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能力や経験の抱負さが、「メンタルの準備」をおろそかにしてしまう


成功恐怖」は、読んで字のごとく成功を怖いと感じる心理のこと。少なくない人が知らず知らずのうちにこの、成功恐怖にとらわれていると知ればどう思いますでしょうか?過去になんども失敗していたダイエットが、なぜか今回は順調でみるみるうちに体重が減っていく。そんなとき意識的か無意識的か、「そんなにうまくいくはずはない」という成功恐怖が発動されるときがあります。

固定的知能観拡張的知能観という概念があります。個々の知能はもって生まれたものとして固定されていると考えるか、それとも能力は、経験や努力を重ねることによって高めることができると考えるか。前者は、努力しても何も変わらないとあきらめている人であり、たまたま成功したときに「ありえないことが起きた」と大きな不安を訴えることが実験であきらかにされています。

ダイエットにかぎりませんが、成功を手にいれるためにはいくつかの「ゴール」を達成する必要に迫られます。いつまでに営業資料を完成させる、資料をもって何件営業に回る、セールストークのブラッシュアップをくり返すなど大小さまざまなゴール、つまり目標です。ところがゴールのレイアウトや設計がうまくできず、いくつものゴールが同時にぶつかりあうケースがあり、「ゴールコンフリクト」と呼ばれる現象は焦りと不安の感覚を生じさせます。

そんなときは自分の悩みを第三者視点で観察する「セルフ・ディスタンシング」というテクニックがおすすめ。「(成功するなんて)おかしい」「思い込みではないか?」と感じたものを逐一ピックアップして、それにたいして「自分はどんなアドバイスをするか?」を考えるものです。

ダイエットをするにこのセルフ・ディスタンシングを発動させて、あえてダークな光景をイメージしてみてください。たとえば一か月後に挫折して、逆に暴飲暴食が加速、激太りしてしまって彼女にフラれてしまう。そんな絶望的な未来を想像してみる。最悪の状態への「対策」を同時に考えておくことを忘れずに、セットで悲観的な結果をイメージしてみます。

事前にイメージしたネガティブな結果によって、「知的謙遜」が促され、自分の能力や知識の限界レベルを謙虚に把握しながら拡張的知能観が養われていきます。つまり、スタート時点で自分の立ち位置を下げるだけ下げておくと、大きな「伸びしろ」が意識できて努力に集中できるという理屈です。

何かに取り組むとき、あれもこれもと心配になってマルチタスクになりがち。ところがマルチタスクは脳にストレスをかけ、偏桃体が活性化します。感情が激しく上下して、時間が細切れになったかのような感覚に陥って時間汚染が進みます。謙虚に、できることから小さく少しずつ、シングルタスクを心がけて今に集中できれば、「時間が足りない」という思い込みからも脱却できます。

こんな感じでいろんな知識を総動員して、うまくいきそうなときのメンタルの持ちようをコントロールして、逆に失敗したときの落胆と萎える感情をせき止めるかのような事前準備をおこなえば、成功確度が高められるます。知識や経験が豊富でも、メンタル的に無防備、真っ裸で突撃しても、あっさり返り討ちにあってせっかくの能力が宝の持ち腐れになってしまいます。

久保大輔




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