注意してみると、首の茶褐色の上に、白いシミが見えます。そこには、イヤリングのような輪郭線も、耳たぶから吊るす金具も見えません。

また顔の部分に使われた化学組成の分析も行われました。向かって左側の暗い部分、そして右の写真の赤い箇所には、鉛の存在が認められます。これは、当時画家たちに重宝された白の顔料、塩基性炭酸鉛です。

また顔の明るい部分に全面的に塗られていることから、レオナルド・ダ・ヴィンチが「モナ・リザ」で使った画法と同様に、白い顔料の超薄塗技法と思われます。

スフマート画法というのは、白の塩基性炭酸鉛99パーセントに、1パーセントの赤色硫化銀水HgSを混ぜて、非常に薄く塗り重ねて、透き通るような肌色を作り上げる技術です。言い換えれば、この少女の透き通るような肌には、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」と同様の技術が用いされていたのです。

この作品には、「青いターバンの少女」、「ターバンを巻いた少女」など、数世紀にわたって様々なタイトルが付けられてきたようですが、20世紀末に「真珠の耳飾りの少女」というタイトルで知られるようになりました。恐らく、このタイトルで知られるようになったのは、小説や映画になったことが要因と思われます。

しかし、現在はこの耳飾りは「真珠ではない」とすることが定説となっているようですし、今回の科学分析の結果で、“もともと真珠は描かれていなかった”のであれば、現在のタイトルよりも、「青いターバンの少女」、「ターバンを巻いた少女」とするほうが、適当ではないかと思われますが、皆さんはどのように考えられるでしょうか。

参考文献/ベルギー王立美術館公認解説者 森 耕冶 著
「誰も言わなかったフェルメールの寓意性 定説という名の誤謬」の訂正文書

株式会社マグリット
専務取締役 羽原正人


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