ミシェル・ウェルベックについての断片的な感想

最新作の「滅ぼす」を読んでいる。

ウェルベックの主人公は相変わらず金に困ってない。金に困ってない人間の人生は地獄なら当然金に困っている人間は地獄の筈なのだろうか?必ずしもそうではないと新作は言っている。

ウェルベックはバルザックにはよく言及する。バルザックのように当時のフランスを記録したいのだろうと思う。

ウェルベックには比喩のたくみさはない。意識してか、その能力がないかはわからないが、とにかく比喩がすくない。比喩はもう死んだのだろうか?

ウェルベックの文章にはほとんど贅肉がない。事実と事実に関する感想か推測ばかりがある。しかし新作には夢の話がくりかえしあらわれていて、比喩のかわりになっている。比喩はおこなわれなくても、夢という形でおこなわれているのかもしれないし、その夢は現実の一部なのだろう。

しかしウェルベックにSF的な要素がうしなわれたかといえば、そうでもないと思う。時間の設定が未来にあるから、これは近未来SFとしての設定をたもっているのかもしれない。それは現実の延長であるらしい。

下巻の補足には「ら抜き」で訳されている箇所がある。原文を追って確認したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?