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スタックス型《夢の巣のルールス》の失敗



筆者の「スタックス戦略」に対する認識

cEDHにおけるスタックス戦略に対しては、「勝てない戦略」、「カードパワーの低い統率者がとる戦略」といった認識が一般的ではないでしょうか。実は筆者の考えも同じで、cEDHにおいてスタックス戦略で勝つのは厳しいと思っています。
しかし、これはあくまでも感覚的な話なのですが、カードパワーの低い統率者がcEDHで勝つうえでブレイクスルーになりうるものこそスタックス戦略ではないかと筆者は思っています。

スタックス型《ルールス》の構築検討

スタックス型の《夢の巣のルールス》を組むにあたり、始めはネットに流れているスタックス型《ルールス》のデッキリストや他のスタックス系統率者を参考に、適当にルールスと相性の良さそうなスタックスパーツを採用して組んでみました。
しかし、いまいちデッキとしての手応えが無かったため、採用するスタックスカードに関して一度体系化してみようと考えました。
 
まず、スタックスカードの役割を以下のように分類しました。

⓵【マナ制限】例)《スレイベンの守護者、サリア》、《冬の宝珠》
⓶【呪文回数制限】
例)《エメリアのアルコン》《耳の痛い静寂》
⓷【アーティファクト起動妨害】
例)《無のロッド》《刻み角》
⓸【ドロー妨害】
例)《迷宮の霊魂》《覆いを割く者、ナーセット》
⓹【ETB誘発妨害】
例)《倦怠の宝珠》《静寂をもたらすもの》
⓺【墓地対策】
例)《墓堀の檻》《ダウスィーの虚空歩き》
⓻【戦闘妨害】
例)《平和の番人》《プロパガンダ》
⓼【その他の妨害】
例)《ドラニスの判事》《敵対工作員》
 
次に、EDHtop16様と晴れる屋様の統率者神メタゲームブレイクダウンを参考にcEDHで活躍する主要な統率者に対して、それぞれどの種類のスタックスが有効で、どの種類のスタックスが有効でないかを表形式にまとめます。
ちなみに有効度については、◎(2点)、〇(1点)、△(0点)、✕(-1点)という評価で採点し集計しました。
(EDHtop16)
(晴れる屋)

筆者の私怨が多分に含まれた評価表。

この表をもとにすると、スタックスの種類別有効度は以下の図のようになります。

筆者の私怨が多分に、、、

この図は筆者の独断と偏見で抽出した統率者に、これまた筆者が勝手に各種スタックスの有効度を割り振っていますので、そもそもこの表の信頼度がどれだけあるのかという論点はもっともだと思います。この点について読者の皆様のご意見をいただけると、評価表の精度が上がるので大変嬉しいです。

スタックス型《ルールス》に採用したカード

作成したスタックスの種類別有効度を参考にして、筆者がスタックス型《ルールス》に採用したスタックスカードが以下です。
 
⓵【マナ制限】/採用枚数 0枚
⓶【呪文回数制限】/採用枚数 2枚
・《エーテル宣誓会の法学者》
・《エメリアのアルコン》
⓷【ファクト起動妨害】/採用枚数 1枚
・《不屈の解体者》
⓸【ドロー妨害】/採用枚数 2枚
・《迷宮の霊魂》
・《オークの弓使い》
⓹【ETB誘発妨害】/採用枚数 1枚
・《門衛のスラル》
⓺【墓地対策】/採用枚数 1枚
・《ダウスィーの虚空歩き》
⓻【戦闘妨害】/採用枚数 1枚
・《偽りの希望の神》
⓼【その他の妨害】/採用枚数 3枚
・《ドラニスの判事》…統率者対策
・《エイヴンの思考検閲者》・・・サーチ妨害
・《敵対工作員》・・・サーチ妨害

この時に採用したスタックスカードには、スタックスの種類別有効度において一番有効度が高かった【マナ制限】系のスタックスカードを採用していません。その理由は、単純に《ルールス》で採用するデメリットが大きすぎると考えたからです。
以前の記事にも記載しましたが、《ルールス》は単体でアドバンテージを獲得できる統率者ではありません。そのため、《ルールス》の能力で使い回すことでアドバンテージを得られるカードを採用しています。
【マナ制限】系のスタックスカードは、この「使い回し」をする際に大きな制限になってしまいます。そのため、スタックスパーツとしての有効度は一番高かったですが、この時の構築では不採用としました。

【マナ制限】系を除くと一番有効度の高い【呪文回数制限】系のスタックスカードを2枚、残りの種類のスタックスについては各種類につき基本1枚のカードを採用しました。
ちなみに、能力の性質上《オークの弓使い》を【ドロー妨害】系カードとして扱っていますが、《オーク》についてはほぼ固定枠のカードである点、また【ドロー妨害】系カードとして《オーク》を評価した場合は能力が強くない点から、あくまで【ドロー妨害】として積極的に採用したカードは《迷宮の霊魂》の1枚と考えています。

「置物」系のスタックスカードが不採用な理由

この時のスタックス型《ルールス》では、エンチャントやアーティファクトといった、いわゆる「置物」系のスタックスカードを採用していません。当初は《倦怠の宝珠》や《耳の痛い静寂》といった置物系のスタックスカードも試してみました。
しかし、その時に採用した置物系のスタックスカードは《ルールス》自身にも有効であり、特に主要な勝ち手段として採用していた「白黒版ワールドゴージャーコンボ」やそれに至る手段が、自身が置いたスタックスカードによって妨害されてしまうという場面が多発してしまいました。
もちろん、置物系のスタックスカードを自身で破壊する手段はデッキに採用していましたが、筆者が想定したよりも上手く破壊することが出来ませんでした。そのため、アーティファクトやエンチャントと比べて、比較的簡単に除去することができるクリーチャーのスタックスカードに絞って採用することにしました。

スタックス型《ルールス》の失敗とは

この時のスタックス型《ルールス》の失敗とは非常にわかりやすく、「とにかく勝てない」という点です。
スタックスの種類別評価などの試行錯誤をした結果、当初の適当にスタックスカードを採用したデッキよりは確かに手応えはありました。採用したスタックスカードについても、対戦相手に対して有効であると実感できる場面も多かったです。しかしそれらは、「勝利」という結果には結び付きませんでした。
ちなみに、一番多かった負け方は下記のようなパターンです。

①  序盤、対戦相手に有効なスタックスカードを出してゲーム展開を遅延させる。
②  遅延させたゲーム展開の中で、追加のスタックスカードやアドバンテージ獲得カードを展開し盤面の優位を作っていく。
③  対戦相手の全体除去によって、盤面がリセットされる。
④  《ルールス》の能力でスタックスカード等を再展開しようとするが、展開が間に合わず押し切られて負ける


まるでリプレイ映像を見るかのように、このパターンでの負けが続いたことと、別タイプの《ルールス》の構築を試してみたくなったため、筆者は一旦ここでスタックス型《ルールス》の構築検討を止めることにしました。

スタックス型《ルールス》における今後の課題

この時のスタックス型《ルールス》の失敗に関して、細かく考察していくとキリがありません。そのため、それについてはまた機会があれば記事にさせていただくとして、大きくは次の3点が今後の課題だと考えています。
 
①  採用するスタックスカードからの影響が無い(少ない)勝ち手段の採用。(置物系スタックスカードの採用検討)
②  《ルールス》の能力での使い回しを必要としないアドバンテージ獲得カードの採用。(【マナ制限】系スタックスカードの採用検討)
③  全体除去(盤面リセットカード)への対応手段。

最後に

cEDHにおいてスタックス型のデッキは勝てないというのが一般的な評価だと思いますが、その評価のために十分な研究がされ尽くされず放置されてしまっている点もあるのではないかと思います。
筆者がスタックス戦略にブレイクスルーがあると考えるのも、この不人気戦略ゆえの研究不足の中に「お宝」が眠っているはずだと妄想しているからです。
事実、いわゆる「異常ログテヴェ」と言われる、《ログラクフ/テヴェシュ》に大量にスタックスカードを採用した構築はその「お宝」の一つでしょう。「異常ログテヴェ」の構築思想をそのままスタックス型《ルールス》に転用することは難しいですが、「異常ログテヴェ」の構築に至るまでにおこなわれたであろう深い考察と多くの試行錯誤こそ見習いたいと思います。
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。また、筆者の考察に対してご意見・ご感想をいただけると筆者は大変喜びます。

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