男たちの挽歌〜Art Gallery

『男たちの挽歌』のポスターをいくつか紹介します。どんな売り出し方をしていたかがデザインの違いによって浮き彫りにされているようで、なかなか興味深いです。

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これは今絶賛上映中の日本公開35周年記念版。マークが偽札で煙草に火を点ける名シーンはやはり文句無しに格好良い。
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35年前の日本初公開時のポスターその1。これは配給元の日本ヘラルド映画宣伝部スタッフが香港に飛んで主演三人を再結集させて撮った写真を使ったもの。パンフレット等にもこの時に撮った写真が使われている。当時は「何で衣装が映画と違うんだろう・・・?」と不思議に思ってた。宣伝のためにわざわざ撮り下ろした写真であることを知ったのはもう少し後のこと。コピーの「生きろ、死に急ぐな。」は相棒マークと弟キットに対するホーの想いを上手く代弁していると思う。
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こちらが日本初公開時のその2。コピーの「恥じて生きるより熱く死ね!」はマークの心情を上手く捉えていると思うけど、「WE LOVE ACTION!」というサブ・コピーは俺的には無しだなぁ。確かにガン・アクションは格好良いし、売りの一部ではあるのだけれど、この映画の芯は男たちの愛憎と友情のドラマだと俺は思っているので。
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これはタイ版。上部の三人の横顔は香港版ポスターからの流用。ここにも偽札で煙草に火を点けるマークがいる。インパクトのあるシーンだから使い易いんだろうな。
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これは西ドイツ版。何故こんなにB級映画臭が強いデザインにしたのか疑問。ジャッキー(エミリー・チョウ)の胸がはだけてるのも完全に意味不明だし(この映画にはお色気シーンは皆無です、念の為)。それでもティ・ロン演じるホーを一番大きくフィーチュアしたことは評価したい。『男たちの挽歌』=チョウ・ユンファというイメージが強いけど、この映画の主演はティ・ロン。弟キットのために黒社会から足を洗おうとしながらも、右足を犠牲にしながらも己のために仇討ちをしてくれた相棒マークを見捨てられないホーのの複雑な心情を見事に演じ切ってる。
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これはアメリカ版。準主役のチョウ・ユンファが単独でフィーチュアされているのは、『男たちの挽歌』シリーズが世界に注目されるきっかけとなったのがユンファ主演の『狼/男たちの挽歌・最終章』だから。『狼〜』は最終章の副題が付いているけど、実はシリーズではなく、完全に別物の映画。売らんがために『最終章』と付けたのだと思うけど、単体で十分良い映画だから、そんな姑息なことしなくても良いのになぁ・・・と。
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これはフランス版。フランスでは『男たちの挽歌』と続篇『男たちの挽歌II』が抱き合わせで公開された。スタイリッシュなデザインは流石フランス!という感じ。
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これは中国版。中国で公開されたのは2017年。何故公開するまでにそんなに時間がかかったのか。製作当時は「暴力的過ぎる」という判断が下されたのではないかという説があるらしい。
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最後は初公開時の香港版ポスター。三人の横顔はA BETTER TOMORROW(『英雄本色』の英題)、即ちより良き明日を見つめているかのよう。チョウ・ユンファを大きく扱ったポスターが多い中、メインの三人が同等に扱われているのは、監督のジョン・ウーとプロデューサーのツイ・ハークがこの作品に込めた想いが正しく反映されている証だと思う。


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