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拡散、さまよい、自由に、楽しく


「検索抑制」
たとえば、とある女性アイドルグループのメンバーの名前を思い出す実験。最初に2人の名前を聞かされると、残りのメンバーの名前が思い出しにくくなるという現象が起きます。シロクマのリバウンド効果も同じ。シロクマのことを考えるなといわれると、シロクマが頭から離れなくなります。

これは焦点の問題。上司から売上ノルマ達成のゲキが飛ぶと、即物的な売上に目がいって、長期的な種まきがおろそかになります。幅広い視点がどこかに行ってしまう。十分に実っていない稲も刈り取ってしまえば当座をしのげますが、食糧不足の本質的な解決にはなりません。

同様に、何かが足りない状況になると思考に圧力がかかって、判断を誤りやすくなるらしい。たとえば貧困家庭での生活は、苦労の連続でコルチゾールレベルをおしあげて、思考に影響すると言われています。低所得家庭では幼児であっても、そのレベルが高い。

「貧困の連鎖」は、親の学歴は子の学歴と相関が高く、親の職業は子どもの将来の職業と相関性が高いことを示唆する言葉で、貧困家庭で育つと、大人になっても貧困から抜けにくいという傾向。柔軟な思考が抑制され、可能性を感じにくくなり、行動も限定されてネガティブな結果を誘発するという成り行きです。

創造性に関する書籍には、「拡散思考」という言葉に遭遇します。散歩したり、お酒を飲んだり、昼寝をしたり、煮詰まった思考を拡散させることで複数の情報があつまってきて、やがてそれぞれの情報が思いもよらないつながりを生みます。アイデアを出したいときは視点、思考、意識をわざとさまよわせます。

米国のITジャイアント、グーグルやフェイスブックの社屋は天井が高く、ガラス張りの壁面で囲われる設計。空間をひろくとることで思考を拡散させる狙いですね。観葉植物があったり、昼寝専用のブースがあったり、日本のオフィスでは想像しづらい環境の違いが、業績の違いに影響していると考えるのは飛躍しすぎでしょうか?

ロンドンブーツの淳さんがYouTubeで、米国訪問のとき、立ってパソコンする人をみて不思議がると「ただ立ちたいからでしょ」というガイドの回答に衝撃を受けたという。猫背でデスクに向って仕事する日本との違い、自由度の幅、焦点の広がりに驚かされ、それが現在の彼に少なからず影響を与えています。

リモートワークが一気に広がるか、停滞もしくは逆戻りするか。ハンコの問題ではなく、「窮屈な考え方」にその原因はないだろうか。よこしまな私はすでにスタンディング派。読書もパソコンも基本立って行います。食事は1食+軽食を挟むくらい。常識にあらがうのが楽しくて、でもそれでいて困ることはありません。

スポーツもそういえば、管理するか自由を与えるかという二者択一に直面する。あるときは前者が、あるときは後者が肯定され、それは結果に多分に依存するところはあれど正解探しに終わりはありません。自由競争である資本主義がゆらぎ、統制の共産主義へ回帰する動きは世界中で。書きながら私の思考がさまよいだしました。

あれ?でも「誤った考え」に疑いをもたずに、盲目的に従うのではなく自由に。そんな発想によるスタンディングワークが生産性を押し上げているわけで、管理が悪いわけではないようは柔軟性の問題。常識、当たり前、過去の経験に拠りそうばかりではなく、科学的に信憑性があれば、怖れず自由に楽しく行動したい。

今夜はあたたかい。二駅前で降りて散歩してみよう。

久保大輔




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