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幸福な父親

 日本の歴史年表を見ていて、突然気付いた。

 父は、大正13年生まれで、平成23年の2月4日に亡くなった。

 つまり、関東大震災(大正12年)の翌年に生まれ、東日本大震災(平成23年3月11日)の直前に亡くなったので、大きな二つの地震を目撃せずに済んだのだ。

 もちろん、ガッツリ戦争を経験し、軍隊にも入り、上官に殴られてばかりで、思い出したくないと言っていた。仙台の歩兵部隊に入隊し、前線に出ることはなかったらしい。出ていたら、私は、この世にいなかったかもしれない。

 その後は、高度成長の恩恵をもろに受け、いい時代を生きたと言えるだろう。

 人生の前半に痛い思いをして、後半にいい思いをする人生。

 人生の前半を楽しく過ごし、後半に向かって悪くなって行く人生。

 我々は、後者だ。

(2023.11.27.記 )

次回作の製作費として、大切に使わせて頂きます。