見出し画像

焰と、渡さない手紙

馬鹿にすらなれない。
だけど愛する愚かさを知ってる。

敬意を込めて素直に云えば、滑稽な人だと思う。

少しだけ自分に近い匂いがする。
でも味方だとは思わない。
それが嬉しいなんて可笑しいのは分かってるけど、音源だけでライブを観たような熱を帯びること。こんな捻くれた心だとめったに無いんだ。

どうかその毒と愛を持ったまま、肩書きに囚われず自分の音楽を守り続けてほしい。生きる限り、その牙は死ぬ迄嫌でも折れないだろうから。

初めてきいた音源を、久しぶりに聴いて思ったこと。バンドの名前は出さないけど、今年何度もその音の奥に滾る焰に揺さぶられている自分がいた。

特別演奏が上手いわけでも、歌声が好みなわけでもない。

初めてバンドを作った頃の、もう歌えなくなった曲や声を「初期衝動」なんて呼ぶような人間じゃないだろう。彼から感じるのはそんな陳腐で安い苛立ちじゃない。

肉を噛む音がする。
心に棲む怒りを形にかえて生きるしかない、一匹の獣の叫び声だ。

animalじゃなくてbeastだと感じる存在。
飼い慣らされるつもりも一生ないだろう。

その孤独が生み出すものを、乳歯のように失う言葉で触れるつもりも、餌場だと思うつもりもない。 だけどその価値観は、同じように血を流して群れずに音楽を聴いてきた人間からすると、ずっと応援したくなる魅力そのものだと心から思うんだ。

ライブを観る日を心から楽しみにしている、とあるバンドに向けて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?